89.
ヴィンセント→マリア→ヴィンセント
と視点が変わります。
読みにくかったらすいません(汗
「──兄貴、気を取られんなよ。」
「─はっ、そんな、こと……」
「…ッ」
エドガーから一瞬押され彼から離れる。
「…8年越しの"初恋の君"は存在がでかかったか。」
「…言うようになったじゃないか…ッ!」
と隙を見つけ斬りかかる。
「ぐっ…相変わらず人間離れした動きするな…っ!」
「だけど……だいぶ受けられるように…っ なったな!」
もうさっさと決着を着けようかと思ったのだが思わぬものが耳に届き集中が盛大に途切れた。
とその時にエドガーからの刃が頬を掠り、鮮血が舞う。
「…っ」
「…兄貴?」
「………フフッ……」と笑いがもれる。
「え、こわっ…」
「…これは"お仕置き"してやらないとだ、なッ」
と隅に座り笑みを浮かべる彼女をちらりと一瞥し、エドガーを一気に叩きのめす。
「うわっ、マジかよ!」とギリギリ受けていたエドガーだが段々と押し込み、それから少しして、彼は膝をついた。
「…参りました。」
「本当に、強くなったな。」
とエドガーを立たせながら彼を労う。
だがお互いあまり息が切れていないのでそこまで本気ではなかったのがわかる。
「兄貴に、勝てる日くるかなこれ…」
「…頑張れ。」
と彼の肩を叩き早々に彼女の元へ向かう。
……さて、なにを"お仕置き"にしようか。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──ほんの、小さなイタズラ心だった。
結果、彼は頬に傷を負ったのだがその様にゾクッとした私も大概なんだろう。
だが衆人環視の中でキスされたのは、解せなかったが自分が撒いた種だったので顔から火が出そうだったが諦めた。
─出来心で『愛してるわヴィンセント。』とイヤーカフを通して彼に伝えたのだ。
そしたら一瞬驚き、そのあと私を一瞥しエドガーを一気に叩き、私の元へと来たかと思えば私の下顎(おとがい部分)を掴み深くキスをしたのだ。
「…悪い子には"お仕置き"だ。」
と意地悪そうな顔をするヴィンセントにキュンとする私はやはりどこまでいっても彼が好きらしい。
「ヴィンセント殿下、刺激が強すぎます。」
と騎士団長から諫められ解放された私はふらふらと椅子に沈む様子に「お前ら見るな!」とヴィンセントが威嚇している。
「…ご褒美、今のでいいでしょもう…」
「…ダメだって言ったのは君だが?」
「むー……」
今は休憩も兼ねて場を整備しているのを見ている。
騎士たちが『手合わせしたい』とヴィンセントに詰め寄ったからだ。
「うー…今、何人くらい?彼らは…」
「…30くらいか?」
「……じゃあ全員抜き。制約付きで。」
「私も参加してよろしいですか?」
と騎士団長が混ざってきた。
「え。」とヴィンセントは言っているが「もちろんです。」と私が快諾した。
「俺も俺も!」とエドガー。
「──では制約は、ヴィンセント殿下のみこの円から出ないこと。でよろしいですか?」
と中央あたりに直径1.5mくらいの円を描いた。
そしてその中心に立つヴィンセント。
「──ああ、構わない。」
いつまでも終わらないのはダメだと制限時間もついた。
「それでは、これから1時間。耐えきって下さい。──始め!」
と騎士団長の掛け声で耐久レースが始まった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「………はぁ…欲しかった…君からのご褒美……」
とマリアの肩に項垂れながら愚痴る。
耐久手合わせの結果は残り10分ほどのところで騎士たちの連携技に合い、そこに騎士団長からの攻撃で片足が円から出てしまった。
騎士たちの喜びようを思い出して腹が立つがマリアが頑張った頑張ったとすごく褒めてくれたし格好良かったと喜んでいたので相殺する。
終わると昼食の時間だったので部屋に戻り汚れを落としたあと2人で昼食を取り、侯爵家に向かうのは夕なのでそれまでのんびりしているところだ。
よしよしと撫でてくれるマリアが可愛い。
「──誰も"あげない"とは言ってないわ。」
との言葉にゆるゆると顔を上げると少し頬を赤く染めながら
「頑張った人には"ご褒美"があるのよ。」
と笑みを浮かべる彼女に目を見張り生唾を飲む。
彼女のうなじに鼻を寄せ
「───君と、したい。」
とそっと告げるが
「それはダメでござるぅ!?」と跳ね除けられた。…ござる?
「…なんでそんなに頑ななんだ?」
「も、もしがあったら大変だからよ!」
「……俺は構わないが」「私が構うの!」
ようは、学園をきちんと卒業したいから"子供が出来る"を避けたいらしかった。
確かに我が国は避妊の類がほぼない。あってもまじないとかだ。
「…前世ではどうしていたんだ?」
「カガクリョクが違うからきちんとしたのがあったわ。」
…どうやら道具や薬があるらしい。
「あともうひとつあるけど……」と何やら指折り数え「やっぱダメ。」と返ってきた。
「…何を数えたんだ?」
「……その、女の子の周期があるでしょう?」
そのあたりはみっちり教育を受ける。
初代聖女が『女の子は大変なんだからよーく知っておけ男ども!』と言ったとか、いないとか。
「…その周期でおおよその色んな時機がわかるの。」
「へえ………」是非今度詳しく聞きたいものだ。
だが、
「で、今はダメということはいつならいいんだ?」
と笑顔で聞くとマリアが後退ろうとするので捕まえる。
「教えるわけないでしょう?!」
「……マリア」
「甘い声出してもダメなものはダメ!」
…ここで嫌われては元も子もないので引くしかないか。
「……わかった。」
仕方がないのでマリアがどろどろになるまで口付けの嵐をお見舞いしようとしたのだが、部屋の扉が叩かれた。




