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私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
77/135

75. 友達以上にはなれない話。

部屋がジョセフの隣に戻ったのだが今のところ悪夢を見ないですんでいる。

初日は"見たらどうしよう"と戦々恐々と床についたのだが翌朝すっきりと目覚めた。

…心のどこかに『甘え』があったのだろうか?アシュクロフがいるから、と…


それから学園での試験も終わり、2週間ほど経った。

図書館で勉強することはなくなったのであまり図書館に行かなくなったのだがその日は本を借りようと3人で帰り際、図書館に向かっていた。


「あれ、あの樹のとこ誰かいる…」

顔を見たことはないが制服を来た男女が一組。2年生だろう。

「…何してるのかな?」とトラビスも見ている。

「……もうすぐ、『鎮魂祭』ですから。」とシャロン。


─鎮魂祭。日本で言う『お盆』だ。

日本の盆より1ヶ月ほど早く行われる。

今からだと2週間くらいあとで、夏休みに入った直後。

つまり……


「…告白中か。」

「そうですわね。」

確かにあの樹は、『恋愛成就の樹』だ。なるほど…


「マリアは、今年はどうしますの?」

「…は?」どう、とは……

「…ヴィンセント殿下と?」

「何も話していないけど…忙しいみたいだし。」

"しばらく忙しくて会えない"と手紙を貰っている。…視線のことを調べてくれているのだろうか?

と、ふとあることを思いついた。

「……シャロン、ちょっと手伝ってもらうかも」

「?」


帰り道、アシュクロフへの手紙の話をした。

「…返事がないかもしれないのでしょう?」

「でも、可能性があるなら…」

「………わかりましたわ。会える会えないは別にして、その日は(わたくし)たちと出かける、ということにしますのね?」

「…うん。」

「僕は、構わないよ。」

「トラビス君…ありがとう。」

「……なにかあれば、すぐに連絡しなさいね?」

とシャロンはイヤーカフを指している。

「もちろん。…というか返事がない可能性のほうが、高いんだけどね」

と自嘲が混じるも

「…それは、わかりませんわ。」

となぜかシャロンが不思議な返事をしてきた。

「…シャロン?」「…ところで、視線のことですが。」

と深くは突っ込まさせてくれなかったが…


「……なにかわかったの?」

「はっきりとはわからないのが正直なところなのですが、()()破落戸(ごろつき)を数人雇っている形跡がありましたわ。」


…我が国は基本、平和なのだがどうしても盗みやひったくりなどの犯罪者はいる。

聖女の力で()()()()()()()は多少軽減されるが、国内で発生すると効果がないらしい。


「なんの、ために…というか私と関係あるの…?」

「……(わたくし)の、予想が正しければ。」

だけど今は言えませんわ、とシャロン。

トラビスに視線をやるが彼も眉尻を下げるだけで何も言ってくれなかった。


とにかく鎮魂祭の日の協力は得られたのだ。

屋敷に戻り急いで手紙を書く。

といっても

『鎮魂祭の日、11時にいつもの文房具屋前で待っています。』

という、メモ書きのようなものだが…

この手紙とは言い難い手紙をお父様に託す。

お父様は「…わかった。」としっかりと頷いてくれた。

ついでに鎮魂祭の日の予定も一緒に伝えたがヴィンセントとではないのかと問われ、忙しいみたいだからたぶん彼とは行かない、と答えておいた。

…というか、"家族公認"みたいになっていて少し恥ずかしくなった。

私はまだヴィンセントになにも返事などしていないのだけど……


それから1週間が経ち、私はニコラスから放課後、食堂ではなく図書館へと通じる渡り廊下に呼び出された。…さすがの私も、色々気付く。

()()()の側は嫌だな、と思ったのだが先客がいたので助かった。


「…あの、マリア。」

「…なに?」

「……今度の鎮魂祭、一緒に周って欲しい。」

と熱の籠もった瞳で告げられるも

「ごめんなさい。…先約があるの。」

「……ヴィンセント殿下?」

「違うわ。シャロンたちと一緒よ。」

「ならなぜ!」

「ごめんなさい。私は、貴方を()()()()()では見れない。」

思わせぶりなことは、していないと思うのだけど…こればっかりは受け手側で変わってしまうのでどうしようもない。

「………そっ、か……いや、わかってた…()()としてでしか見られていないのは…それでも…」

泣きそうな顔のニコラスを敢えて真っ直ぐ見つめる。


「………」「………」


しばらく見つめ合っていたが、彼がふっ、と笑ったかと思うと

「…ありがとう、はっきり断ってくれて。」

「こちらこそ、ごめんなさい。」

「いや………変なお願いだけど、まだ友人でいてくれる?」

「……貴方が…ニコラスが辛くないなら。貴方の望むままに。」

「ありがとう…それだけで、充分だよ。」

「ニコラスの、魔法の話し大好きよ。騎士団で活躍するの楽しみ!」

「…ありがとう、頑張るよ。」

と握手をしそのまま別れた。


「……よかったの?」

「シャロン…」

彼女はずっと、影で待っていてくれた。

「嫌いではないけど、好きでもないのよ。本当に、ただの()()…」

「…帰りましょうか。」

トラビスが待ちぼうけしてるわ、とシャロンがぼやく。

「…うん。」

なんとなく、久しぶりに、シャロンと手を繋いで馬車停めまで行った。


…トラビスに見つかってズルい!と詰め寄られたけど。


夏祭り前って急にカップル増えますよね。(白目

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