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私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
27/135

25. トラビスと小さな命の話。


シャロンとトラビスの出会いはお互い12歳の頃。

トラビスが視察で来国したとき、貿易を担っていたサーザラン侯爵家がその頃次期当主になるのが決まったシャロンを顔繋ぎのため紹介したのが初め。

─なんでも紹介されたその場で求婚したらしい…

しかしシャロンは『(わたくし)は次期当主になりますの。だからお嫁になど行きません。』と不敬罪で問われてもおかしくない断り方をしたのだとか。

その時はトラビス本人も了解し急にすまなかったと逆に謝られ、その場は終わったそうなのだけど次の日からが大変だったようで…


シャロンの元には花を一輪咥えた魔法鳥(メール)が毎日、飛んでくるようになった。─愛の言葉も共に携えて。


それが半年ほど続いたある日、シャロンが「もう、うんざりですわ!」とグランツィア国に向かった。再度断わってやります、と鼻息荒く出ていった1週間後。

「……婚約しましたわ。」と帰ってきたのには耳を疑った。

その1週間で一体何があったのか、何度聞いても「内緒ですの。」と真っ赤になるので相当甘い時間を過ごしてきたのだろうなと思っている。


そんなことを思い出しながらにやにやと2人を見ていたら「なんですの?」とシャロンから突っ込まれたので「いやあ、いい夫婦だなと思って。」と素直に答えたらまだ結婚してませんわ!と怒られた。

「ところでマリアさんはあの話本当なの?」「あの話?」「うん、ほら……」とトラビスから問われかけたところで食堂に着いてしまった。

「…またあとでね」「? うん。」……なんだろう?


食堂にはウィルフレッドとサラの2人がすでに席についていた。

「あれ?お父様とジョセ兄様は?」全員揃うかと思ったんだけど…

「父さんとジョセフは仕事で街に出てる。」「そっか、残念〜。」仕事なら仕方がない。

「ウィル様、サラ様こんにちは。」「こんにちは、お久しぶりです。」

「やあ。シャロンと、トラビス君か!」「はい、少し早いですがこれからよろしくお願いします。」よろしくな、とウィルフレッドとトラビスが握手している横で

「こんにちはシャロンちゃん、トラビス君。本当に久しぶりね」とサラとシャロンが「サラ様もう具合はよろしいのですか?」「えぇ、今度は食べすぎを注意しないとなの」と笑い合っている。

するとトラビスが「えっ?!サラ様ご病気だったのですかっ?」と驚いた。

そうか、彼は知らなかったっけ。

シャロンに会いに来て私に会うことはあってもその家族までは会わないしシャロンもサラの様子を知っていたからまだ伝えてないのね。

義姉様(おねえさま)は今妊娠中なのよ。」

「え!そうだったんですか…知らなかった。お祝いも何も用意してない…」と少し項垂れているが突然がばりと頭を上げ「おめでとうございます!」とウィルフレッドとサラに握手を求めている。

「ありがとう。気持ちだけで充分だから気にしないでくれ。」と言うウィルフレッドにサラが頷き同意するも

「でも…」と引かない彼に「じゃあ生まれてからを期待してるわ。」とサラがにこにこ答えている。

「わかりました!期待していて下さい!今どれくらいなのですか?」

「もうすぐ6ヶ月よ。」とふっくらしてきたお腹を見せている。

「わあ…もうだいぶ大きく…あの、男の僕だと嫌かもしれませんが触らせて貰えませんか…?」とトラビスがおずおずとすごいことを言い出した。

すかさずシャロンが「トラビスっ さすがにそれは…!」と止めに入ろうとしたが「いいのよ、シャロンちゃん」とサラがそれを止めた。

「トラビス君ならいいわ。優しく触ってね?近頃は少し動くのがわかるのよ。」と彼女が言うので構えていたウィルフレッドもサラがいいなら、と了承した。

「ありがとうございます…!では、失礼します…」と緊張の面持ちでそうっと触れるトラビス。

「うわぁ…この中で、小さな命が育っているんですね…!すごい……」「そうね。今だに自分でも驚いているわ。」

トラビスはひどく感激しているのか少し瞳が潤んでいる。わかるー私も初めて触らせて貰ったときすごく感動したもの…

そっと手を離し「ありがとうございました…!なかなか妊娠中の方が身近にいることがないので思わず…」不躾で申し訳ありませんでした、と謝るトラビスにいいのよとサラが穏やかに微笑んでいる。


「それじゃあそろそろいいかしら?」

とお母様から声が上がり、気付くとすでに昼食の準備が終わっていた。

「あっ すみませんアイリーンおば様…!」と席に急ぐトラビス。

「いいのよ。とても大事な経験だと思うわ。 では冷めないうちにいただきましょうか?」ウィルフレッド、とお母様が促す。

「うん。…ではいただこうか。」とお父様と同じ様に見回しそれを合図に「いただきます。」と食べ始める。

最近こういうことが増えてきた。

ウィルフレッドがお父様の代わりに挨拶などをするのだ。父親にもなるのだし次期当主としての意識を高める意味もあるのだろう。


昼食会は始終和やかだった。

トラビスが、相変わらず野菜が美味しいこれから毎日食べられるなんて…と感激していた。そこまで褒めて貰えると嬉しいな。


食後はそのまま解散となった。

ウィルフレッドとお母様は仕事があるらしく少し休んだらまた出るのだとか。サラは赤ちゃんの洋服や布おむつなどを作っているらしい。

私たちはというと、天気もいいし四阿(ガゼボ)でお茶にしない?と提案し賛成!と移動してきたところだ。


一見、軽そうに見えるトラビス君は情熱型で愛妻家。

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