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私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
65/135

63. ハプニングの話。

「おっと、もうこんな時間だ。」

とヴィンセントが懐中時計を見ている。


「今日も楽しい時間をありがとう。」

「いえ、こちらこそありがとうございました。」


ではくれぐれも気を付けて、と馬車まで見送られその日のお茶会は無事終了した。


翌日の休みは久しぶりに何もなかったので本当に、だらだらと過ごした。

また熱が出たらいけないからと農作業の手伝いもダメだと言われ、何もなくなってしまったのでならばいっそのこと、とだらだらしているのだ。


今は国立図書館から借りてきた本をベッドに寝転がりながら読んでいる。

これは『外国の守護魔法』のことが記してある本でエリ先生から時間があるときに目を通してみて、と言われたのだ。

…ただまぁ、実際読んでみると…前世のRPGゲームよろしくなことばかりだ。

だからあの時、守護魔法を学びましょうと言われても正直ゲームで見たやつをやればいいのでは?としか思わなかった。

だけど発動した結果はゲーム通りとはいかないようで効果が記してあるのは助かった。

それらと前世の記憶とを合わせて『私の守護魔法』をイメージしておく。…使う事があるのかどうかは置いといて。


でも、たぶん咄嗟になんて使えないと思う…

…前世での()()があるし、今世でも起きたことを鑑みると……

まあ、『転ばぬ先の杖』といったところだろうか。

あ、それか魔道具を創るというのもアリか!何か危険を察知したら発動するような……


それから1日考えてみたけれど、結果、ダメだった。

付与をしてみようかと以前見つけた露店で新たに買ったネックレスを前に魔法を発動しようとしたが物理・魔法耐性はダメだったし、状態異常耐性もダメだった。(ちなみにあの露店はアシュクロフがすぐに見つけてきてくれて直接連絡が取れるようにしてある。有能!)

各種耐性のアクセサリーを作っても意味がないし一旦、耐性防具は諦めた。


そういえば一緒に新しい耳飾り(今回はイヤリングになったが)を買ったのだったと思い出しシャロンたちにあげる分を創ろうとして、アシュクロフに言わなくちゃと思い彼の部屋へ向かった。


扉をノックするも返事がなく、ノブを回すと開いたので入るわよ?と声をかけそっと部屋を覗くと──アシュクロフがソファでうたた寝している姿が目に入る。


「ありゃ…寝てる……」

ふと、前回入ったときはゆっくり見れなかったなと思いそうっと部屋の中を見て回る。

本人は寝ているから本当はダメだけど、家具類は我が家の物で部屋毎で違うので好奇心が抑えられなかった。


部屋はとてもシンプルだった。

ベッドに文机、大きいソファが1脚と1人掛けソファが2脚。あとローテーブルにクローゼット。

家具は全てシンプルなデザインでブラウンの木材ベースに座面などの布類は紺色だ。

ベッドに天蓋がかかってないからすごくシンプルに見える。


とアシュクロフが寝ているソファへと近付く。

すうすうと規則正しい寝息をたて、よく眠っているようだ。

夜中も普通に起きてくるからいつ寝ているのかと思っていたけど、こういう時間に寝ていたのかと納得する。

近くでまじまじと見たことがなかったので、まだ起きる気配もないしとそっと近付き彼の顔を見つめてみる。


まつ毛結構長い。髪も…いつもは耳にかけているから気付かなかったけどそこそこ長い。肌綺麗…男性でこんなに肌綺麗とかズルいな…なんて少しにやにやしながら見ていたら、アシュクロフが突然目を覚ました。


瞬間、彼はガバッと起き上がったので思いっきりお互いのおでこをぶつけた。


「い゛っっったあぁ!!」

「〜〜〜っ!!」


よくマンガとかで頭をぶつけ、星が飛んでいる描写があるが本当なんだなと実体験することになるとは…

「っ、なん、でお嬢…っ」

「アシュ、貴方…結構石頭ね…っ」

額を押さえながらよろよろとアシュクロフの隣に座る。

「なん、もう、ああ……痛い……」

「お嬢…なんで、俺の部屋に…というかっ見せてくださいッ」

とアシュクロフから顔を掴まれ額を見られる。

「あぁ〜…赤くなってる…痛いですよね、すいません…」

「いや、自分が悪い、と思うし…貴方も赤くなってる」

ごめんなさい、と彼の額にそっと触れ治癒魔法をかける。


「痛いの痛いの飛んでいけ〜…なんちゃって」

と魔法と一緒にかけたら途端にアシュクロフの顔が真っ赤になった。

「はっ、ばっ……お嬢ッ!!」

「え、あ……なんかごめん……」

その様子に私も恥ずかしくなり変な汗が出てくるので、隠すように自分の額にも治癒魔法をかけた。


「…もう、痛くない?」

「……大丈夫です。」


なんだか気まずくて黙ってしまったがアシュクロフが沈黙を破る。

「それ、で…何か用だったんですか?」

「あ……あの、また耳飾り作ろうと思って、一応声かけてからやろうかなって…」

「ああ…先日また買ってましたね。」

「うん。シャロンとトラビスにあげるの。」

とローテーブルに持ってきたイヤリングを取り出す。今回は菫色の魔石だ。


ちなみに魔石の色は属性とかではなく、また決まった色もない。

塊で埋まっているようなところは掘り出すと様々な色が一緒に埋まっているらしい。

魔石の生成される仕組みはよくわかってないらしく、掘り出した場所を再度埋め、ある程度時が経つとまたそこに生成されるのだとか。

…地脈かなにかの上に出来る鉱石なのかな?

そしてこの魔石もまた、『聖女の力』で他に比べると品質が高いらしく我が国の主な輸出品(収入源)だ。お陰で小さい国ながら財政は潤沢である。


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