訪れた平穏、エピローグ
今回の、死亡者の人数、ミスってたんで、修正しました
「そんなわけで、今回の騒動の死亡者の数、100人だそうです」
ヒイラギの部屋で、チマリが、のんびりと告げる。
「あんなことがあって、100人で済んだのは奇跡的なことだと思いますよ」
「でも、100人も死んじゃったわけだろ、大丈夫なの?学園の責任問題とか」
マキナは、グリモアの血に汚れた剣をひたすら磨いている。
「まあ、大丈夫じゃないですか?ぶっちゃけ、高学年になって行われる、魔物の討伐の実地研修などで同じくらい死んでいるらしいですし」
「え、そんな危険なことするんだ」
「死ななきゃいいんですよ」
「今回、死にかけたくせに」
「誰がいいますか、まったく」
「……ごめん」
「頑張って助けてくれたので、チャラにしてあげます」
「えっと……」
「どうしたんですか?ヒイラギさん」
チマリもマキナも、あんなことがあったにもかかわらず、まったりと過ごしていた。
「色々さ、報告とかして戻ってきたら、なんで平気な顔して二人とも俺の部屋でくつろいでるの?」
「やだなぁ、ヒイラギさんを待ってたんですよー」
「チマリ、傷は大丈夫なのか?」
死にかけていたはずのチマリはいつもと変わらぬ顔で過ごしている。
「あー、ぶっちゃけ、まじ、死にかけました。でも、ジーナ姫が、ぐわーって感じで治してくれたんで、傷一つ残っていません」
「ジーナさん、すごいな……」
「ヒイラギさんのおかげでもあるんですよ。ジーナ姫のスキルは願いの力なんで、私の無事を祈った、ヒイラギさんとマキナさんのおかげで、今私はこうしていられるんです。ありがとうございました」
「どういたしまして……」
「なあ、ヒイラギ、この血、全然落ちないんだけど、どうしてくれんだよ」
マキナはひたすら、剣を磨いている。
「あー、ごめん。ちょっとまって」
そういうと、ヒイラギは、魔法の矢を一つ作り、剣に沿わせる。
すると、魔法の矢が、こびりついていた血をすべてきれいに剥ぎ取った。
「なに今の!どうやったの?」
「矢を、剣とこびりついた血の間に滑り込ませて、剥がした」
「そんなことできるのか!すげえな」
「簡単にいいますけど、それ、超繊細なコントロールが必要な、ハイレベルの技ですからね」
「へー、じゃあ、チマリはできないのか?」
「……でき……ませんね。悔しいですが」
「がんばれよ、チマリ」
「応援しないでくださいよ、ヒイラギさん!いいですか!今に超えてやりますからね!」
「そういえば、ヒノスケは?」
「私が意識を失ったことで、消えてしまいました。ヒノスケを再び出す魔力はまだ回復してません」
「残念」
「実際、もう、ヘトヘトだよな」
「ああ」
このようにのんびりと会話しているが、チマリもマキナも魔力カラカラで、ヒイラギも魔力はほとんど残っていない。
「結局、あの魔獣はなんだったんだ?喋るもんなの?」
「そんなわけがないでしょう……まあ、これが魔王の影響、ということなのでしょうか」
「なるほどなぁー」
「名前はグリモアっていうらしい」
「へぇ。にしても、よく生き残れたなヒイラギ」
「手加減、っていうか、遊ばれてたんだな。本気でこられてたら、負けてたわ」
「個人名があるほどの地位なのでしょう。そうとう強いはずです」
「普通、魔物に個人名なんてないもんな」
「いつか、また、あれと戦うとなると。はぁ、気が滅入るな」
「その時には、私ももっと強くなってますから、安心してください!」
「期待してるよ」
「そういえば、タンポポちゃんも、あとで部屋に来るって言ってましたよ」
「タンポポとか、ジーナさんも色々事後処理に忙しいっぽいな」
「うわぁー、貴族って大変ですね」
「ん?マキナ?」
「あれ、ふふふ。マキナさん寝ちゃってますよ」
「なんか、イタズラでもするか?」
「いいですね、それ!」
一つの嵐が去って、束の間の平穏がヒイラギたちに訪れた。
「遅くなってごめん!」
タンポポが、ヒイラギの部屋の扉を開き、入ってくる。
「って、あれ……フフッ」
タンポポは優しく微笑む。
「相変わらず仲良いね、三人は」
部屋の真ん中では、ヒイラギ、マキナ、チマリの三人が死んだように、ぐっすりと眠っていた。
「みんな、お疲れ様」
タンポポは、静かに扉を閉めて、部屋を後にした。
第2章は、これで終わります!




