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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: 便利屋 涼
― 第二次魔獣大戦 ―

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束の間の平和

 運ばれてきたのは、こんがりと焼き上げられたオーク肉の香草焼きに、山盛りのフライドポテト、そしてキンキンに冷えたエールの入った大ジョッキだ。


「とりあえず、サスケの無事と、俺たちの生き残りを祝して……乾杯!」


 俺が音頭を取ると、カインやエリスたちが笑顔でジョッキやグラスを合わせた。


「カンパーイ!!」


「プハァーッ! やっぱ死線の後の酒は最高だぜ!」


 カインが早速エールを飲み干し、上機嫌でオーク肉に食らいつく。


 そんな宴会の最中、酒場の入り口から突然ルークが合流してきた。

 ルークの肩にはベビードラゴンがちょこんと乗っている。

 俺たちの席を見つけると、足早に近づいてくる。


「おっ!?ルーク。戻ったのか。お前も食べるか?」


 俺が横の席を空けると、ルークは嬉しそうに腰を下ろした。

 メフィストの形見をゲド爺さんに届けたルークはレイナと目くばせする。


「珍しくドラゴを酒場まで連れて来たんだな」

 カインが、ルークの肩にいるドラゴを見て声をかけた。


「龍戦士が見つかったら、もうドラゴを肩に乗せられなくなるかもだからな……」


「たしかに……」


 同情するカインを尻目にドラゴがテーブルの上の肉を見て、声を上げる。


「うまそうだギャー」


「可愛い~っ!」


 レイナが目を輝かせると、エリスが小さく切ったオーク肉をフォークに刺し、そっとその口に運んでやった。ドラゴは嬉しそうにそれを頬張っている。


 それを横目に、ルークは手を使わず、念動力テレキネシスでテーブル中央のオーク肉をふわりと宙に浮かせ、自分の皿へと器用に運んでみせた。


「えっ? ちょっとルーク、そんな事できたっけ!?」


 レイナが目を丸くして身を乗り出すと、カインやエリスも驚いたようにルークを見つめる。


(レイナも今日空中に浮いてたけどな)


「うん、ゲド爺さんの『精神と時の部屋』で修行してから使えるようになったんだ」


 ルークは照れくさそうに笑いながら、何事もないように答えた。


「実はそれだけじゃなくて……僕の召喚獣が、オリハルコンゴーレムに進化したんだ。これで、皆を守れるよ」


 ルークはそう力強く言いながら、ちらっとリリアの方へ視線を向けた。


(おおー、超能力を使えるようになった上に、召喚獣がオリハルコン級にまで進化したのか)


「そうだ、ルーク。お前にプレゼントがあるんだ。じゃーん! 『幻魔のローブ』だ」


 俺は魔導ポーチから、先ほどアラクネの里で仕立てたばかりの、強者感のある黒と紫のローブを取り出して渡した。


「えっ!? 涼さん、こんな高価なレア装備、本当にいいの?」


 ルークが目を丸くしてローブを受け取ると、隣で肉を齧っていたカインがジト目を向けてきた。


「兄貴、今回はみんなに手作りプレゼントの大盤振る舞いだけど……なんかあるのか?」


 俺は一瞬、言葉に詰まった。 

 ライアンとの勝負――勝っても負けても、俺はみんなとお別れになる。その重い事実が喉まで出かかったが、俺はその言葉を飲み込み、おどけた調子で笑い飛ばした。


「……流石カイン、鋭いな。みんなスマン!実は、イエローガムのムチを大枚をはたいて買ったり、女性陣にどうしても水着になって欲しくて、高級肉やデザートでめっちゃ散財しちまったんだよー」


 わざとらしく白状すると、レイナが呆れたようにため息をついた。


「なんだ、そういう訳だったのかー。でも、今回もたくさん稼いだからいっか! すみませーん! 追加で高級肉とデザート、お願いしまーす!」


「いいですねー、それ!」


 エリスも目を輝かせて賛同する。


「私もこの前本当は『エルミナサンデー』を食べたかったんですけど、最近また胸が大きくなってきちゃって、甘いものは我慢してたんです」


「それだ! 俺が今日、エリスの胸を採寸したところ、GカップどころかHカップはある計算だぞ!?」


 俺が思わず力説すると、純情なルークは顔を真っ赤にして俯き、周囲で聞き耳を立てていた一般冒険者パンピーたちの耳がさらにピクピクと大きくなった。


「ぷはーっ! ちょっとぉルークゥ~!」


 いつの間にかエールを何杯も呷り、すっかり酔っ払って上機嫌になったレイナが、とろけたような目でルークに絡み始めた。


「あんたさぁ、この中で一番タイプは誰なワケぇ~?」


 突然の酔っ払いのウザ絡みに、ルークはビクッと肩を揺らし、オロオロと視線を彷徨わせた。


「ええー? 誰よぉ? エリスぅ? それとも私かなー?」


 レイナがニヤニヤと顔を近づけて一人ずつ名前を呼び上げると、ルークはぶんぶんと首を横に振る。


「じゃあ……リリア?」


 その名前が出た瞬間、ルークは分かりやすくピタッと動きを止め、さらに顔を真っ赤にして動揺したように俯いてしまった。


「あっはっは! ルークってば分かりやすぅーい!」


 からかって大笑いするレイナと、突然名前を出されて「えっ、俺!?」と驚いているリリア。


「まあルークはリリアと幼馴染だからな。でも、リリアのハイレグ競泳水着をお前が見たら一発で鼻血もんだったぞ?」


「りょ、涼……っ! 今後その話題に触れたら、オロすぞ?」


 リリアが顔を真っ赤にしながら凄んでくる。


「……ちょっとぉ、なんでレイナのTバックには誰も触れないワケぇ?お尻の形には超自信あるんだけどぉ?」


 酔ったレイナが不満げにテーブルをバンッと叩いた。


「それは……」


 カインが致命的な地雷を踏み抜こうとした瞬間。


「カイン! ちょっとこのおかず、サスケにやってきてくれ!」


 俺が無理やり皿を押し付けると、前回レイナの雷撃を喰らった事を思い出したカインは顔を引きつらせた。


「りょ、了解ッ!」


 カインは弾かれたように立ち上がり、すぐさま酒場の外へと飛び出していった。


 周囲の嫉妬の視線は相変わらず痛いが、賑やかな仲間たちの笑顔を見ていると、さっきまでの死闘の疲れが少しだけ癒やされていくのを感じていた。


 今日は皆で早めに休もう。

 そして明日――いよいよ魔導潜水艦を受け取りに行く。

今日は皆で早めに休もう。

そして明日――いよいよ魔導潜水艦を受け取りに行く。

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