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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: 便利屋 涼
― 第二次魔獣大戦 ―

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海王(ポセイドン)戦②海底神殿の迷宮

「便利屋の涼、見参!!」


 俺の声が、激戦の響き渡る海底神殿に高らかに木霊した。


 その瞬間、激しく火花を散らしていたライアンたちと黒ひげたちの戦いが静止する。全員の視線が、一斉に俺へと注がれた。


 だが、対峙する両陣営の沈黙を破るように、禍々しい笑い声が空間を震わせる。


『くくく……、ネズミどもがこれだけ揃うとは、都合が良い』


 空間が歪み、そこに姿を現したのはオーバーロードのネクロガルだった。


 白骨化した不気味な身体には、その身に不相応なほど豪奢な王冠と漆黒のマントを纏っている。骨張った指に鈍く輝くのは『冥王指輪ハデスリング』、そして手には禍々しい光を放つ『七魔石スタッフオブセブンマジックストーンズ』が握られていた。


『前回の冥王戦での私の報告を受けてな。ポセイドンは、もはや貴様らに雑魚魔獣をどれだけ差し向けても効果が薄いと気づいたようだ』


 ネクロガルが嘲笑う。敵はこちらの戦力をしっかりと分析し、対策を練ってきている。ただの力押しではないという事実に、俺の背筋に冷たいものが走った。


『そこで、王室までの道はすでに複雑迷路化させてもらった。精々あがくが良い』


 迷宮の正解を完全に把握しているネクロガルが味方である以上、黒ひげや奇術師ケソカをはじめとする【LOGOS】の面々もまた、正しいルートの導きを得られる。彼らにとって圧倒的に有利な戦場。それがこの場所だった。


『では我々は、先に行かせてもらう。――それと、お前たちに注意事項だ。もうすぐゼウスが応援を許可した”魔王”が一人、ここにやってくる』


『我らが造り上げたこの絶望の迷宮で、魔王や我らを相手に繰り広げるド派手な鬼ごっこサバイバル……。果たして、貴様らは何人生き延びることができるかな?』


 ネクロガルが七魔石の杖を軽く振るうと、杖の先端から濃密な闇魔法が放たれた。魔王襲来という絶望的な宣告を残し、その黒い奔流が黒ひげたちを包み込む。

 彼らは影に溶けるようにして、全員揃ってその場から一瞬で消え去ってしまった。


 残されたのは、ライアンのチームと、俺たちのチームだけだった。


 歪んだ空間の残滓が冷たく漂う中、俺は一歩前に出て、目の前の男を睨み据えた。


「ライアン! 今日は俺と殺し合うのか?」


 俺の問いかけに、ライアンは表情一つ変えず、冷徹な目を向けたままで答える。


「今回はそうなるだろうな。貴様のところの大鷲を、私はすでに屠ってしまったからな」


「――なっ!?」


 ライアンの口から放たれた衝撃の告白に、俺の後ろに控える仲間たちが息を呑むのが分かった。


(まさかサスケが、嘘だろ? 俺たちと別れた後、ライアンとカチあったのか……!?)


 だが、ライアンのその冷酷で揺るぎない眼差しに、俺の内でかつてないほどの怒りが沸き上がっていく。


 ――それは自身の帰還を果たすため、俺たちとの中途半端な関係を完全に断ち切るべくライアンがあえてついた『嘘』であった。

 その証拠に、天井の暗がりに完全に気配を消して潜んでいたサスケは無傷だった。

 サスケ自身、驚いた後、自分が死んだことになっている今の状況を冷静に最大の好機と捉え、最も有利な場面で飛び出すべく、影の中で静かにタイミングを窺った。


 そんな真実など知る由もない俺と、ライアンのパーティーとの間に、一触即発の、先ほどまでとは比べ物にならないほど怒りの殺気が膨れ上がった。


 だが、その場にいた全員が戦闘態勢に入ったその時。


 ――ドゴォォォォォォォォンッ!!!


 宮殿そのものを吹き飛ばすような、規格外の大爆発が巻き起こった。


「な、何だ!?」


 鼓膜を破らんばかりの轟音と共に、俺たちが立っていた強固な石床が、まるで薄氷のようにパキンと割れ砕ける。


 爆煙と凄まじい衝撃波の中で、空間そのものがグニャリと不自然に歪んだ。ポセイドンとネクロガルが仕掛けた複雑迷路の機構が、大爆発によって強制的に作動したのだ。


「涼――ッ!」


 仲間たちの叫び声が、歪む空間と崩落する床の向こう側へと吸い込まれていく。


「くそっ……!」


 俺は手を伸ばしたが、届かない。視界が激しく明滅し、平衡感覚が完全に奪われる。

 足場を完全に失い、底なしの奈落へと落ちていく感覚。

 薄れゆく視界の中で、俺のパーティーメンバーたちが、次々と空間の裂け目へと飲み込まれていくのが見えた。

 それはライアンたちも同じだった。攻撃的な陣形を組んでいたはずの彼らもまた、為す術もなく、口を開けた漆黒の迷宮へと一人、また一人とバラバラに落下していく。


 地鳴りが止み、激しい落下の末に俺が冷たい石の床へと叩きつけられたときには、ライアンたちの姿どころか、俺のすぐ後ろにいたはずの仲間たちの気配すら完全に消失していた。


 ゆっくりと顔を上げる。目の前に広がるのは、左右に延々と続く、冷徹に構築された未知の迷宮の通路。


 ゼウスが差し向けたという魔王の脅威も迫る中、俺たちとライアンの陣営は完全にバラバラの状態で、この絶望的な迷宮の奥深くへと放り出されてしまったのだ。


(イテーなクソッ、みんなは大丈夫なのか? どっちにしろノアはまだ使えない)


 ドワーフの洞窟の経験を思い出した俺は空に命令した。


「スカウター始動!」

 最後までお読みいただきありがとうございます。


 現在ストックは無く、可能な限り新規エピソード執筆に励んでおります。

その為、 誤字や矛盾点等チェック漏れが稀に出てくるとは思いますが、気付き次第、随時修正・加筆のブラッシュアップを行っていきますので温かい目でみて頂けると嬉しいです。


 皆様の評価やブックマークが、何よりの執筆の励みになります。

 今後とも応援よろしくお願致しますm(_ _)m


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