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失恋戦士〜ステータスが、失恋の回数の累乗強くなる  作者: キサラキ
第2章 一年編〜水瓶座の刺客
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部屋でのんびり、どうしよっか

「それで、タンポポちゃんはコントロールができるようになるんですか?」


チマリは、今日もヒノスケと格闘しながら話しかけてくる。

もちろん、俺の部屋。


「どうだろうな。できる限りのことはするが、一週間ってのはなかなか」

「でしょうね。そう簡単にあの課題はこなせるようにはなりませんよ」

「チマリはどうなんだ?」

「私は、魔力こそ普通ですが、あのようなコントロールは完璧ですので」

「へえ、じゃあ見せてみろよ」


その言葉を皮切りに、チマリはギラついた笑顔になり、魔法の矢を3本一気に飛ばしてくる、それぞれが異なる威力、異なる属性で。


「入試の時のヒイラギさんのコントロールを見てから、私は魔法の矢の訓練は欠かさず行っているのです!」


ヒイラギは、冷静に判断し、魔法の矢で相殺する。

そして、同じように魔法の矢を生成し、放つ。


「さすがヒイラギさん」


チマリは、楽しそうにそれを相殺する。

二人は、相殺を続けながら会話も続ける。


「チマリはできてもよ、ペアの相手はどうなんだよ」

「あー、まあ一週間あればギリギリどうにかなるかなーって感じですね」

「まあまあ、コントロールはできるって感じか」

「はい、一応貴族っぽいですし」

「また12貴族か?」

「さあ?それは分かりません」

「どうして」

「12貴族のほとんどは、そのことを隠しているんです。12貴族同士は面識があるそうですが、私たちみたいな小市民には知る由もありませんよ。タンポポちゃんの家は、結界担当だからよく知られてるんですよ」

「なんで、結界担当だと知られるんだ?」

「国を守るのがジェラノール家です。じゃあ、ジェラノール家は国を挙げて守ろうじゃないか……と。もっとも、ジェラノール家はそれを嫌がって、国の端っこの方で静かに暮らしてますが。これ、割と有名な話ですよ?」

「いやあ、うちも田舎だったから」

「それなら、仕方ないですかね」


こうしている間も、相殺合戦を続けている。

そういえば、先ほどまでチマリと遊んであげていたヒノスケはどうしたのだろうか。

気になり、部屋を見渡すと、マキナの膝の上で寝ていた。

相変わらず懐いてんな!

てか、マキナいたのか!

静かすぎて忘れてたわ!

マキナは、黙々とスキルの数々を試している。


「うーん、腐敗のスキルに、鉄を生み出すスキル……あー、これは、なんだろう?ハズレかな……あっ!あー、これ便利だわ」


マキナは何かに気づいた様子。


「どうかしたのか?」

「ん?あー、俺のスキルを発動させて共有してる間、それが俺のステータスカードにもちゃんと反映されてたんだよ。これで、スキルの詳しい効果と、名前がわかるようになった!」

「おー、それは便利だな」

「おう!むしろ、なんで今まで気づかなかったんだろうって感じ。いやー、これでだいぶスキルを試すのが楽になる」

「それで、何かいいスキルはあったのか?」

「うーん、今の所はジェラノールさんの空中歩行かな、綿毛、って名前のスキルらしい」

「もう一つのスキルは?」

「あっ!そうだよ、忘れてた。早く共有しなきゃ」

「ほんと、マキナさんのスキルはずるいですね。もうなんでもありじゃないですか」

「そんなことはないよ。スキルなんて、みんなずっと努力してつかいこなしてるわけだからさ、俺が使ってもその真価は発揮できないよ」

「それでもですよ。ヒイラギさんの失恋戦士を見習ってください。あのネタかと思うほどの、条件がきついスキルを」

「ネタとかいうんじゃねえよ。泣くぞ」

「まあ、いいんじゃねえの、実際めちゃくちゃ強いじゃん」

「まあな、もう一回振られれば、ほとんどのステータスが百万いくからな……」

「ほんともう、ネタの領域ですって。さっさとタンポポちゃんに振られてきたらどうですか」

「やだよ」

「ヘタレ」

「うるさいわ」

「てか、お前ら。それ、よくそんなに続けられるな」


チマリと俺は、まだ魔法を打ち合い続けている。気づけば、順番関係なく、二人とも自由に魔法を打っては相殺していた。


「そろそろ止めるか」

「そうですね」


ラストスパートとばかりに、高速で打ち合ってから、俺たちは魔法をやめた。


「あっ、そういえば。結局、二人は部活動することにしたんだ?」

「私は、眷属魔法部に入ろうかと」

「え?レベルが低いってけなしてたじゃん」

「けなしてませんよ!……一応、今日、活動の方を見に行ったんですけど。昨日のデモンストレーションなんかとは比べ物にならないくらい、高度な眷属魔法を練習してたんです!きっと、上級生はずっと部室にこもってて、下級生に勧誘にいかせたのでしょう」

「へー、こいつよりも、レベル高かったの?」

「うーん、それはどうでしょう。今はまだそれほどではないですが、ヒノスケは自分で学び進化する魔法ですから。高度といえば高度ですが、魔法の命令式自体は大したことないんですよ。だから、なかなか私に従わない……」

「お前すごいやつなんだなー」


マキナは、ヒノスケをウリウリと撫でている。


「マキナさんはどうするんですか?」

「俺はどこにも入るつもりなかったんだけどさ、ザック先生からどうしても騎士道部に入ってくれ!って言われるものだから、入ろうかなって思ってる」

「意外ですね」

「だって、ザック先生推し強いから……」

「そりゃ、入試で自分の全力を引き出したような奴は欲しくもなるさ」

「まあ、やるからには頑張るよ。それに、強くなって、こんどはヒイラギには勝たないといけないしな」

「マキナさんずるいですよ!ヒイラギさんを倒すのは私の役目です」


友人二人が、俺に対して敵意がむき出しすぎる。


「俺も、負けないようになんかしないとな」

「そうだよ、演劇はまだまだ先なんだから、なんかやっといたほうがいいって」

「でもなー、ピンッとくるのがないんだよね」

「それなら、私の魔法眷属部に一度顔を出すのはどうですか?」

「そうだな、いろんな部にちょろっと参加して見て決めればいいじゃん」

「それもそうだな」


明日の放課後からは、部活動見学をしよう。

自分にあった部が見つかるといいな。

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