43-08 (過去編)
「お兄ちゃ〜ん」
花桜梨の妹、八重桜が仔猫のように優也の膝に頭を預けてくる。
「桜ちゃん、今日はやたらと絡んでくるけど、どうかしたのか?」
「お兄ちゃんエネルギー充電中。優等生を演じるのも疲れるのです」
ここは八重家のリビング。
今日はデートの約束があり、優也は花桜梨を迎えに来ていた。
しかし、花桜梨はまだ準備ができていなかったらしく、理由を尋ねても「女の子には色々あるの」とはぐらかされてしまった。
彼女を待つ間、優也はこうして桜の相手をしていた。
というより、一方的に絡まれている状態だった。
「だったら、桜ちゃんも彼氏とか作ったらどうだ? 桜ちゃんは可愛いから、クラスの男子が放っておかないだろ」
優也の問いに、桜は姉には聞かせられないような爆弾発言を口にする。
「お兄ちゃん以外の男の子に興味はないです」 「気持ちは嬉しいけど、オレには花桜梨がいるからな。それに、なんでオレなんだ? 桜ちゃんなら選び放題だろ」
「わたしから見たら、同世代の男の子って子供に見えちゃうんですよね」
「オレと桜ちゃんも一歳しか変わらないじゃないか。それを子供って言われてもなぁ」
「男の子には、この気持ちは分からないかもしれません。その一歳がわたしには大きいんです。たかが一歳、されど一歳ですよ」
「お待たせしました」
明るい声と共に、花桜梨がリビングに姿を現した。
「桜、また私の優也に甘えて。勝手に取らないでよね」
花桜梨はわざとらしく頬を膨らませて嫉妬してみせる。
「いや、妹に嫉妬とかおかしいだろ」
「わたし、宿題しなくちゃ」
桜は優也から離れると、その場を放り出すようにして逃げるようにリビングから出て行った。
to be continued.




