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運命の影  作者: AkiraNox


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26/31

最終テスト

――最後の試験


第三の試験が終わってから、五時間後。


子供たちは、黙ったままナイの後を歩いていた。


以前のように話す者は、もう誰もいなかった。


たった三つの試験だけで、彼らは完全に変わってしまった。


最初の試験は、三百六人の子供たちから始まった。


そして、二百五十人で終わった。


二つ目の試験は、二百五十人から始まり、


百四十三人で終わった。


そして三つ目の試験は、百四十三人から始まり、


八十人で終わった。


そして今――


残された試験は、あと一つだけだった。


ナイは両手を背中で組みながら、彼らの前を歩いていた。


まるで普通の子供たちを引率しているかのように。


しかし、その後ろにいるのは、三つの死の試験を生き延びた八十人の子供たちだった。


ナイが突然、足を止めた。


ナイ:

「これで残る試験は、あと一つだ。


覚悟しておけ」


子供たちは互いの顔を見た。


22:

「兄貴、最後の試験は何だと思う?」


23:

「分からない……でも、これまでよりは簡単だと思う」


22:

「簡単?」


少しの間、沈黙する。


「俺にも分からない。


でも、そうであってほしい」


ミラはカイレンの近くを歩いていた。


そして彼を見上げる。


ミラ:

「カイレン」


カイレン:

「ん?」


ミラ:

「何があっても……最後まで一緒に試験を突破しよう」


カイレンはしばらく彼女を見つめ、それから小さく笑った。


「うん!」


二人は再び歩き始めた。


それから、かなりの時間が経った頃――


ナイ:

「着いたぞ」


子供たちは一斉に顔を上げた。


そこは、南王国の北部に広がる深い森の中心だった。


だが、そこには奇妙なものが待ち受けていた。


彼らの目の前の地面には――


四つの巨大な石の門があった。


四つの門は正方形になるように配置され、それぞれに異なる文字が刻まれている。


一つ目。


A――影。


二つ目。


B――風。


三つ目。


C――残響。


そして四つ目。


D――光。


一行は完全に足を止めた。


56:

「何だ、これ?」


「問題を解く試験なのか?」


ナイ:

「その通りだ」


四つの門がある。


これから一つの問題を出す。


その中の一つだけが正解だ。


そして、一つの門に立てるのは二十人まで。


子供たちは門を見つめた。


23:

「つまり……合格できるのは二十人だけなのか?」


ナイ:

「その通り」


22:

「じゃあ、間違った答えを選んだ奴はどうなる?」


ナイは薄く笑った。


「自分たちで確かめろ」


これから問題を出す。


考える時間は十分間。


準備しろ。


静寂が広がった。


ナイ:

「問題は――」


そして、読み上げた。


「『私は、音を持たぬものから生まれる。


そして、それが存在する間だけ生き続ける。


私は決して自分の源を追い越せず、


決してその後ろに取り残されることもない。


もし私の源が消えれば、


私もまた消える。


さて、私は何だ?』」


A――影。


B――風。


C――残響。


D――光。


カウントダウンが始まった。


残り十分。


子供たちは互いに顔を見合わせた。


300:

「こんなの簡単じゃないか!」


どう考えても光だ。


光の源が消えれば、光だって消える!


そう言って、第四の門へ向かって走り出した。


33:

「確かに、それが正しい!」


俺も行く!


その後ろから何人もの子供たちが駆け出した。


10。


11。


12。


そして、さらに別の子供たちが続く。


20。


21。


22。


23。


24。


25。


26。


27。


28。


29。


30。


31。


32。


33。


34。


次々と子供たちが押し寄せ、第四の門はほとんど埋まっていった。


7番の少年も、そこへ向かって走っていた。


しかし――


カチッ!


門の周囲に分厚い結界が現れた。


少年は、その直前で立ち止まった。


ナイ:

「第四の門は定員に達した」


子供たちはその場で凍りついた。


何人かは、その場に膝をついた。


「そんな……」


「もう終わりだ!」


「死にたくない!」


「どうすればいいんだ!?」


その時――


一人の子供が叫んだ。


「静かにしろォォォ!」


全員が振り向いた。


そこにいたのは23だった。


23は子供たちの間を進みながら、不機嫌そうな顔で彼らを睨んだ。


「何を騒いでいる?」


「お前たち、本当に同じ王国の人間なのか?」


一人の子供が怒鳴り返した。


「じゃあ、どうしろっていうんだ!?」


「正解を選ばなければ殺されるんだぞ!」


23:

「誰が、光が正解だと言った?」


その言葉で、辺りが静まり返った。


「まだ三つの門が残っている。


その中の一つが正解かもしれない。


それに――」


23は問題文を思い返した。


「こんなに簡単な問題を出すとは思えない。


よく考えろ。


まだ七分もある」


子供たちは再び考え始めた。


カイレンはミラの隣に立っていた。


カイレン:

「ミラはどう思う?」


「どれが正解だと思う?」


ミラ:

「分からない……」


「でも、考えてみると……」


ミラは四つの選択肢を見つめた。


「どれも、その源が消えれば一緒に消えるように思える」


「だから……」


「どれが答えなの?」


カイレンは黙って考えた。


そして、ゆっくりと顔を上げる。


「……分かった気がする」


ミラ:

「本当に?」


三分後――


子供たちが動き始めた。


二十人が光の門に立った。


二十人が残響の門に立つ。


十八人が風の門へ。


そして十四人が影の門へ。


残されたのは、わずか八人。


残り時間は四分。


ミラはカイレンを見た。


「じゃあ、カイレン。


あなたの答えは?」


カイレン:

「影だ」


ミラ:

「影?」


「どうして?」


カイレンは彼女を見る。


「聞いて」


『音を持たぬものから生まれる』


影を生み出すものは、音なんて必要としない。


ただ存在していればいい。


『それが存在する間だけ生き続ける』


影は、その源となるものがなければ存在できない。


『私は決して自分の源を追い越せず、決してその後ろに取り残されることもない』


影は、常に自分を生み出したものについていく。


一緒に歩き、一緒に動く。


『もし私の源が消えれば、私もまた消える』


影を生み出しているものが消えれば、影も同時に消える。


カイレンはミラを見た。


「これなら分かるだろ?」


ミラはしばらく黙っていた。


そして、ゆっくりとうなずいた。


「……うん。


あなたの言う通りだと思う」


その時――


背後から声がした。


23:

「分かった!」


カイレンとミラが振り返る。


23は二人を見ていた。


「答えは影だろ?」


カイレンは答えなかった。


だが、その沈黙だけで十分だった。


カイレンとミラは、影の門へ向かって走った。


しかし、門の前でミラが立ち止まる。


そして、カイレンを見る。


「心配しないで、カイレン」


「私はあなたを信じてる」


カイレンは彼女を見つめた。


「ありがとう、ミラ」


二人は互いに手を伸ばした。


そして、手を握り合う。


そのまま二人は門の中へ入った。


同時に23も入る。


その後ろから22。


そして4。


56。


さらに、同じ答えにたどり着いた子供たちも続いた。


カチッ!


影の門が閉じた。


ナイ:

「定員に達した」


二十人。


残されたのは第四の門と、そこに入れなかった数人の子供たちだけだった。


光の門の前に立つ少年が、自信満々に言った。


「こんなの簡単だ。


俺たちが勝つ」


それを聞いた23は、影の門の向こうから呟いた。


「馬鹿ばっかりだ……」


「俺と同じくらいの年齢なのに、こんなことも分からないのか」


そして影の門を見た。


「俺も最初は影と残響で迷った」


「でも、あの変な奴の説明を聞いた今なら――」


「間違いない」


影だ。


ナイが手を上げた。


「全員、準備はできたか?」


誰も答えなかった。


カウントが始まる。


3。


2。


1。


ナイは一瞬だけ沈黙した。


そして――


「正解は……」


「影だ」


子供たちの目が大きく見開かれた。


「え……?」


その瞬間――


門が開いた。


しかし、その向こうに出口はなかった。


そこに現れたのは――


黒い炎だった。


ゴォォォォッ!


子供たちは一斉に炎の中へ落ちていった。


「いやあああああ!」


「こんなの聞いてない!」


「死にたくない!」


「母さん!」


一人の子供が叫びながら落下した。


全身に炎がまとわりつく。


別の子供は門の縁に必死にしがみついた。


「助けてくれ!」


しかし、黒い炎がその手を包み込んだ。


そして、その身体までも飲み込んでいく。


やがて、その叫び声も途切れた。


焦げた臭いが辺りに広がった。


影の門の中にいた子供たちは、誰一人として声を出せなかった。


聞こえてくるのは、向こう側から響く叫び声だけ。


「うあああああ!」


「いやだあああ!」


「頼む、助けてくれ!」


そして――


門が閉じた。


静寂が戻った。


ナイ:

「これが現実だ」


「人間は、簡単に死ぬ」


カイレンは慌てて顔を伏せた。


そして、横を向く。


「うっ……!」


その場で吐いた。


ミラ:

「カイレン!」


「大丈夫!?」


カイレンは激しく咳き込んだ。


「俺は……」


しかし、それ以上は言葉にならなかった。


第四の試験


カイレンは、震える手で口元を押さえた。


何度も咳き込む。


ミラは、そんな彼の背中を静かにさすっていた。


「……カイレン」


返事はなかった。


ただ、目の前で起きた光景が、頭から離れない。


燃え上がる黒い炎。


助けを求める声。


そして――消えていった命。


カイレンはゆっくりと顔を上げた。


その瞳から、いつもの光が消えていた。


ナイはそんな彼らを一瞥すると、何事もなかったかのように背を向けた。


「行くぞ」


「次の場所へ移動する」


誰も動かなかった。


誰も、口を開かなかった。


ただ一人――


カイレンだけが、黒い炎の消えた門を見つめ続けていた。


そして彼は、心の中で初めて理解した。


ここでは――


正しい答えを選んでも、生き残れるとは限らない。


本当の試験は、まだ終わっていない。


むしろ――


これからが、本当の始まりだった。

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