↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
82/135

80.

「わっ…」

覆い被さるようにヴィンセントから頭を抱きしめられる。


「あの、とりあえず座って……」

と私の右隣を空け、ヴィンセントを座らせる。

"ヴィンセント"は左隣に座るのがいつもなのだが、たぶん、彼は()()()私の左隣に座っていたはずだ。

「これ、見せないようにしてましたよね?」

と彼の左耳のイヤーカフを触れば少しバツの悪そうな顔をする。

「……外す、という選択肢はなかったんだ…最近はたまに聞こえる声に、返事出来ないのは辛かったが…それでも外せなかった。」


もう陽がだいぶ落ち、夜の(とばり)が勢力を増している。


「……マリア、左手を。」

「……私、お妃様とか、絶対無理ですよ。」

「君が嫌なら何もしなくていい。…王太子を辞めたって構わない。」

「それはダメでしょう…」

「俺の、隣で笑っていてくれれば…ただそれだけでいい。」

「う……」

「……やっぱり王太子をやめ」「もー、それ脅しじゃん…」

と睨むもヴィンセントは困ったように眉尻を下げるだけだ。


「……マリア。」

「……本当に、何も出来ないですからね?」

「大丈夫だ。俺が頑張る。」

と柔らかな笑みを浮かべるヴィンセントに

こわごわと左手を出せば優しく掴み、キスをし

薬指にそっと青い魔石の付いた指輪を嵌めてくれる。


「…ありがとう。必ず、幸せにする。」

「…やっちゃったなあ」

「え。」

「ふふふ…大変な人を好きになったな、って」

「マリア……」

見つめ合い、どちらともなく唇を重ねる。

「…愛しているよ、マリア。」

と抱きしめてくれるので、私もそっと、抱きしめ返す。

「……ようやく、君を…手に入れられた…」

と私の肩に頭を擦り寄せている。

「…ヴィニー様、くすぐったいです。」

「もう"様"はなしだ。あと口調。」

とチュッと唇にキスをされる。

「むぅ……」

「…呼んでくれるか?」

「…どっ、ちで……」「好きな方で。」

前世ではすぐ呼び捨てに出来たがこちらで生まれ育ち15年は意外と長かったらしく、その習慣がとても恥ずかしく感じてしまう。…アシュクロフのときは平気だったのに…

しかし彼は期待に満ち満ちた顔で待ちわびているので、腹を括る。

すうっと、そっと息を吸い込み

「……ヴィニー… 大好きよヴィニー。」

と言い終わるや否や、唇を奪われる。

何度も、何度もキスをされる。

合間合間に「好きだ」「大好き」「愛してる」と言いながら一向に止めようとはしてくれない。


「ちょ……まっ……んん………ふぁ……」

待て待て待て!タガが外れすぎじゃないか?!と私は焦るが腰と後頭部に手を回され逃げることが出来ない。

「ヴィニー、まっ…まって……ちょっ……」

と唇へのキスから首筋にキスされた時点で

「それ以上はまだダメ!」と耳を引っ張る。


「限度を知りなさい限度を!」

「…ごめん」

としゅんとしているヴィンセント。

「…はぁ、びっくりした。」

「……自分でも止められないとは思わなかった。すまない…」

「…もう…っくしゅん。」

夏とは言え、もうすっかり暗くなった時間は冷える。

「大丈夫か?」

「さすがにそろそろ帰らないと…」

「…今日は帰せない。」

「……は?」

自分でも驚くほど低い声が出た。


「ちゃんと侯爵殿と夫人には許可をもらってる。」

「……初耳なんですが?ねぇねぇヴィンセント様??」

一体どういうこと?と私は詰め寄るも

「いや、あの、その…」と彼は逃げ腰だ。

「ちゃんと説明…を、っくしゅんっ」

「とにかく室内に行こう。な?」と手を引かれ物見塔の頂上をあとにする。


ヴィンセントがギュッと私を抱き寄せ、暖めてくれながら階段を降りていきつつ話しをする。


「…今日は"ヴィンセント"として誘おうと思ってたんだ。」

「…そうなの?」

「うん…だけど君から"アシュクロフ"宛に手紙がきて…もうこれは、と腹を括った。」

「………」私は視線で先を促す。

「君に本当のことを伝えて、再度求婚しようと思ったのだが…まさかあんな事が起きるとはな。」

とヴィンセントは苦笑しているが…

「…私が断ったら、どうしたの?」

「………口説き落とせる自信はあった。…それでもダメだったら……」


「──割と本気で王族を抜けようかと考えていた。」


あっぶない…!思わず段を踏み外しそうになった。

「…そ、れは……」

「…ただ1人の男として、君を口説き直そう、と。」

「……そこまで、やる…?」

正直、私にそこまでの魅力はないように思うのだが…

「マリア、君は自分の魅力を知らなさすぎる。」

と眉尻を下げる彼に私は目を瞬く。

「容姿に性格、魔法能力…君を"欲しい"と思っているのはそれなりにいる。」

「……え。」

「まず、ニコラス・イルミネは言わずもがなだろう?…あとジョシュア・コルネルからも釣り書きが来ていたが、サラがいるからと侯爵殿が断っているはずだ。」

ジョシュア・コルネル─サラの実弟で私と同い年だ。

「知ら、なかった……」

「まあ、他にも釣り書きはいくつかそのまま処分したな。」

「んな!」「だって必要ない。…俺がいるんだから。」

とどさくさに紛れてキスをするヴィンセント。

「っ!ヴィニー!」と怒るも、可愛いとまたキスをされる。


「〜〜っ もう…今までと違いすぎじゃない…?」

「ん?俺は元々こっちが普段だ。」

とケロッとしているのが腹立たしい。


ヴィンセントはキス魔。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。