第21話:私の名前はアンナです / My Name is Anna
孤児院の古い食堂は薄暗い照明だった。
それは普通の夜のことだった。孤児院の井戸が突然詰まり、汚水があちこちに溢れていた。他の子供たちは汚いと言ってやらなかったので、私は一人で井戸の中に降りた。鼻を突く臭いと冷たい汚水に耐えながら、詰まった枯れ葉やぼろ布、泥を少しずつ掻き出していった。両手は真っ赤に腫れ、服も銀白色の髪も汚れまみれになった。
ようやく井戸を掃除し終わり、疲れ果てて立っているのもやっとの時、食堂から子供たちの嘲笑が聞こえてきた。
「はは、見てよあいつ、全身臭い水まみれじゃん!」
「銀髪の化け物はこういう汚い仕事が似合ってるよ。どうせ汚れるの平気なんだろ?」
「いつも偉そうにしてるけど、ただの変人じゃん?」
笑い声が次々と上がり、誰かが私の掃除している姿をわざと真似までした。
その時、マーガレット修道女が素早く近づいてきて、珍しく厳しい声で言った。
「もうやめなさい! みんなのために頑張った人を嘲笑うなんて許されないわ。アグネスは誰もやりたがらないことを一人でやってくれたのよ。どうして笑うの?」
子供たちはすぐにぶつぶつと文句を言った。
「またマーガレットがアグネスを贔屓してる。」
「いつもそうだもん。あいつのことになると特別扱いなんだから。」
「明らかに化け物なのに特別待遇……」
私は隅に立ったまま、俯いてマーガレットに小さく言った。
「……大丈夫ですよ、マーガレット修道女。」
無理に微笑みながら、「もう慣れましたから。」
マーガレットは私を見つめ、その瞳には深い苦しみと悲しみが浮かんでいた。彼女の姿は、風で散っていく霧のように次第に透き通っていき、薄暗い灯りのなかで少しずつ消えていった……
……
柔らかい黄色の光晕が、映画のフェードインのようにゆっくりと視界を包み込んだ。
私はゆっくりと目を開けた。
最初に見えたのは、小さな焚き火だった。炎が暖かく揺れている。その横に、見知らぬ淡い黄色の髪の女性が座っていた。彼女は静かに枝を火にくべていて、表情は穏やかで集中している。
その女性は20歳くらいに見えた。整った美しい顔立ちなのに、どこか極めて平凡な雰囲気——街を歩いていてもすぐに見失ってしまいそうな普通の美しさだ。しかし、なぜか不思議な感覚が漂っていた。金茶色の髪は肩から胸のあたりまで届く長さで、特に長くもなく、結ばずにそのまま下ろしていた。ゆったりとした簡素な服を着ていて、半袖に短いズボンという、旅人というよりむしろ休暇中の女の子のような軽やかな装いだった。胸元には小さな十字架が下がっており、焚き火の光を受けてかすかに光っていた。
私は彼女の左手に、一つのシンプルな金の指輪がはまっていることに気づいた。その上には一粒の深い青色の宝石が埋め込まれており、焚き火の光でかすかに輝いていた。
……結婚しているのだろうか?
「目が覚めた?」
その女性の声は穏やかで優しいものだった。
「!」
私は全身を硬直させ、勢いよく上半身を起こした。右手は無意識に傍らの魔法杖を探し、目は警戒でいっぱいだった。
女性は近づかず、その場で軽く頷いた。
「怖がらないで。私みたいな普通の旅人よ。さっき川辺であなたを見つけたの。意識がなかったけれど、まだ心臓は動いていたわ。ここに連れてきて火を焚いて温めたの。服がまだ乾いていないから、あまり動かない方がいいわ。」
私はすぐに答えず、ただじっと彼女を見つめていた。
女性は平凡で優しい笑みを浮かべた。
「私の名前はアンナです。はじめまして。」
そう言いながら、彼女は焚き火の横から枝に刺したものを取って差し出した。
それは真っ黒に焦げた野猪の腿肉だった。表面が完全に炭化し、ところどころまだ煙が上がっている。料理が全くできない人間が焼いたと一目でわかる出来栄えだ。
私は少し迷ったが、最終的にそれを受け取った。
……今は他に選択肢がない。先にこの助けてくれた人の正体を観察しよう。
私は一口かじった。
……
途端に、言葉にできない焦げた苦味と獣臭が口の中に爆発した。
「うわ……」
私は思わず吐き出しそうになり、顔が微妙に歪んだ。
「これ……食べたら死ぬんじゃないの!?」
アンナは私の表情を見て、少し首を傾げた。自分の料理がどれだけひどいものか、全く気づいていないようだった。
(第21話 終)




