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私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
46/135

44. 学園の話。 始まり

──「ヴィンセント殿下。」


彼の後ろ、声のした方を見ると制服姿の聖女セリスがそこにはいた。


セリスは「ヴィンセント殿下、ごきげんよう。」とスカートの裾を摘み挨拶している。

笑顔で私を見ていたヴィンセントだが声が聞こえた瞬間、スッと表情がなくなった。

「…セリス嬢か。入学おめでとう。2年間しっかりやりなさい。」

と以前からしたらだいぶましな対応だがそれでもまだ、冷めている。

だがセリスは"声をかけて貰った"という事実が天にも昇る気持ちらしく顔を赤くし、ぽーっとなって彼を見つめている。

まあ、ヴィンセントはさっさと私の方に向き直っているが…


「マリア、そろそろ時間のようですわ。」「先生が集まれって。」

とシャロンとトラビスから呼ばれる。

「……もう時間か…あ、そうだ。これ」

とヴィンセントから手紙を渡された。

「ありがとうございます?」と目を瞬く私。

「ふ、ふふ…疑問系…」と笑ったかと思うと私の髪を一房掴みキスをし


「家に帰ってからゆっくり見てね?」


とウインクされた。

ひぇっとなったがなんとか正気を保った。

……彼の後ろからセリスがすごい顔で私を睨んでいたから。


「これで失礼しますわ。ヴィンセント殿下。」とシャロンから引っ張られる。

私は驚きすぎて「さようなら」と言うのが精一杯だった。

セリスも以前見たミアという女性に連れられて集合している。

ヴィンセントはしばらくその場で私たちを見送っていた。



全員いるなー?と先生が確認し、教室へと案内される。

今年の新入生は1クラスで全30名。

教室へ着くとすぐ席替えするから適当に座れ、と先生から言われるのでとにかくみんな座っていき、座り終わると先生が箱を持ち、前から順番にくじを引かせながら回っていく。


「全員くじ引いたか?…よし、じゃあこの順番に席替えしろ。」

と黒板に紙を貼り出した。

自分が引いた紙に書いてある番号と前に貼ってある番号を見比べ移動する。

私はラッキーなことに窓側の一番後ろだった。

隣の席はこれまたラッキーなことにシャロンが。

2人で喜びあったがトラビスは…と探すと、可哀想なことに教壇の前の席だった。

「あらー…トラビス君、可哀想……」

「しっかり学んだらいいですわ。」

とシャロンは取り付く島もない。


そして私の前の席には、ニコラスが来た。

「おはよう、マリア、シャロン嬢」

「ニコラス、おはよう…」「おはようございますニコラスさん」

「マリアの前の席とか嬉しいな〜よろしくね」

と彼はとても嬉しそうだ。

「…よろしくね」と先日を思い出して少し引き気味になってしまった。

ちなみにシャロンの前はタチアナ・ペイジ伯爵令嬢になったようだ。

挨拶をしようとしたが先生が

「全員座ったな?見えづらいとかないか?…よし、じゃあまず自己紹介からな。」

「俺は担任のアレックス。担当教科は社会だ。これから1年間よろしくな。…あぁ、家名はなくても構わない。持たない奴もいるから気にしなくていいぞ。…じゃ、そこから始めて。」

と廊下側の一番前の席の子から自己紹介していく。

ああー…学校、だな〜と懐かしくなった。

自己紹介、と言っても国内組はおおよそ平民含め初等学校で同級生だ。

平民からは10名、うち2人ほど年上の人がいた。

留学生はトラビス含め貴族のみ11名。

国内貴族は9名。ここはよく知っているメンバーだ。


そうして全員の自己紹介が終わった。

「よし。これから2年間、一緒に頑張る仲間だ。無理に仲良くしろとは言わん。まあ、節度を持った仲でいろ。─午後は学園内の案内の予定だが昼休みになるから食堂だけ先に案内するぞ。」

と全員でぞろぞろと移動していく。

まあ学舎の規模はそこまで大きくないのであっという間に着いてしまった。


まだ少し昼休みには早いので誰もいないが昼食のいい匂いが充満している。

「ここが食堂だ。料理は日替わりで数種類。その中から好きなものを選んで好きな場所でとるように。外にも席があるぞ。俺たち教師もここで食べる。あと食事作法は気にしなくていい。」

なかなか広い食堂だ。ちなみに全て無料で食べられる。

「今日はもう昼休みに入っていいぞー。予鈴が鳴ったら本鈴が鳴るまでに教室に戻るように。」

「はい」とみんなで返事をし、各自注文口へと向かう。


私はシャロンとトラビスと並び

「天気いいから外にしよう?」「いいわね。」「賛成〜」

と各々好きなものを受け取りテラス席へと行く。

その頃、終鈴が鳴り2年生たちも食堂へ来るようでにわかに騒がしくなった。


テラス席にはまだほとんど生徒がいなかったので好きな席に座れた。

選んだ昼食は私がサンドイッチ、シャロンはパスタ、トラビスはハンバーガー。

そう、なんとハンバーガーがあるのだ。…()()が作ったんだろうなあ…

「これ、ここででしか食べられないんだよね〜」とトラビスが嬉しそうだ。

「そう、なんだ…」「マリア知らなかったんですの?」

いただきます、とサンドイッチを一口食べながらこくこくと頷く。

「街にはないでしょう?」「そうだね、学園限定」とトラビスがかぶりついている。

「パンが特殊らしいですわ。」と優雅にパスタを口に運ぶシャロン。

「へー…」…イースト菌とかの問題かな…?

と3人でおしゃべりをしながら食べていたのだが

「あー、ここにいた!」

と今朝方聞いた声がまた聞こえる。

「エドガー殿下…」

よ、と手を挙げちょっとそこ入れてくれ、と私の横に隣のテーブルから椅子を持ってきて座るエドガー。

「…エドガー殿下「あ、殿下はナシで。」

といきなり遮られた。

「一体どういう…」と3人で目を瞬く。

「学園では地位とか関係ないんだ。だからここでは俺はただの"エドガー・ギレスビア"ってこと。」

「…なるほど。では…エドガー先輩?」

と私が言うと満足そうに頷かれた。

「では私は呼び捨てでも「いや、それは兄貴に殺されるから止めとく…」

…彼は人の話しを最後まで聞かないのだろうか。

「マリアちゃん、でいいか?あとシャロンちゃんとトラビス。」

トラビスは呼び捨てなのか…

(わたくし)は構いませんわ。」「僕も構いません。」

ありがとうよろしくな、とエドガーは嬉しそうだ。


「それで、エドガー先輩はなにかご用ですか。」

「いやー、やっぱり生徒会入ってくれない?」

「入りません。」

「そこをなんとか!」とエドガーが頼み込んでくる。

「…他に入る方はいらっしゃいませんの?」とシャロンが聞くと

「えーっと…セリス嬢が入りたがってたな。」

「ぜっっったい入りません!」

「彼女がいるならマリアは絶対に入りませんわね。」

ねー、とシャロンと頷きあう。

「エドガー先輩、彼女確実に貴方を踏み台にする気でしょうけどいいんですか?」とトラビスが正直に質問している。

「…まあ、な。まだ返事はしていないんだ。」と声を潜め、

「君たちが入ってくれれば、人数が定数になったということで断れるんだが…」と眉尻を下げるエドガー。

「………頑張って下さい。」彼女がいなかったとしても、はっきり言って生徒会なんてやりたくない。

エドガーは「ああ!ひどい!」と泣き真似をしているが

「まあ、まだ決定までは時間があるからまた来る。」

とケロリと持ち直した。

「じゃ、生徒会の仕事あるからまたね。」と言うだけ言って去っていくエドガーに「もう来ないで下さい!」と投げかけるもまた来るー!と行ってしまった。


「…もうヤダ。」「…嵐のような人ですわね。」

はあ、とため息をつきつつ昼食の残りを片付ける。


だが、生徒会ねぇ…どんな事やるんだろう?とほんの少し興味がわいたのは事実だ。


……そういえばヴィンセント殿下は前生徒会長なのよね…何か機会があれば聞いてみようか?

と自然に頭に浮かんだことに私は気が付かなかった。


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