第2話:捨てられた子
父が去った翌日の朝、日差しは相変わらず眩しかった。
私はリリーの家の粗末な木のテーブルに座り、目の前の粥の碗を見つめていた。粥はすっかり冷めきり、表面に薄い白い油が浮かんでいた。私はうつむき、木の匙でゆっくりとかき混ぜていたが、一口も食べられなかった。胸のあたりに重く冷たい石がのしかかっているようで、息をするだけで苦しかった。
リリーの父親——リンゴを売る叔父さん——とその妻は奥の部屋で長い間小声で話し合っていた。私は断片的に会話が聞こえた。
「……こんな小さな子を街に放り出すわけにはいかないよ……」
「……故郷に送り返す? もし父親がわざと捨てたのなら、送り返した方がもっと酷いことになるかもしれない……」
「……孤児院は教会が面倒を見てくれるけど、ああいう場所……家族の温もりなんてあるのかね。」
やがて叔父さんが出てきて、私の前にしゃがみ込み、できるだけ優しい声で言った。
「アグネス、まずは衛兵隊に事情を聞きに行こう。お父さんを見つけられなかったら……とりあえずうちにいてもいいよ?」
私は答えず、ただ唇を強く結んで小さく首を横に振った。
私はまだ父が帰ってくるのを待っていた。
きっと少しの間だけ離れただけで、すぐに戻ってきてくれると思っていた。
しかし結局、叔父さんは私の手を引いて、リリーと一緒に町の衛兵隊へ連れて行った。
衛兵隊の詰め所は灰色のレンガでできた建物で、入口には古い革鎧を着た二人の衛兵が立っていた。叔父さんが事情を説明すると、年長の衛兵は少し考えて言った。
「ん? 濃い灰色の外套を着た成人男性か……ああ! 昨日馬を盗んだ男だな! 昨日昼過ぎに盗んだ馬に乗って西門から町を出て行ったよ。後で調べたが、犯行は一人で急いで逃げたようだ。他の物を盗んだ形跡もなく、住民からの盗難届もない。周辺の町に通報して、そいつを捕まえられるか様子を見ているところだ。」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が大きく空いたような気がした。
お父さん……本当にいなくなったんだ。
私をこの見知らぬ場所に一人残して、自分だけ去ってしまった。
私は泣かなかった。叫びもしなかった。ただぼんやりとその場に立ち尽くし、顔に表情がなかった。まるで魂を失った小さな木の人形のようだった。陽光が私を照らしていたのに、体中が冷たかった。
リリーがそっと私の袖を引いて、小さな声で呼んだ。
「アグネス……」
私は何の反応もできなかった。リリーの家に戻った後、叔父さんと叔母さんはまた長い間話し合った。今度は声がさらに低く、困った様子だった。
「……送り返すのは危険すぎる。もし父親が本気で捨てたのなら……」
「……孤児院は教会の名前があるけど、ああいう場所は子供にとって冷たすぎる……」
「……とりあえずうちに置こう。少なくとも温かい飯は食べさせられる。」
結局、叔父さんは出てきて私の肩を優しく叩いた。
「アグネス、とりあえずうちにいてくれ。私たちができる限り面倒を見るよ。」
リリーも大きく頷き、目を輝かせて言った。
「そうだよ! アグネスは私と同じベッドで寝ていいよ!」
私はまだ何も言わず、ただうつむいて自分の服の裾を強く握りしめていた。
頭の中には一つの想いだけが繰り返し響いていた。
お父さんは私をいらなくなった。
そして私には……帰るべき場所すらなくなってしまった。
……
しかし、その後の半年間は、私の人生で初めて「家族」というものを本当の意味で感じた時間だった。
リリーの家は町でごく普通の家庭で、家は小さく、二部屋と小さな裏庭があるだけだったが、そこにはいつも温かい声と匂いが満ちていた。
毎朝、リリーの母親は早く起きて火を起こした。彼女はいつも私の分も一碗余分に粥をよそい、優しく私の頭を撫でながら微笑んで言った。「アグネス、もっと食べなさい。まだ成長期でしょう。」粥の中には時々薄く切ったリンゴの干し肉が入っていた。それは叔父さんが屋台で特別に選んだ一番良いものだった。
朝食を終えると、リリーはほとんど私を遊ばせてくれなかった。彼女は私より少し年上で、いつも元気いっぱいだった。私の手を引いて小さな庭を走り回り、野花と草の茎で花輪の作り方を教え、バッタの捕まえ方や、土の上に簡単な絵を描く方法を教えてくれた。私たちの笑い声はよく隣家の住人を顔を出させ、微笑みながら首を振らせるほどだった。
時々、叔父さんが町でリンゴを売り終えて帰ってくると、ポケットから大きくて赤いリンゴを取り出し、二つに割って一つをリリーに、もう一つを私にくれた。彼は荒れた大きな手で私の頭を撫で、低いが温かい声で言った。「アグネス、今日はいい子だったか? ほら、リンゴを食べなさい。」
午後になると、リリーの母親は私たち二人に簡単な家事を教えてくれた。彼女は手取り足取りで皿の洗い方やテーブルの拭き方を教え、料理の時には小さな踏み台に立たせて鍋の中のスープをかき混ぜさせた。私が上手にできなくても、彼女は決して叱らず、ただ優しく笑って言った。「大丈夫、ゆっくりでいいのよ。」夜が一番安心できる時間だった。
夕食の後、私たち四人は庭で涼んだ。夜風が吹き、淡い草の香りが運ばれてきた。リリーの母親は優しい物語を語ってくれた。時には遠い王都の騎士の話、時には歌う星の話だった。リリーは私の体に寄りかかり、頭を私の肩にのせて小さな声で囁いた。
「アグネス、あなたはもう私の妹だよ。これからもずっと一緒にいようね?」
最初はうまく返事ができず、ただ小さく頷くだけだった。でも次第に、私も小さな声で答えるようになった。
「……うん。」
ある雨の夜、雷の音が大きかった。リリーは怖がって私の胸に飛び込んできた。私は彼女の背中を優しく叩きながら、心の中で不思議な感覚が生まれた——誰かに必要とされるというのは、こういう気持ちなんだ。
あの頃、私は初めて笑うことを覚え、心の中の言葉を少しずつ口に出すことを覚えた。
私は皿洗いやリンゴの整理、庭の小さな花に水をやることを覚えた。リリーが怖がっている時には彼女の手を握り、叔父さんが疲れている時には黙って水を一杯運ぶことを覚えた。
私は信じ始めた——これが「家族」というものなんだ。
誰かがあなたがちゃんと食べているか気にかけてくれ、悲しい時に優しく抱きしめてくれ、手を引いて一緒に走ってくれ、夜に布団を掛けてくれ、「妹」と呼んでくれる。
幼い頃からずっと空っぽだった胸の場所が、少しずつ、優しく埋められていくようだった。
私はこんな日々がずっと続くと思っていた。
私はようやく本当の家を手に入れたと思っていた。
私は、本当に、本当にそう思っていた……




