5. お願いされました?!
1話1話の長さがなかなかばらばらで揃いません…。
───けっこん?
けっこん、てなんだっけ。
ああ、結婚か。
え? 誰と誰が?
私と、ヴィンセント殿下?
今、ヴィンセント殿下は、私に、求婚、したの ?
「…………………は?」
素っ頓狂な声が出てしまったが叫ばなかっただけマシだと誰か褒めて欲しい。
「そう。マリア嬢、私のお嫁さんになって欲しいんだ。」
…嘘とか冗談じゃなかったらしい。再度言われてしまった。
ぽかんと殿下の方を見ると真っ直ぐ、少し熱を孕んだような瞳とぶつかり急に恥ずかしくなって、視線を落とす。
どうしよう、どうしよう、どうしよう!!ぐるぐると考える。
──シャロンの言っていたことは本当だったんだわ…!
"今夜の夜会でヴィンセント殿下は妃候補を探しているらしいわよ!"
シャロンの声が蘇る。それって聖女のことじゃないの〜?なんて軽口叩いていた…
本当にどうしよう…私に妃なんて無理だし、第一にヴィンセント殿下のこと、よく知らないわ……殿下だって私のこと知らないはずよね…?
それに私は出来れば、恋愛結婚したいのよ!
………恋愛…ん? ハッとある事を思い付く。
「殿下…申し出は大変名誉な事なのですが、申し訳ありません……私、実は恋人がいるのです!」
そうよ!
恋人がいるって言ったら流石に少しは考えてくれるんじゃない?!
俯向きながらおずおずとそう告げると、
「……へぇ? それは…一体、どこの、誰、なのかな?」
顔はものすごく笑顔なのにすごーく冷えた、隠しきれない怒気が籠もった声で聞いてくる。
(ひぇ…っ これはちゃんと答えないと、まず家に帰して貰えない気がするわ……っ というか何故殿下はそんな事を…?)
「マリア嬢?」
「はっ、はぃ…っ えと……」
心の中で生贄となる相手に謝りながら答える。
「──私の執事のアシュクロフです。」
「───えっ」
コンコンコン、と扉がノックされる。侍女さんの1人が外を確認し、
「─失礼致します。 クローヴィス侯爵様と夫人がいらっしゃっております。」
「………………」
唖然とした顔で固まっている。…そんなに衝撃的だったの?
「……ヴィンセント殿下? 如何なさいますか?」
「……っ すまない、入って貰って…」
言うが早いかバタンっと勢いよく扉が開かれ室内へ駆け込んでくる2人。
「マリア!」「マリアちゃんっ!」
「お父様っ!お母様っ!」助けがきたぁ〜、と2人の元に駆け寄る。
「シャロンからお前がヴィンセント殿下に連れて行かれたと聞いて一体何事かと…!」
「殿下のことだから王族用の休憩室じゃないかとメアリーから聞いて急いで来たのよ。」
メアリーとは王妃様のことで、お母様と王妃様は魔法学園時代に出会い唯一無二の大親友となったそうだ。
「──まあ、3人とも座って下さい。」
ヴィンセントの向かいのソファに私を挟んだ形で3人並んで座る。
「それで、一体何事ですか?」お父様が口火を切る。
「殿下ともあろうお方が…見切り発車すぎではないですか?」
「……すまない。 マリア嬢を見たらもう、いても立ってもいられなくなってしまって…」
「では話しはどこまで?」
「……………私から結婚して欲しいと伝えて、そうしたらマリア嬢に恋人がいると聞かされたところです。」
「……はぁ? お前、一体いつの間に… 相手は誰なんだ?」
「……ア、アシュクロフです…っ」嘘だけど。
ぶふっ!!といきなり吹き出すお父様。
顔を背けてなんとか堪えようとしているが、ぐっぐふっ、くくく…と明らかに笑っている…
お母様も顔を背け、こちらは声は出さないようにしているが肩がぷるぷると震えに震えている。
正面のヴィンセントに至ってはこちらはこちらで顔を両手で覆ってしまっている。
「〜〜〜っ 3人とも一体何なんですか!!私がアシュクロフと恋人同士というのがそんなに可笑しいのですか?!」
「ち、違うそうじゃない!そうではないのだ!!」ぶんぶんと両手を振って弁明してくるお父様。
「いや、ちょっと、予想外すぎて、な…?」
「あとね、マリアちゃん。貴女に伝えていない事があるの。」復活早いわねさすがお母様。
「───え…? それは…」
コホン、と切り替えなのか咳払いをするお父様。
「実は… お前とヴィンセント殿下はすでに仮の婚約中なのだ。」
1〜5話のサブタイトルは『ヴィンセントとマリアの出会い(マリアの心情)』です。
更新頻度のあれこれは自分が思った以上に書き進められているのが原因です。
なんせ初めてなので手探りで進んでおりますゆえ…




