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紅き炎は王を選ぶ――王とは血か、覚悟か。それとも炎か  作者: 忍び猫
第3章「ハルス魔導学院――月下の誓い」
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友達になって

「ハルス魔導学院へようこそ!」


三角帽子の一団が勢いよくクラッカーを鳴らし、色とりどりの紙吹雪が宙を舞う。

ハルス魔導学院の一年生の教室は、希望に胸を膨らませた十数名の子供たちの熱気で満ち溢れていた。


その喧騒の中心で、燃えるような赤髪の少女が楽しげにくるくると回っている。

ルカだ。

長く伸びたおさげ髪は、まるで意志を持つ生き物のように躍動している。


春の柔らかな陽光が窓から差し込み、

深みのある藍色のタイルが敷かれた教室は、明るい希望の光に照らされていた。


「あなたがミハルね!

どんな子かなぁって、ずっと首を長くして待ってたの!」


ルカのバラ色に染まった頬は興奮で上気し、

一点の陰りもない屈託のない笑顔が花開く。


ミハルは、彼女が魔女の血を引いているという噂話を俄かに信じられなくなった。

人並み外れて悪意に敏感なミハルだが、

目の前の少女からは微塵も邪悪な気配を感じ取ることができない。


それゆえ、唐突な歓迎に戸惑いを隠せずにいた。


「私と友達になって!」


いつの間にかルカはミハルの小さな手を取り、

まっすぐな瞳で彼女を見つめる。


吸い込まれそうな深く澄んだ鳶色の瞳に、

ミハルは思わず息を呑んだ。


それでも、頷くのが精一杯だった。


「これからよろしくね!」


ルカは片方の目を閉じ、

まるで秘密を共有するような、いたずらっぽい微笑みを浮かべる。


よく見ると、彼女のふっくらとした頬には、

愛らしいそばかすが散りばめられている。


ミハルは、胸の奥で何かがふっと軽くなるのを感じた。


窓の外では、柔らかな春風が吹き抜け、

淡いピンク色の桜の花びらが優雅に舞い降りる。


真昼の太陽が、

二人の運命的な出会いを祝福しているかのようだった。


だからこそ異質だった、

ただ一人教室の片隅で、無表情で

宙を見上げる白髪の幼子は。


それは、まるでこの世界からくり抜かれた、

余白そのもののようである。


「君もよろしくね?」


憐憫ではない。

何気ない瞬間。


ミハルが呼びかけると、

彼は、照れくさそうにはにかんだのだ。


彼女はその一瞬の表情を見逃さなかった。


ミハルは、その小さな笑みを胸の奥に刻みつけた。

それが、後戻りできない始まりになるとは、まだ知らずに。

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