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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: 便利屋 涼
― 第二次魔獣大戦 ―

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海王(ポセイドン)戦④超能力戦士ルーク誕生

 ――同時刻、異なる階層。


 ルークは、海底神殿の広大な水路跡で、LOGOSメンバーに完全に包囲されていた。


「なんだァ、この優男が一匹でウロチョロと迷子かァ!? ヒャハハハッ!笑わせてくれるわね」


 耳障りな声を上げ、下品な嘲笑を響かせたのは、ド派手な黄金色の燕尾服を身に纏った奇術師のケソカだった。


「おやおや、飛んで火に入る夏の虫だな。お頭の指示はないが……どうせ敵だ。今殺ってしまおう」


 落ち着いた視線をルークに向け、冷徹に言い放ったのは、念能力者であるリュウガだ。


「ネクロガル、お前の軍団と共に包囲する。確実に仕留めるぞ!」


 リュウガの言葉に呼応し、二人の背後から王冠を戴く白骨の死霊王、オーバーロードのネクロガルが姿を現した。


『よかろう!』


 その後ろには、三十体以上の死霊軍団が控えている。

 半ば白骨化した骸骨海賊スケルトンパイレーツ、腐臭を放つ深海喰屍鬼ディープシーグール、そして猛毒を滴らせる腐滅海蛇ゾンビサーペントなど、おぞましいアンデッド魔獣の群れだ。

 圧倒的な数の暴力と、ネクロガルが放つ濃密な死の気配。


 絶望的な状況だったが――ルークは、ただ静かに立ち尽くしていた。


「召喚! フェンリル、炎龍フレイムドラゴン、オリハルコンゴーレム!!」


 ルークが鋭く紡いだ言葉と共に、彼の足元を中心に巨大な三重の召喚陣が展開された。


 神殿を揺るがすほどの圧倒的な魔力の奔流が爆発する。


『ゴォアアアアアーーーッ!!』


 召喚陣から顕現したのは、伝説級の召喚獣たちだった。

 灼熱の業火を纏う巨大な竜『炎龍フレイムドラゴン』、絶対物理防御を誇る巨兵『オリハルコンゴーレム』、空間を裂いて神速で駆ける魔狼『フェンリル』。


「三体同時召喚だと!? ……ただの召喚士ではないとでも言うのか……」


 冷静に間合いを測る二人とは別に、初めて目撃したリュウガは驚愕した。


「みんなの為に、ここでお前たちを放ってはおけない。いけっ!!」


 ルークの号令と共に、三体の召喚獣が闇と海の軍団へと一斉に襲い掛かった。


 まず動いたのはフェンリルだ。神速の疾風となって死霊軍団の真っ只中へと突撃し、ネクロガルが使役する骸骨海賊スケルトンパイレーツたちを次々と粉砕していく。

 深海喰屍鬼ディープシーグールの群れが飛びかかろうとも、フェンリルの鋭い牙と爪が瞬く間にそれらを塵へと変えた。


「アチチチチッ!冗談じゃないぜェ! 死のマジックショーの開演よー! 『奇術・殺人青龍刀』ォッ!!」


 ケソカが燕尾服の袖から手品のように二本の青龍刀を取り出し、猛然と振るって襲いかかる。

 だが、炎龍フレイムドラゴンの放つ無慈悲な灼熱のブレスが、それを強引に牽制した。


 伝説級の召喚獣三体の力は凄まじかった。


 しかし、LOGOSの幹部であるケソカとリュウガ、そして後方から無尽蔵の魔力で軍団を再生・指揮するネクロガルもまた一筋縄ではいかない。


 戦況は苛烈を極める攻防へと突入していた。

 その激闘の最中、ルークはふと迷宮の奥へと視線を向けた。


(胸騒ぎがする……)


 ルークは決断し、前衛でケソカを牽制している炎龍へと声を張り上げた。


「ドラゴ! 涼さんが心配だ。竜戦士にはドラゴが必要だ!」


『了解した。死ぬなよ、ルーク』


 主の意図を察した炎龍フレイムドラゴンは巨体を翻し、迷宮の奥へと凄まじい速度で飛び去っていった。

 炎龍がいなくなった途端、ケソカの口元が三日月のように歪む。


「舐められたもんねー! 自ら戦力を減らすとは、死にたがりかァ!?」


 灼熱の牽制が消えた好機と見たケソカが、即座にルーク本体へと狙いを定めた。

 青龍刀の二刀を激しく煌めかせ、猛然と襲い掛かる。


 ガキィィィンッ!!


「なにィ!?」


 ルークを強襲しようとしたケソカの眼前に立ちはだかったのは、オリハルコンゴーレムだった。

 絶対物理防御を誇るその巨躯が、主を狙うケソカの青龍刀の一撃をいとも容易く弾き返す。


「チッ……なら、俺が直接相手をしてやろう」


 標的を変え、ルークの眼前へと静かに歩み出たのはリュウガだった。

 彼の周囲の空間が、異様な力場によって不気味に歪む。


「死ね」


 リュウガが冷徹に視線を向けた瞬間、不可視の念力フォースの衝撃波が弾丸のように放たれた。


「くっ……!」


 ルークは瞬時に自身の超能力サイキック障壁ウォールを展開して防御を試みる。

 しかし、リュウガの放った一撃はルークの障壁をいとも容易く貫通し、その身体を容赦なく弾き飛ばした。


 ドガァァッ!!


 神殿の壁に背中から激しく叩きつけられ、冷たい床に膝をつくルーク。


「……その程度が、お前の念力フォースか。お粗末極まりないな。念力フォースというものは、こう使う」


 リュウガが静かに右手をかざすと、神殿内の空気が一瞬で凍りついたかのような絶望的な圧迫感が空間を満たした。

 リュウガの念力フォースが、目に見えるほどの濃密な漆黒の波動となって彼の全身から立ち昇る。


「『超能力サイキック絶念渦ヴォルテックス』」


 リュウガの冷徹な呟きと共に、ルークの周囲の空間がグニャリとねじ切られるように歪んだ。


 床石がミシミシと浮き上がり、水路跡に残っていた海水が逆巻く中、周囲の壁面には無数の亀裂が走り、空間全体に悲鳴のような轟音が響き渡った。

 不可視の巨大な激流がルークの肉体を全方位から襲い、その凄まじい圧力で骨を軋ませ、内臓を押し潰さんばかりに締め上げていく。


「がはっ……! あ、う、あ……っ!」


 圧倒的な格の違い。


 ルークは防戦一方に追い込まれ、全精力を傾けて防御の障壁を維持しようとするが、リュウガの無慈悲な念力フォースの奔流はルークの精神と肉体をじわじわと、だが確実に破壊し、死の淵へと追い詰めていった。


「終わりだ。お前の未熟な念力フォースごと、粉々に砕け散れ」


 リュウガがトドメを刺そうと、さらに出力を上げての念力フォースの圧力を限界まで高めた、その時だった。


「ウォオオオオオーー!!」


 水路跡に、ルークの鼓膜をつんざくような咆哮が轟いた。


「……何ッ!?」


 ルークの身体が、朱色のオーラを纏いながらふわりと宙に浮き上がる。


 その両瞳は燃え盛るような朱銀色しゅぎんいろに染まり、髪が凄まじいオーラと共に逆立ち、同じく眩い朱銀色へと変貌していく。


 リュウガの『超能力サイキック絶念渦ヴォルテックス』が、ルークから放たれた桁外れの衝撃波によって一瞬で木っ端微塵に吹き飛ばされた。


 周囲の空間が悲鳴を上げるほどの、暴力的で圧倒的な念力フォースの波動。


 それは、アナキンと同じく、シュナイダー一族伝説の超能力戦士サイキックソルジャーへとルークが覚醒した瞬間だった。

 最後までお読みいただきありがとうございます。

 現在ストックは無く、可能な限り新規エピソード執筆に励んでおります。

 その為、 誤字や矛盾点等チェック漏れが稀に出てくるとは思いますが、気付き次第、随時修正・加筆のブラッシュアップを行っていきますので温かい目でみて頂けると嬉しいです。

 皆様の評価やブックマークが、何よりの執筆の励みになります。

 今後とも応援よろしくお願致しますm(_ _)m


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