第20話:激流 / The Rapids(第2章 第1話)
冷たい激流が一瞬で私を完全に飲み込んだ。
川に飛び込んだ瞬間、水流は狂暴な獣のように私を激しく下流へ引きずっていった。マグリットの杖を必死に抱きしめながら、体は完全に制御を失い、闇と白い泡の中で何度も転がされた。水は四方八方から激しく叩きつけ、肩や背中、脚が水底の鋭い岩に何度も激突した。激痛が電流のように全身を駆け巡る。銀白色の長い髪が水中ではげしく絡まり、すべてのもがく動作を妨げた。
水の流れは恐ろしく速かった。押し流され、回転し、投げ上げられては叩きつけられる。時折、水面に顔を出して泥混じりの空気を慌てて吸い込むが、次の瞬間にはより強い底流に引きずり込まれる。肺が焼けるように痛み、耳の中は絶え間ない轟音と気泡の音だけ。冷たさが骨の髄まで染み込み、筋肉が硬直し痙攣し始めた。一つ一つの腕のかきと脚の蹴りはどんどん重くなっていく。
川は果てしなく続くように思えた。この苦痛の時間は耐え難いほど長かった。水流は絶えず向きを変え、私を無力な欠片のように翻弄し続けた。岩への衝突はますます頻繁になり、時には鋸歯状の岩壁を横滑りし、時には頭から渦に突っ込む。意識が断続的に途切れ、視界は闇とぼんやりした光影の間を行き来したが、それでも杖を死ぬほど握りしめ、本能的に沈まないように抗っていた。
どれほど経っただろうか。水の音が変わった。前方に低い咆哮が聞こえ、体が大きく投げ上げられたかと思うと、滝のような落差とともに落下した。激しい衝撃でほとんどすべての感覚が失われかけ、水しぶきと泡が視界を完全に覆った。
ようやく水流が穏やかになり始めたとき、周囲の様子も静かに変わった。川面は激しさを失い、冷たい水の中に淡い桜の花びらが漂い始めた。それらは軽やかに回転し、月光と朝の微光が交わる中で、夢のように美しく、しかし残酷な雪片のように私を取り囲んだ。
私はかろうじて目を開け、花びらが眼前をゆっくりと流れていくのを見つめた。体はもうほとんど力がないのに、生きる本能だけが私を駆り立てた。残された最後の力を振り絞り、手を伸ばして岸辺の低い枝を掴んだ。最初は濡れた樹皮で滑ったが、二度目にしっかりと握りしめた。
私は必死に岸に向かって泳いだ。水流はまだ私を引きずろうとし、一つ一つのストロークが川全体との戦いだった。枝が私の体重でしなり、小さな軋む音を立てた。歯を食いしばり、残りの力で体を陸に引き上げた。膝が水底の石にぶつかり、両手で泥と草の根を掴みながら、一寸ずつ這い上がる。
ようやく、私は冷たく湿った川岸に崩れ落ちた。桜の花びらはまだ静かに舞い落ち、私の銀白色の髪と泥まみれの頰の上に降り積もった。
目の前の景色が急速にぼやけ始めてきた……
意識は完全に闇の中に沈んでいった。
(第20話 終)




