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失恋戦士〜ステータスが、失恋の回数の累乗強くなる  作者: キサラキ
第2章 一年編〜水瓶座の刺客
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炎の子が二人、馬車の中で二人

第2章開幕です!

「本当に大丈夫か?」

「心配いらないって」

「忘れ物はない?念のためもう一年くらい家にいたらどう?」

「母さんそれ遅刻どころの騒ぎじゃないよ」

「いつでも、帰ってこいよ。むしろ、毎日帰ってこいよ」

「無理だってば」


家を離れる日の朝、俺は父と母と別れの言葉を交わしている。

やめろよ、そんなに引き止められると、家を出たくなくなるだろ。


「もういくから」


これ以上、引き止められると本当に家を出られなくなると思い、無理矢理にでも、旅立つことにした。


「じゃあまたね!父さん!母さん!」


そう言って、俺は待たせていた馬車に乗り込み、王都に向かった。


馬車に揺られて、しばらく経った頃。

ヒイラギは、道端で知り合いが重そうな荷物を抱えて歩いている様子を見かけた。

馬車を止めてもらい、声をかける。


「よっ!久しぶりだなチマリ」


チマリも、ヒイラギに気づき笑顔を浮かべる。


「ヒイラギさんじゃないですか!」

「その様子だと、チマリも合格したんだな」

「当然です!むしろ落ちる理由がありません」

「俺、試験結果オール満点だったんだけどそこらへんどう思う?」


チマリはその質問の意図を考え、少し思案したのちに閃いたのか、あふれんばかりの笑顔で答える。


「さすがです!すごいです!もう尊敬しちゃいます!」

「チマリ、荷物重そうだな、馬車に乗ってくか?」

「是が非でも!」

「よし!乗っていいぞ」

「ありがとうございます!」


チマリはそう言って、まず、荷物を馬車に乗せた。

次に体に火を纏った。


「では、寮までお願いします。それではまた」


そして、炎を噴射しながら王都に向けて、飛んでいった。


「え?……え?」


ヒイラギは思考が、追いつかずしばし考え込み、そして、チマリへの苛立ちを覚えた。

次にあったら、魔法の矢で空に打ち上げてやる!そう、心に誓った。


それから、しばらく進むと、また道端に知り合いが重そうな荷物を抱えて歩いている様子を見かけました。

馬車を止めてもらい、声をかけます。


「よっ!マキナ、合格おめでとう!」

「あっ、ヒイラギじゃん。そっちこそおめでとう」

「なあなあ、俺、試験結果オール満点だったんだけど、どう思う?」

「すげえじゃん!さすがヒイラギ!おめでとう!」


マキナはチマリとは違い、純粋にヒイラギを褒め称えた。


「ありがと!マキナ、荷物重くね?もしあれだったら、乗せてくけど」

「まじで!頼むわ」


マキナはそう言って、まず、荷物を馬車に乗せた。

次に炎を纏った。


「寮まで頼むな!じゃあまた!」


そして、火を噴射しながら王都に向けて飛んでいった。


どうやら、マキナのスキルは、一度共有したものは、その後自由に使用可能らしい。

ヒイラギはのんびりと馬車に揺られなが、そんなことを考えていた。

マキナも次にあった時には、魔法の矢で空に打ち上げてやろうと心に決めながら。


しばらく進むと、ひょろっとした体格の男が、道端で休んでいた。

知り合いでも、なんでもないので普通に無視して進もうとすると、その男が馬車を引き止めた。


「すいません。この馬車はどこに向かいますか?」

「王都までですけど」

「ああ、それはよかった。よろしかったら、私を乗せてはくれませんかね?」


ヒイラギは、どうするものかと考えたが、断る理由もないので乗せることにした。

ひょろっとした男は、何度も礼を言いながら馬車に乗り込んだ。


「いやー、どうしても必要な薬草があったもんだから、ちょろーっと森の奥まで進んだんですよ。そしたら、今自分がどの辺にいるのか、わからなくなっちゃって。うふふふ、面白いもんですよね」


その男は、聞いてもないのに、一人で話していた。


「あー、時に、そこの恩人さん」

「なんですか?」

「この大荷物を見るに、もしや貴方はマグナイツの新入生ですか?」

「ええ。まあ、ほとんどは友人の荷物なんですが、そうです」

「やはり!そうだと思いました。もうあれですよ、オーラが違います。ナンバーワンの学校に入るエリートって感じ!うふふふふ」

「はあ……」

「ああ、そういえば自己紹介がまだでしたね。私はケリック。マグナイツ学園でサバイバル学を教えています。うふふふふ。驚きましたか?驚きましたよね?いやー、こんなとこで出会えたのも何かの縁です。仲良くしましょうね!あっ、恩人さんはなんていう名前なのかな?」

「ヒイラギ・リーフ・ウッドです。これから、よろしくお願いします」


ヒイラギが名前を告げると、ケリックが一瞬固まり、また、うふふふふと奇妙に笑いながら話し始める。


「君が、ヒイラギ君でしたか!いや、君の噂は私の耳にも届いているよ。入学試験、満点だったんだって?いやー、すごいじゃないから。それにジャガ学園長が、面接を担当して満点を取るなんてそうそうあることじゃないんだよ」


あのお爺さん、学園長だったんだ。

そう考えると、あの貫禄と余裕に突然尊敬の念が湧いた。いつか、自分もあんな風な大人になりたいものだと思う。


「うふふふふ、いやはや、とんだラッキーだよ。こんなところで、学園トップの期待の新入生に知り合えるなんてね!サバイバル学は最初の頃は一年生は関係ないけど、しばらくしたら、冬の進級テストに向けて受講が始まるから、その時はよろしくね!まあ最も、こんなところで道に迷うような先生じゃ不安だろうけどね!いやいや、普段は頼れるんだよ私は!ただ、ほら、今はオフだからさ!オフじゃしょうがないよね!」

「はあ、まあ」

「だよね、そう思うよね!あっ、でも一応学園には内緒の方向でね!だって、恥ずかしいでしょ?いや、決して評価を下げたくないからとかじゃないんだよ?優秀な君なら、分かってくれるよね?」

「はあ……」

「分かってくれると思ってたよ!さすがナンバーワン!それで、私はね……」


その後、俺が曖昧な相槌を打ち続けているにも関わらず、ケリック先生は話を続けた。

内容があるのかないのか、わからない話を。

正直、何を話していたのかは覚えていない。

だが、ただただ、くだらない話だったということだけは覚えている。

誰か、このカオスな空間から解放してくれ。


願いは虚しく、カオスな空間は王都に着くまで続いた。

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