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私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
25/135

23. 成長期の話。


「アシュと何か話ししてたの?」

「特にはしてないわよ。」

「? そうなんだ。

仕立て屋さん来てないかアシュに聞こうと思ったらいなくて探したのに入れ替わりになってたのね」

「そうね。」


今は仕立て屋が来るのをシャロンと2人で待っているところだ。

でもシャロンはなんだか考え込んでいるようで少し上の空。

「シャーローンー? どうしたの?アシュからなんか言われた?」私のシャロンに何かしたならたとえアシュクロフであっても許さない。

「…っ あ、ごめんなさい。何もないわ、本当よ?ちょっと()()()()を考えていたの。」にこりといつもの笑顔を見せるシャロン。

「そう?…ならいいけど、その"考え"は私、聞かないほうがいい?」

「そうね…少し、複雑なことだから。」

シャロンは頭がいい。私よりもずっと。だから彼女が『複雑』だなんていう事は、私なんかが口出ししても意味はない。なので私は…

「なにか、私に出来そうなことがあるならすぐ言ってね!」

「もちろんよ。頼りにしてるわ。」とても嬉しそうなので私も嬉しくなる。

えへへうふふ、と2人で笑い合っていると扉がノックされ返事をするとお母様と仕立て屋が部屋に入ってきた。


「おはようシャロンちゃん!先日はお疲れ様、それとありがとう。」

「アイリーンおば様、おはようございます。いえ、とんでもないですわ。」と2人が話していると、

「おはようございますお嬢様方〜!本日はよろしくお願いします〜。」とお母様の後ろから少し背の低い眼鏡をかけた顔が覗く。

「おはようございますお母様、ミカエルさん。今日はお願いします!」と私も挨拶をする。

「マリアちゃんもおはよう」とお母様が抱きしめてくれる。おはようお母様、と私も抱きしめ返す。

お母様とお父様は朝早くから農作業に一旦出てしまう。正午前に戻ってきて昼食の時間に会うのが通常だ。


そうしている間にミカエルと助手の方々が部屋に荷物を運び入れている。

ミカエル、本名(フルネーム)はミカエル・プラダナ伯爵令嬢。紡績業を担うプラダナ伯爵家のお嬢様だがデザイナーになりたいと単身家を飛び出し才能を開花させ今では新進気鋭の売れっ子デザイナーだ。


「まずはお嬢様方の採寸をさせて頂きます〜。皆さん、お願いしますね〜。」と助手の方々に指示を出している。

「お願いします!」と私たちも気合いをいれる。…いれる必要は全くないんだけど。


少しくすぐったく感じながら、細かく採寸されていくのを黙って受ける。ミカエルはトルソーにドレスを1着掛けそれからテーブルに学園の制服を並べているようだ。

前、採寸したのはデビュタントのドレスを作るときだから2ヶ月程前。あまり変わってないと思うのだけど…

「マリアお嬢様は…お胸周りが少々。まあでも…まだ大丈夫ですね!」

…ナニが大丈夫なんだろう…というかまだ成長するのか…

「なんですの?マリアはまたですの?!」とシャロンが少々怒っている。そう言われてもコントロールできるものではないからね…


採寸が終わりまずは私のドレスの最終チェックから。

サイズは前回のを参考にほぼ出来上がっていて、今回で再度採寸し仕上げていくのだ。

このドレスは5日ほど後にある『立太子の儀』に参加するためのもの。別にいらないんじゃと思ったのだけど、これまたお母様とシャロンから必死に説得(という名の脅し)を受け、作ることになった。


トルソーを指しながらミカエルが「儀式用のご衣装はこちらですね〜」と独特の口調で続ける。

「試着後調整が必要かどうかを確認します〜。あとはもう少し刺繍を施すと出来上がりです〜。」と説明を受けた。

ではお願いします、と助手の方々と一緒に衝立の向こうで着替える。


立太子の儀、というか王族関連の行事のとき出席者は王家に敬意を表すため衣装に青や紺を用いるのが定番となっている。

なので今回、私は紺のマーメイドラインのドレスを選んでみた。

まだ私の年代の子はAラインとか選ぶのもアリなのだけどせっかく学園生(前世だと高校生くらい)になるのだからちょっと大人っぽくてもいいかな、って。

だけど未婚なのであまり素肌を見せないように背中とデコルテはレースで覆った。肩は出ているが二の腕までの長手袋をするので大丈夫らしい。胸元とスカートには銀糸で刺繍を施して貰うことにした。


着替えが終わり、初めに自分だけ鏡を見せてもらう。…なかなか似合ってるんじゃない?へへへと嬉しくなる。

ミカエルが「胸周り…腰周り…足周りも…大丈夫、と……少し、裾を上げましょうか〜。当日の靴は…」と言われたので用意していたものを履いてみる。

「うん、やっぱりもう少し……」ぶつぶつと調整箇所を呟きながらメモしている。

と、衝立の向こうからお母様が「そろそろ私たちにも見せてくださる?」と声をかけてきた。

「はい〜。もう大丈夫です〜…よいしょっ」とミカエル自ら衝立をどけてくれた。


「どうかな…?」少し照れくさい。

「あらあらまあまあ…まだまだ子供だと思ってたらいつの間にかもう大人の女性ね」とニコニコ顔のお母様。

シャロンは「まったく、羨ましいですわ。似合いすぎて逆に腹が立つもの。」と言いながらもすごく嬉しそうだ。

「そういえばシャロンは?」「(わたくし)はトラビスから贈られましたの。もう届いてるわ。」揃いにしたかったのですって、と照れ臭そうにしている。


お母様がミカエルにじゃあこのまま最終まで仕上げて頂戴、と伝えているのを横目に私たちは次は制服に着替えることに。

今日のメインイベントはこっち!魔法学園の制服だ。

ドレスは手を借りて脱ぎ着させて貰ったが制服はこれから毎日自分で着替えるので同じように着替えることにした。


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