85.
微エロ注意。
最後まで歌いきったところで──
「マリアは歌がうまいのだな。」
「にゃあぁぁぁ!?」
窓枠から落ちそうになるもヴィンセントから抱き止められた。
「すまない!驚かすつもりは…」
「びっくりした……」
そのまま窓の下のソファに並んで座り、私は胸を押さえて呼吸を整える。
「本当に、びっくりした…」
「ごめん…気持ち良さそうに歌っていたし、よい曲だったから聴き入ってしまった。」
「〜っ!」恥ずかしくて顔が赤くなる。
可愛い、とキスをされ「…今のは前世の曲か?聞いたことのない言語だったが…」とヴィンセント。
「そう、ね。大好きな曲なの。あっちでもよく口ずさんでいたけど、こっちでもたまに歌ってた…」
「そうか…ちなみに、どんな歌なんだ?」
私は目を見張ってしまう。まさか聞かれるとは思っていなかったから。
「…言いたくない?」「いやっ…その……」
ああーそんな悲しそうな顔しないで、というかわかっててやってるな?!
「"恋の歌"なの…『貴方を見つめていたわ』って……」
──負けました。彼の顔を直視出来ないので顔をそらしながらだが。
「…小さな酒場で歌う女性歌手がいつも片隅で聴いていてくれている男性に向けて歌ったっていう感じなの。」
恋愛の歌だけど、違うこの歌。
ゲーム内容に合わせた曲なのだけど年を取るごとに意味に味わいが増していってずっと歌っていた。
「だけど歌手は断れない縁談が決まっていて、それでも『貴方が恥ずかしそうに私を見つめてくれていたように私もそうしていたわ』って歌うの。」
「え。」
その反応わかるわ、とくすくす笑ってしまった。
「……それは…」と困惑顔のヴィンセントに
「ふふふ…ま、ただの"物語に合わせた曲"だから。」
実際の話ではないわよ、と笑顔を見せれば眉尻を下げる彼。
「あちら、は音楽の文化が発展しているのか?」
「そうね。というか…こちらからしたら色々発展しているわ。」
「そうなのか。マリアは、不便に感じたりしなかったのか?」
「…生まれたときからこちらの世界だし、あちらはあちら、こちらはこちら、よ。」
まあ不便は多々あるが魔法で解決したりしている。
『発展しすぎた科学は魔法と変わらない』なんて誰かが言っていた言葉が頭をよぎる。
ふと時計を見ると23時になろうかというぐらいだった。
「…そろそろ寝ないと。」
「ん、そうだな。」
「……ところで。寝台が1台なんですが…」
「……そう、だな…」
と2人でもぞもぞしてしまう。
「──誓って、何も」「いや、無理でしょ。」
うっ、と彼から声が漏れる。
「私はあっちで寝椅子で寝るわ。」
「いや、それなら俺が」
…これは終わらない応酬になってしまうやつだ。
どうしたものかと考えていたのだが
「…マリア……」
と甘く切ない声で耳元で囁かれ身体がびくりと跳ねる。
この王子はなんつーことを!と思ったのだが振り向くより早く横抱きに抱えあげられる。
「わっ、ちょっ…」とあっという間にベッドに沈められた。
そうしてまたしてもキスの嵐。
キスが気持ちよくて頭が痺れてくる。
とヴィンセントがキスをしながら服の下に手を差し入れ私のお腹を撫でた。
「っ!…ひぁ……」
くすぐったいのと、身体の奥が熱くなるのを感じ『"マリア"の身体やべーな』とくらくらする。
ニヤリとするヴィンセントの顔が目に入り、また頬を抓ってやろうかと思ったが身体が思うように動かない。
「い、やだ……」「…なぜ?」
「君の身体はこんなにも正直なのに。」
と鎖骨あたりから真っ直ぐ下へつーっと指でなぞられ、んんっ、と耐えることしかできない。
そっとヴィンセントが顔を私の耳元へ寄せ
「──お前の全てを俺にくれ。」
と囁かれ──私は気絶した。
ああ、人って案外簡単に気絶するんだなー…なんて思いながらぷっつりと意識が途切れた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「…………マリア?」
…あれ、彼女の反応が…と思ったら……気絶、した…?
え、まずかったか?とよくよく見るがすぅすぅと規則正しい寝息が聞こえているから大丈夫なようだ。
「……攻めすぎたか…というか、」
もしかして"感じやすい"のか?と気付きますます猛るが、今は生殺しだったと項垂れる。
「……はぁ。まさか…気絶するとは…」
とりあえず彼女を布団に入れてやり、自分は浴室へ逆戻りした。
"お預け"か、と自嘲混じりに欲を吐き出すが、
「─可愛かった。」
めちゃくちゃ可愛かった。蕩けた顔が煽る煽る。
あれ、マリアは気付いていないんだろうな…他のやつに見られたら危険だから注意しなければ…
しばらく浴室から出られなかったがようやく戻ると穏やかな寝顔で寝ていた。
最近は悪夢を見ていないと言っていた。6年前の日々から考えると本当によかったと思う。
「…まあこれからは俺が全てから守ってやるからな。」
と眠る彼女に口付けをする。頭を撫でると微かにふにゃっとなるのがたまらなく愛おしい。
"アシュクロフ"のときには出来なかった、マリアにぴったり寄り添い彼女の存在を感じながら自分も寝ることにした。
欲は散々吐き出したあとだからか少しもぞりとしたが大丈夫そうだった。
「おやすみ、愛しの君──。」
刺激が強すぎました。残念!




