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私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
19/135

18. 悪夢退散?の話。


あの魔法はもう1度使えるのだろうか?


あれから今まで大怪我を負った人は周囲にいないため試そうにも試せない。

たぶん、出来るだろうなとは感じる。否定的な感情が浮かばないからだ。


13歳になった頃、医師からちょっと強めの魔法を使い始めても大丈夫とお墨付きをもらいそれから様々な魔法を試した。

その結果、"出来そうにない魔法"は想像してみても『あ、無理』という感情が湧くことがわかった。

…まあその過程でヤバイもの思いついちゃったんだけど……


と、ここでふあぁ〜…とあくびが出る。

「今日は、よく眠れる気がする…」

ベッドへと移動しもぞもぞと布団に潜り込むと枕の下のポプリからいい香りがする。夢見の悪い私のために庭師さんが作ってくれたのだ。ちょっとした"おまじない"もかかってるらしい。…嬉しい。

身体が温まってくるとあっという間にうとうとしだす。


「明日、なにか予定があった気がする…なんだっけ……まあ、いっか……」



──その晩は、アシュクロフと花畑でピクニックをしている夢を見た。

手を繋いでくるくる2人で回って、最後は───



ふわふわとした心地で目が覚める。

もそりと上半身を起こし時計を見るとまもなく6時を指す頃。


ぽけーっとなかなか頭が働かない。

……というか、私…()()()()()()()()


は、花畑で…アシュクロフとピ、ピクニック……

手を繋いで……さ、最後は……キ………


待て待て待て待て。いきなり浮かれすぎじゃないか私?!

こ、恋は人を強くするとか言うけど…悪夢から一転しすぎじゃないか?!

いや、まあ確かに今世では10歳から悪夢に苛まれて恋のひとつもしてこなかったけどさ!

それに最後、あんな……


と思い出してしまい、顔に熱が集まるのがわかる。

今日はアシュクロフをまともに見れるのだろうか…


コンコンコンっと扉が叩かれる。時間は6時を過ぎたところのようだからティアナが起こしに来たのだろう。

「お嬢様、起きていらっしゃいますか?」と声が聞こえたので「起きてるから入っていいわ。」と返事をする。

おはようございます、と入ってくるや否や、

「お嬢様?!お顔が赤いです!熱でもあるのではないですか?!」と駆け寄ってきた。

「あ、いや、あの…大丈夫、よ…あの…あのね……」もじもじしてしまうがそれなりな理由を言わないと大変なことになるのは目に見えているからかなりぼやかして

「夢を、見たの。──幸せな、夢だったの。」

目を見開き驚くティアナ。と次の瞬間

「お、お嬢様〜〜〜!!!」と大号泣し始めた…

「ちょ、ちょ、ちょっと!そこまで…!」「だって、だってぇ」うわぁぁぁぁんと泣くティアナ。

「…この6年間、悪夢に苛まれるお嬢様をずっとずっと本当の妹のように思って見てきたのよ?!その子が、"幸せな夢を見た"なんて……」

よほど嬉しかったのか言葉が崩れてしまっている。

というかそんな風に思ってくれていたなんて知らなかった。

私も嬉しくて「ありがとう、ティア。」とギュッと抱きしめるとティアナもしっかりと抱きしめ返してくれる。

それがまた嬉しくて顔を見合わせ、えへへと笑い合う。


こんな日がくるなんて─と思っていたら突然扉が開かれ

「一体何事?!」とアシュクロフが駆け込んでくる。ティアナの泣き声を聞いたのだろう。

しかしアシュクロフの顔を見た瞬間、夢の光景を思い出してしまって顔が赤くなるのが自分でもわかる。

慌ててティアナの胸に顔を埋め「アシュ!出てって!朝の女の子の部屋にいきなり入ってこないでよ!」と憎まれ口を叩いてしまった。

「えっ?はぁ?!」と訳がわからない様子のアシュクロフに「早く!」と言うと「えぇー…理不尽…」とか呟きながら出ていく気配がする。

そんな私の様子を見てティアナが「あぁ…そういう…」となにか納得したようだった。

バレバレなのは、わかってる…でも、あの夢のあとじゃちょっと、さすがの私でも無理……

「ティ、ティア…あの……」「大丈夫です、お嬢様。誰にも言いませんから!」とティアナは慈愛に満ちた顔をしている。

…まあ、近いうちに"あのこと"が屋敷中に知れ渡るとは思うけど。


「さ、朝の準備をしましょう。」と少し目が赤いが、もういつもの顔になっている。さすが我が家の侍女、切り替えが早い。


「今日はどれを着ようかな……」とクローゼットを眺め、うーん……これにしよう、と若草色でパフスリーブの膝丈ワンピースドレスを選ぶ。

着替える前に備え付けの洗面台で顔を洗い、自分で着替える。

化粧台に座るとティアナが髪を梳きながら「髪型はどうされますか?」と聞いてくるので「好きにしていいよ」と返事をしたら「じゃあとびきり可愛く仕上げますね。」なんて少しにやにやしながら言われてしった。

一体なにを考えているのやら…


恋はいくつになっても甘酸っぱいもの。

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