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私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
95/135

93. 歌の話。

元・アシュクロフの部屋のベッドに座って話していたのが、悪かった。

隠し扉の近くにあったベッド。

話しながらそのまま並んで座ってしまっていたのだ。


だから私は今、ヴィンセントに押し倒されている。

ああ〜失敗した…と悔やんでも後悔先に立たずだ。


「…マリア、煽ってる?煽ってるだろう?」

「煽ってない!煽ってない!!」と首をぶんぶんと横に振る。

「はあ…もういいよな?俺、頑張った。うん。」

と何やら1人納得し、私にキスの雨を降らせ始める。

「ちょ、ちょ……ちょっ…んんっ………まっ…ダメぇ……」

キスをしながらヴィンセントの手が身体を(まさぐ)る。

びりびりと甘い刺激が走り、声が漏れ出てしまいそれがまた更に彼を煽る形になってしまっている。

「ふぁ……っ……ヴィ、ニー…お願、い………やめてぇ……」


─私はぷちん、と何かが切れた。


「が、まんしてるのが…自分だけ、だと……思うな!!」

と力一杯ヴィンセントを逆に押し倒す。

驚き目を瞬くヴィンセントだが気にせず続ける。

「自分だけ、我慢してると思わないでよ…私だって、ヴィニーと……だけど、()()()()()()抱えたまま楽しめるわけないじゃない…」

"楽しいコト"だなんて、前世から知っている。

ましてや心が通じ合った相手なのだ。だったら心配も憂いもなくなってから目一杯楽しみたい。

むぅぅ、とヴィンセントを睨むと目を見開き驚いた顔から泣きそうな顔になり

「………ごめん、俺…自分の気持ちばかり優先した…」

私は彼の頭を撫でてやる。

「気持ちは、すごくわかる。だけど…今は……お願い。」

「うん…」

ギュッと抱きしめ、頭をよしよししてやる。……どさくさに紛れて胸に顔をぐりぐりしてるが、今はまあ許そう。


「……さすがに、離して?」

「……………柔らかい。」

「…平手打ちされたくなかったら離れようか?」

と耳を引っ張ると

「……ごめんな、さい。」と若干青褪めた顔が上がってくる。

それははっきり言って情けない顔なのだが、可愛らしくて、いじらしくて私のほうからキスをしてやる。

「んふふ…ひどい顔……」

と笑えば少し拗ねるヴィンセント。


もういい時間だったのでそろそろ寝ないと、と自室へ戻る。

「…ヴィニー?」

一緒に私の部屋へと入るヴィンセント。

「……ぎりぎりまで、一緒にいていいか…?」

「…か、まわないけど……」

「もう、押し倒したりしないから。…大丈夫。」


部屋にあるソファに並んで座り、おしゃべりを楽しむ。

「…そういえばマリアは、よく歌をうたうのか?」

「んー…そう、ね…たぶん鼻歌とか、すごく歌ってる気がするわ…」

「それは、前世の歌?」

「…うん。」

こちらにある歌はオペラのような舞台曲か、酒場で歌うもの、子供の遊び歌が主だ。

「…聴いてみたいが…言語が違う、か?」

「ああ…考えた事、なかったわそういえば……」

日本の歌は『日本の歌』として口から流れでるままにいつも歌っている。

「今歌えるか?どう聞こえるか、聴いてみたい。」

「う……ちょっと恥ずかしいけど……私もそれは気になるわ。」

と頭の中を探り、歌う曲を決める。


ヴィンセントを見ながらは、さすがに歌えないのでテーブルの端を見つめ歌う。

「……〜♪ 〜〜♪」


1番を歌い上げ、ちらりとヴィンセントを見やると目を閉じ聴いて?くれているようだった。

「……どう、かしら?」

とおずおずと声をかけると

「うん…一部、わからなかったがおおよそは理解できた。」

「?!…え、本当に…?」

「ああ、わかったな。」


すごく気になったので紙を持ってきて今歌った歌の歌詞を日本語とこちらの文字に変換して書いてみた。

と、書いていて気付いたのだがわからなかった部分は英語の歌詞部分じゃないかと思い

「ねぇ…もしかして、このあたりが理解できなかった?」

と軽く歌いながら聞くと

「あぁ…確かにそこだ。」と返事が。

「え、え、え…本当に…日本語なら、通じるんだ……」

「…"話して"いるのはわかる。だがその文字はわからない…」

「なるほど……」

「…マリア、詳しく話すのはまた今度にしようか。」

とヴィンセントが時計を見ている。つられて私も見ると日付が変わりそうな時間であった。

「あ……」だけど…

「…フッ…『気持ちが昂ぶっていて眠れそうにない』?」

「……いつも思うのだけど、ヴィニーはどうしてわかるの?」

「……マリアの事だから。」

と頬にキスをされるが私はハテナが浮かぶばかりだ。


「寝るまでいてやるから、とにかく寝台に入るんだ。」

と彼が言うので素直に従う。

言葉遣いは違うがこういう部分は、やはり"アシュクロフ"が垣間見える。

ベッドサイドに椅子を持ってきてそこに座るヴィンセント。

色彩は全然違うが、なぜか懐かしく、見慣れていて安心感を覚える。


「…ヴィニーは本当に"アシュ"なのね。」

「なんだ急に…」

「色は、全然違うの。…だけど見える光景が一緒なの。……なんで気付かなかったのかしら?」

「……前は、"ヴィンセント"が嫌われていたから…」

と眉尻を下げる彼に、2人でくすくすと笑いあった。


手を握ってくれて、もう一方の手で頭を撫でてくれる。

「もう…子供じゃないのに」

「…あ、いや……クセになってるな。」

と苦笑いをするヴィンセント。だがその仕草が気持ちが良くて

「ふふふ……"アシュ"…おやすみなさい。」

とわざと言ってみると一瞬驚くものの

「……おやすみなさいませ…お嬢。」

と眩しそうな顔をしながらも乗ってくれるのが嬉しくて、私は優しい気持ちで睡魔と共に落ちていった。


ゆるふわガバガバ設定が炸裂ゥ

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