65-11
蒼からの連絡を受けてから約二十分後、弥生の父親である御堂凌二が到着した。
室内の惨状を一通り見渡すと、凌二はすべての状況を瞬時に把握したようで、深々と蒼に頭を下げた。
「蒼くん……本当に、すまなかった」
「いいえ。おじさんが謝る必要はありません」
そのやり取りに、横にいたてんがたまらず割って入った。
「何を言っているんですか! 今日起きたことは、明らかな不法侵入と殺人未遂です! 一歩間違えれば、蒼くんは死んでいたんですよ!」
「いいんだよ、てん。落ち着いてくれ」
「良くありません! 全てを彼女に話して、終わらせるべきです。そうしないと、いつか本当に蒼くん自身が壊れて死んでしまいます!」
てんの悲痛な訴えに、凌二も重く頷き、賛同を示した。
「……私も、彼女の意見に賛成だ」
「ですが、これは僕が勝手に始めたことですから」
「今まで目を瞑ってきた私が言えた義理ではないが……弥生のしたことは、法に触れる重大な事態だ。捕まってもおかしくないんだよ」
凌二の厳しい言葉に、蒼は声を絞り出す。
「おじさん。でも……!」
「確かに、君が始めたことかもしれない。だが、だからといって君一人ですべてを背負い続けなければならない理由なんてないんだ。弥生ももう高校生だ。……そろそろ終わりにしよう、蒼くん」
凌二の言葉に、てんも想いを重ねる。
「そうだよ、蒼くん。未来へ進むためには、過去を終わらせなくちゃ」
「てん……」
「過去を終わらせるか……いい言葉だ。だが、私一人の独断で進めても意味がない。どうするかは、君が判断してほしい」
「僕が……決めるんですか?」
「ああ。さっきも言った通り、君が始めたことだ。だから、君の手で決着をつけてほしい」
凌二は気絶したままの弥生を静かに抱き抱えると、部屋を後にした。
バタン、と遠くで玄関の扉が閉まる音が響き、室内には再び静寂が訪れる。
「蒼くん……」
「大丈夫だよ、てん。ちゃんと考えるから。……どうするべきか、ちゃんと自分で答えを出すから」
「……本当に、大丈夫ですか?」
「ああ。だから、今はもう寝よう」
てんは「わかりました」と短く返し、客間へと戻ろうとした。
その時、背後から蒼の静かな声が届いた。
「てん。いつも……ありがとう」
「はい。どういたしまして、蒼くん」
その言葉を最後に、てんは自分の部屋へと戻っていった。
to be continued.




