第19話:逃げる / RUN(第1章 最終話)
「そこに誰がいる!!」
荒々しい怒号が雷鳴のように夜空を切り裂き、松明の光は瞬く間に凶暴な獣と化して、猛スピードで迫ってきた。重々しいブーツが地面を激しく踏み鳴らし、鎧がぶつかり合って耳をつんざく金属音が響く。重装備の兵士二人が、ためらうことなく突進してきた。月明かりに照らされた槍が冷たく鋭い光を放ち、その穂先はまっすぐ前方に向けられていた。
私は胸が激しく震え、本能的に背を向けて走り出した。
夜風が耳元を轟音とともに通り過ぎ、走りながら銀白の長い髪が激しく翻り、視界を遮った。全速力で走りながら、左手で乱れた髪をつかみ、走りながらの揺れの中で素早く束ね、持ち歩いていた細い紐でかろうじて後頭部のあたりで結んだ。その動作は慌ただしく不器用で、数本の銀色の髪が風に舞って汗ばんだ頬に張り付いたが、整える暇など全くなかった――今この瞬間、一呼吸ごとに、一歩踏み出すたびに、私は命からがら逃げるために全力を尽くさなければならなかったのだ。
私はマーガレットの魔法の杖をしっかりと握りしめ、リュックサックを背負い、足早に背後の漆黒の森へと飛び込んだ。枝葉が容赦なく顔や腕を叩きつけ、灼熱のような痛みをもたらした。足元の枯葉や土は踏みしめられるたびに四方八方に飛び散り、パチパチと鋭い音を立てた。背後から響く叫び声は影のように付きまとい、ますます凶暴さを増していた。
「止まれ! 逃げるな!」
私は振り返ることなく、全力を振り絞って前へ突き進んだ。森は墨のように真っ暗で、鬱蒼とした枝葉の間からまばらに差し込む月明かりだけが、地面に点在する光の斑を投げかけていた。その光景は、まるで無数の砕けた鏡の破片が地面の上で揺らめいているかのようだった。呼吸はますます荒く重くなり、息を吸うたびに、喉がナイフで切り裂かれるような痛みが走った。心臓は激しく鼓動し、まるで胸を裂き裂くかのようだった。脚の筋肉は燃え上がるようだったが、私は決して立ち止まるわけにはいかなかった――マーガレットの犠牲、彼女が最期に投げかけたその眼差し……
背後から聞こえる足音はますます近づき、重く容赦なく、まるで死神が耳元で息を荒げているかのようだった。兵士たちの荒い息遣い、罵声、そして鎧がぶつかり合う音が混ざり合い、恐ろしいほど鮮明に響いている。そのうちのひとりがすでに弓を引き絞っており、矢が風を切り裂く甲高い音が私の左耳をかすめ、前方の古木の幹に深く突き刺さった。矢尻はまだ激しく震えている。
私は身を屈めて横たわる太い枝をかわしたが、足が滑り、泥だらけの地面に転びそうになった。膝が突き出た木の根に激しくぶつかり、激しい痛みが走ったが、すぐに杖で地面を突き、歯を食いしばって走り続けた。枝はまるで生き物のように次々と伸びて進路を阻み、体に叩きつけられて赤い傷跡を残した。月明かりが時折現れては消え、森の中に私の伸びたり引き裂かれたりした影を落とし、この絶望的な追跡を嘲笑っているかのようだった。
「あそこにいる!左だ!」
「川の方へ逃げさせないで!」
松明の光が木々の間を狂ったように揺れ動き、まるで一団の鬼火のように私を執拗に追いかけてくる。空気には土、腐葉、汗、そして恐怖が混ざり合った匂いが漂っている。肺は火傷したかのように痛み、息を吸うたびに灼熱の痛みが走る。足は力なく震え始めたが、頭の中にはただ一つの執念しかなかった――生き延びる、何があっても生き延びる。
追跡はまるで終わりがないようだった。どれほど走ったのかは分からなかったが、背後の音が半歩も離れることなく、むしろますます近づいてくることだけは分かっていた。森が次第にまばらになり、前方から低く耳をつんざくような水の轟音が聞こえてきた――川だ!
最後の茂みを突き抜けると、目の前に急峻な川岸が突然現れた。激流は月明かりの下で銀白の波紋を巻き上げ、渦を巻いて流れ、耳をつんざくような怒号を上げていた。左右は急斜面とさらに密な森に囲まれ、迂回する道などどこにもない。背後には、二人の兵士の松明が目前まで迫っていた。揺らめく炎に照らされた彼らの影は長く伸び、槍の穂先が今にも私の背中を貫きそうなほどだった。
完全に追い詰められた。
胸の奥に、最後の覚悟と絶望が湧き上がった。私は深く息を吸い込み、まさに紙一重の瞬間に、勢いよく飛び上がった。
「捕まえろ!」
兵士の怒号が耳の後ろで炸裂し、まるで夜空を引き裂くかのようだった。
私は冷たい川の水の中に頭から飛び込んだ。骨の髄まで凍るような寒さが瞬く間に全身を包み込み、川の水は数え切れないほどの刃のように肌を削り取った。激流が私を激しく打ちつけ、下流へと容赦なく巻き込んでいく。私は魔法の杖とリュックサックを必死に抱きしめ、息継ぎのために水面へ浮上しようとしたが、大きな波に激しく押し戻された。耳に残るのは、水流の轟音、自分の狂ったような鼓動、そして次第に遠ざかっていく兵士たちの罵声だけだった。
暗闇、冷たさ、混乱。
川の水は容赦なく前へと奔流し続け、私をこの漆黒の激流の中に完全に飲み込んでいった。
(第十九話 終)
(第一章 終)




