84.
微…?エロ注意。
とりあえず落ち着いたようなのでマリア用の部屋へと案内する。
「…もしかして、隣?」
「……その…いわゆる"王子妃"の…部屋だ。」
俺の自室から寝室を挟んで反対側。
家具類や化粧品などは彼女の好みや使っているもので揃えたが…
「…屋敷の、私の部屋みたいね。」と少し複雑そうだ。
「……気に入らないなら替えるが…」
「それは勿体ないわ。」
と彼女は部屋の中を見て回っている。
…前世とやらの話しをしたからなのか、マリアの仕草や言動が少し違うように感じる。
初めて出会ってからの間、たまに覗かせていた違和感はそのせいだったのかと今更納得がいく。
「…そっちの奥に専用の浴室があるから、好きに使ってくれ。あと用があればその呼び鈴を鳴らせば誰か来てくれる。」
「……わかったわ。ありがとう」とふわりと笑うマリア。
時計を見るとだいぶ、遅い時間になっていた。
さっそく風呂にでも入るのか髪を解き始める。
その仕草が、とても官能的で…目が離せなくて、部屋を出る時機を逃してしまった。
それが気になったのか「…ヴィニー?」とマリアから声をかけられるも、ぼんやりと彼女を眺め
「──30代からすると18は、子供のように見えるのか?」
と口から零れてしまった。
しまった、と手で口を塞ぐもマリアは驚き目を瞬いている。
だが彼女は
「…こんな話し聞きたくないかもしれないけど、前世の最後の恋人は10個年上だったわ。…というか今は15歳なんですが?」
とくすくす笑っているが、前世の話なのに"恋人がいたのか"と嫉妬心が顔を覗かせそれがまた自分をひどく子供っぽく感じてしまう。
「年齢なんて、実際関係ないと思うわ。ヒトは物心つく前から誰かを好きになりそれこそ死ぬ間際まで誰かを愛してると思う。」
そう告げるマリアの顔はとても優しい。
「ヴィニーは、私を年齢で好きになってくれたの?」
「っ、違う!それは断じて違う…」
「だったらそれが"答え"でしょ?」
「ああ…ごめん……君は君でしかないのに…」
とマリアを抱きしめると彼女も抱きしめ返してくれる。
「…前世の話しなんかしたからそんなこと考えさせちゃったのね。ごめんなさい…」
と謝るマリアに
「俺の方こそ悪いんだ…こんな、醜い嫉妬心や執着心を曝け出しても受け入れてくれるのが、嬉しくて…だけど反面ひどく子供っぽく思えてしまって…ごめん……」
マリアがいつも俺がしているように頭を撫でてくれる。
「その…私は、『ここまで愛して貰って幸せだな』なんて思ってるから、気にしないで?」
と顔を赤らめながらも言う彼女にもう歯止めが効かない。
「マリア、愛している…」
と口付けの嵐を送ると焦りながらも応えてくれるのがさらに愛しさを増すと同時に劣情が顔を出す。
「──マリア、マリア……君の全てが欲しい…」
と口に出すと頬を抓られた。
「だーめ。…イケナイこと考えたでしょう?」
と睨む彼女にぐうの音も出ない。
とりあえず部屋を出るよう促されるので痛む頬を擦りながら素直に従った。
…そのままいると押し倒してしまいそうだったから。
自室に戻り俺自身も風呂へ入ることにした。
湯船に浸かりながらぼんやりとマリアのことを考える。
子供の頃からずっとずっと手に入れたかった彼女が、ようやく…
前世の記憶の話しを聞いても納得がいくことしかなくて、それもまた彼女の魅力になっていてますます惹かれた。
俺の想いに応えてくれた彼女が、可愛いくて、愛しくて、仕えていたときは抑え込めていたモノが抑え込めなくて自分が少し嫌になるがそれも無理ないだろう?と自分で自分に言い訳をする。
あんな、柔らかくて焦りながらも応えてくれて、少し潤んだ瞳にほんのり赤い頬……
ああ、だめだ。これをこのままマリアに叩きつけてしまいそうだからそれらは浴室に吐き出していく。
………なかなか治まらなくて少し長風呂になった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『──マリア、マリア……君の全てが欲しい…』
湯船に浸かりながらヴィンセントの言葉を思い出して顔に熱が集まるのがわかる。
ブツが当たっているし、さすがにそれはダメだと彼の頬を抓ったが…
本人もだめだとわかっているのかあっさり引き下がってくれて良かった。
今日1日で脈拍の乱高下がすごかったのでお風呂にゆっくりと浸かり身体を労りながら色々思い出す。
…にしても、魔法剣…めちゃくちゃ格好良かったな……
明日頼んでもっと色々見せてもらおうかな…
そして、『私が聖女』か……本当に…?
ヴィンセントは何か知っていそうな口ぶりだった。…彼のことだからちゃんと教えてくれるだろう。
他にもファーストキスやら騎士団長の話やら思い出していたがこれ以上はのぼせそうだったのでゆっくりとあがる。
用意されていた寝間着はフリルが付いていて可愛らしかったがワンピースタイプのネグリジェではなく、ちゃんと上下にわかれていて下はズボンだったので私をよく知る彼らしいな、とフフッとなった。
ベッドはあれひとつのようだったから仕方なく寝室に向かうもヴィンセントはまだいなかった。
寝室を見渡すとなぜか窓の下にソファが置いてある。
窓には1階だが欄干が付けてあるので私は窓を開け、ソファを使ってそこに登る。
窓枠に座るの、憧れだったのよねと誰ともなく言い訳をする。
外はほどよく涼しくて火照った身体に丁度よく、晴れた夜空に弓張月が出ていてほんのり明るい。
…ヴィンセントは前世の話しをしてもまったく気にした様子がなかった。
正直怖かった。拒否されたら、って…
"アシュクロフ"がいなくなって、その穴を埋めるように支えてくれたのは確かに"ヴィンセント"で、同一人物だったとしても、私はいつの間にか彼がこんなにも大切な人になっていたのだな…と感じる。
「…〜♪ 〜〜♪」
前世で大好きで、今世になってからもよく歌っていた曲を口ずさむ。
ふとしたときに浮かんで口ずさんでしまう某ゲームの曲──。
ヴィンセントは心身ともに健康な男子ですからね…




