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私の執事の秘密のオシゴト。  作者: ruka
本編
11/135

10. 困惑する話。


はぁぁ〜〜、と情けない声を出しながらソファに崩れ落ちる。


…そうだわ…そしてごっこ遊びをした相手、それはたぶん──ヴィンセント殿下だ。


(え、じゃあアレが殿下の言っていた"約束"?…子供のごっこ遊びだったのに??)

頭がますます混乱する。

とにかくお母様に確認をしたい。

「ティア、お母様は?」

「奥様でしたらレッダラム侯爵夫人の昼食会に参加されております。…3時頃にはお戻りになられるかと。」

「……ちなみにアシュは」「まだ戻ってないです。」

ちらりと部屋に置いてある時計を見る。…2時になったばかりくらいだ。

「そう… わかったありがとう。下がっていいわ。」

失礼いたします、と部屋から出て行くのをぼーっと見つめる。


…これは、早急に対策を練らねばならないわ…!

たぶん、おそらく、推測の域は出ないし、考えたくはないけど、


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()いる…!!


王妃様とお母様があらあらうふふって書面にしたに違いない…!思わず頭を抱える。

ごっこ遊びの時の光景は思い出せないけどいつも一緒に遊んでいたのはヴィンセントだしエドガーはいつも王妃様かヴィンセントにくっついていた気がする。

…っ、やはりお母様に確認しないと……

3時頃帰るって言っていたっけ……なんかもやもやが少し晴れたら、眠たくなってきた……ベッド行くの面倒だしもうソファで、いい…か……

ふあ〜っとあくびをし、ワンピースのスカートがめくれないようにしながらソファに横になる。

昨晩もよく寝たつもりだったけど頭を使ったからかあっという間に眠りについてしまった。



───…い、痛いっ やめ…っ もう、やめて……っ──


「お嬢っ!!」と、突然強く抱き締められ一気に現実世界に引き戻される。

「──ぁ……」身体ががくがくと震えているのが自分でもわかった。

「…お嬢、なんでそんなとこで寝たんですか…」呆れ顔のアシュクロフ。…どうやらうなされていたようだ。

「……アシュ。」「なんですか?」

ひどく久しぶりに見るような気がする執事の整った顔。会いたかったと言いそうになって急に恥ずかしくなり慌てて口を噤んだ。

「……なんでもない。」「…はあ? まあ起きて下さい。夕食の準備が出来てますんで。」と立たされ、ぱたぱたと軽く身支度を整えられる。

「はい、大丈夫ですよ。綺麗になりました。もう皆様食堂にお揃いです。」

「ありがとう。なら急いで行かなくちゃ。」と行こうとしたら走っちゃだめですよ!と声をかけられた。

「もう子供じゃないんだからそんなことしない! …早歩きはするけど。」

「別に夕食は逃げませんし、皆様も怒らないですよ。」

「私が早く行きたいの!」と反論したがそれが子供っぽいんですよ、とか言うので睨んでおいた。


急いで食堂へ向かうともう全員席についていた。

「遅くなってごめんなさい!」自分の席に滑り込む。

「全然待ってないから大丈夫だ。」「そうよ。ジョセフもついさっき来たところよ。」お父様、お母様が大丈夫、と微笑む。

揃ったのを見計らって使用人たちがテーブルに夕食を並べていく。

今日の夕食は牛のステーキがメインのようで義姉様(おねえさま)は消化が良いように煮込みハンバーグになっている。(レッダラム侯爵夫人からお土産で肉を戴いたのかな?)

我が家の夕食はコース式ではなく一気に並ぶ。給仕で話を遮られるのをお父様が嫌がったからだ。

準備が終わったのを見てお父様が「では、いただこうか。」と全員の顔を見渡し、頷く。

それが合図となり「いただきます。」と各々食べ始める。


サラダから手を付ける。うーん、やっぱり我が領地の野菜美味しい〜!

自然と笑みが溢れちゃう。

「お母様今日の昼食会どうでした?お肉、お土産でしょう?」

牛ステーキを口に運びながら聞く。…さすがレッダラム家直産のお肉。すごく美味しい。

「いつも通り楽しかったわよ。"女子会"だったかしら?」とにこにことしている。

定期的に三侯爵夫人で昼食会をしていると聞いて『女子会ね!』と言ったらすごく喜んだのだ。

「"女子"ねぇ…」「何か言ったかしら?ジョセフ?」

…ジョセ兄様それは言っちゃだめよ。お母様の背後に黒いものが見えるわ…

「それでお母様、家畜たちの病の件は?」と話題を変える。

ふふふ、助け舟を出してやろう。


ちょっと前、家畜に伝染病が出てしまったらしい。

前回の昼食会でレッダラム侯爵夫人はかなり憔悴していたらしくお母様も心配していたので前世の知識を引っ張り出して、対策案を出してみたのだ。

といっても詳しく話を聞くと消毒の類をやっていないと言っていたのでそれを指摘しただけなのだが…

消毒は病院で医師や看護師、患者…つまり人間がやる、という認識だったので厩舎や世話係の服、靴等を徹底的に消毒するよう勧めてみた。

残念ながら病が出てしまった厩舎にいた家畜たちは全頭処分するしかなかったが前までは自然と終息するまでたくさんの家畜が犠牲になっていたので今回は被害が抑えられているといいなと思う。


主人公、出だしにため息ばっかりついてるな。

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