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失恋戦士〜ステータスが、失恋の回数の累乗強くなる  作者: キサラキ
第2章 一年編〜水瓶座の刺客
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開戦!惨劇のその先へ

水瓶座の刺客、始まりました

それは、あってはならない事態。

最悪の蓋が開く、前ぶれ。

きっと、奴らは狙った。

未来ある芽をつぶす場を。



ヒイラギと、タンポポはステージに立ち、魔法の矢の形成を始める。


エリザは、それを見てニヤリと笑う。


「ヒイラギ、貴様というやつは」

「これは、タンポポが考えたんですよ」

「ほう、やるじゃないかアン」


タンポポは、エリザに答えない。


「えっと、集中してるんですよ」

「なるほどな、貴様はいいのか?」

「そろそろ、ですかね」

「分かった」


すると、エリザは魔法を用いて会場中に声を響き渡らせる。


「全員、注目!これが、入試一位と六位の実力だ!」


ヒイラギは、苦笑いを浮かべた。

タンポポには、そんな様子はない模様。


そして、二人は魔法の矢を放ち始めた。


それぞれ、五つの大きな矢を出し、そこから相手の矢に向けて魔法を放つ。

一つ一つのサイズをバラバラにしながら。


エリザが注目させるまでもなく、二人の相殺による、ポンという音の連続爆破により、ありとあらゆる人間が、二人に注目した。



その時を、待っていた悪鬼がいることを知らずに。



二人の魔法は、最後に激しくせめぎ合い、五つの特大をぶつけ合って、終わりを迎えた。

その、エンターテイメント的展開に、多くの人間が、歓声を上げ、拍手を送る中。


紛れ込んだ、悲鳴。


最初は、気づかずに。


だが、少しずつ、伝染していく。


やがて、その悲鳴が、会場に存在を気付かせるまでに、会場の様々なところで……。


100人もの、学生が命を落とした。




「ジーナ!!」


エリザが、爆音を轟かせて叫ぶ。

ジーナは、即座にステージに現れ答える。


「はい!」

「行ってくる!後は頼んだ!」

「分かりました」


そう言うと、エリザは膨大な魔力を体から溢れさせる。

やがて、魔法陣を形成し、その魔力は二つの雷のエリザの分身を作り上げ、エリザと3人、それぞれ別方向に、飛び去っていく。


その先からは、雷の轟く音が空気を震わせる。


短い言葉のみで、意思を疎通する二人。

同じく、ステージにいる、タンポポとヒイラギは未だ状況をつかめていない。

他の学生もそうだ。

しかし、何かが起きていることはわかっている。

地に伏した、学生の側にいたものから波が広がり、どこかへ逃げようと、パニックに陥る。


「みんな!私は生徒会長のジーナ・マグナイツ!私の言葉を聞きなさい」


ジーナの言葉は、決して大きな声ではなかった、しかし、人々の心の中に響く。

それも、願いを叶えるスキルの恩恵、願いを届ける力。


「現在、この学園は魔物の集団に襲撃されている!敵勢力がどれだけ学園に入り込んでいるかは、いまだつかめていない!けれど、命が失われたことは事実!ここにいる一年諸君は今すぐに校舎に避難しなさい!上の学年のもので自分に戦う術があるものは、下級生を束ね、校舎まで守り抜きなさい!」


ジーナは、安心させようと笑みを浮かべる。


「安心して、校舎までの道は、生徒会執行部が守るから」


その瞬間、他のステージの上に、特殊な服装をした人々が、現れる。


「さあ、仕事よ!守り抜きなさい!」


特殊な服装……生徒会専用の戦闘服を着込んだ四人の生徒会執行部員はそれぞれ答える。


「任せんしゃい!」

「うーい」

「把握しました」

「みんな!ついてきてね!」


そう、告げ、行動を開始する。


ジーナは、ステージの上から、遠い空を見つめる。


「ヒイラギくん、あれを見て」

「あれって……おいおいおい!なんだよあれ!」


その先は、黒く染まっていた。

いや、正確には黒い魔物達が羽ばたいて、空を黒く染めていたのだ。


「アン・ジェラノール・ダンデライオン!」

「はい!」

「貴方は、空を駆け抜けて、今すぐ校舎の中に入りなさい!そして、そこでこの学園を覆う結界をダンデライオンのスキルで補強しなさい。すでに、一部破られています」

「分かりました!」


タンポポは、肉体強化を用いて体を強化し即座に駆け出した。


「おいタンポポ!ジーナさん!タンポポを一人で行かせて、良いんですか!」

「それ以外に選択肢はない。それに、それが彼女の仕事よ」

「……俺は、何をすれば」


そう、ヒイラギは惨劇が始まってからここまでの間、ステージに立ち尽くし、何も行動できないでいたのだ。

世界を救うスキルを与えられていながら。


「今、私のスキルで把握しました。現在この広場に入り込んでいる敵勢力は……1500!?どうして、こんなことができるの!」

「1500……」

「エリザ先生を中心に教師陣が確実に減らしてるけど、この数じゃ……それに、今日は学園側の教員も武闘派はほとんど出払っている。こんな日に来るなんて……いやだからこそね。誰かが手引きしてるわ」

「そんな!一体誰が!」

「それは後。じゃあ、君の役目を告げるわね」

「はい」

「君、一応武器は携帯してるわよね?」

「はい」

「戦える?」

「もちろん」

「それじゃあ、広場に行き、魔物を狩りなさい!」

「はい!」

「場所は……ここから東に二キロ先に!そこが貴方の担当場所!マキナくんとチマリちゃんが今そこで、戦っているわ!」

「マキナとチマリが……!分かりました!ありがとうございます」


ヒイラギは、魔法の矢を出し、それに飛び乗り飛んでいく。

その技法は、マキナとチマリを空に打ち上げたものと同じ技法であった。


「さてと、私の仕事ね」


ジーナは、その場に座り込み座禅を組む。

そして、願いに耳を傾ける。


「助けて!」

「あいつが死んだ!」

「お願い!誰か!」


いまだ、手の回っていない学生の願いを彼女は聞き届ける。

そして、奇跡を起こす。


助かるはずの無かったものを助ける、マグナイツのスキル。願いを叶えるスキル。


失われた命は戻らないけれど、失われつつある命は、彼女が悉く、再起させた。


そして、威光のスキルを発動する。

願いを聞き届けるために、強化された威光のスキルをだ。


今この瞬間、魔物の爪に切り裂かれそうな人がいた。

やられる、そう思ったが。

終わりの瞬間は訪れない。

目を開けばそこには、光り輝く土人形が魔物を切り裂いていた。


威光は土を従えて、願いのあるところに現れて、会場全てを守り抜く。


ありとあらゆるを守り抜くことのできる力、それがジーナ・マグナイツの力だった。


魔物には、三段階ある。

一つ目は単純に魔物、知能のない邪悪の生命体。

二つ目は魔獣、魔物を束ねることのできる知能を持つ個体。

三つ目は魔人、一騎当千の人の形をした魔の化身である。


魔人がいるなんて、誰も思ってはいなかった。

ましてや、その魔人が、魔王軍の幹部の一角だなんて、思うわけがないだろう。

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