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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: 便利屋 涼
― 第二次魔獣大戦 ―

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夢幻の森②魔王アスタロス襲来

 俺たちが武器を構え警戒すると、群れのリーダー格と思しきアラクネの美女が、敵意がないことを示すように両手を高く上げた。


「待って、争う気はないわ! これほど強い人間なら……お願い、私たちの頼みを聞いてくれないかしら?」


「頼み?」


「ええ。この森にある幻霧沼の中心に、いつからか奇妙な『鉄の塊』が現れたの。そこから漏れ出す異様な力のせいで、泥竜マッド・ドラゴンたちが狂暴化して棲みついてしまって……」


 アラクネの女は苦しげに眉をひそめた。


「奴らのせいで、幻糸蜘蛛からとれる『幻糸』の採取ができなくて困っているの。もしあの泥竜たちを退治してくれたら、お礼にその糸で織った最高級の『幻魔の布』を渡すわ」


(『幻魔の布』だと……!?)


 俺は内心でガッツポーズをした。魔法耐性に優れた超レアな防具素材だ。

 それに、彼女たちの言う『鉄の塊』とは、間違いなく俺たちが探している『魔導発電機』のことだろう。どうせ調べに行くつもりだったのだ、断る理由などない。俺の大好きな一石二鳥だ。


「交渉成立だ。泥竜討伐依頼を正式に受けよう。そこへ案内してくれ」

「本当!? ありがとう、強き人間たちよ!」


 こうして俺たちは、アラクネ族の案内で沼の中心へと足を踏み入れたのだった。



――霧が渦巻く幻霧沼の中心


 俺たちは『魔導発電機』から漏れ出す電気で狂暴化し、そこを縄張りにしていた複数の泥竜マッド・ドラゴンの群れと死闘を繰り広げていた。

 俺たちのパーティーは以前より明らかに強くなっており、まるでAランクを実戦で証明するかのように絶好調だった。

 かつてなら苦戦していた上位の魔獣たちも、今の俺たちの研ぎ澄まされた連携の前では、ただの巨大な的でしかない。


「ギャァァァァァァッ!!」


 一頭の泥竜が、カインの放った【雷光十字刃ライトニング・クロス・エッジ】によって視界を奪われ、苦痛にのたうち回る。


「兄貴、今だ!」

「おう!」


 俺の抜く『草薙の剣』の神気を帯びた刀身が、暗く沈んだ沼地を照らす鋭い光を放ち、次々と泥竜を両断していく。


「【業火フレア・ランス】!!」


 レイナの放った炎の槍が巨竜に突き刺さり、その巨大な動きを完全に封じ込めた。


「涼、やっちゃって」

「任せろ!」

「ナイスー♪」


「エリス、リリアを頼む!」

「はいっ! 【ホーリー・なる加護プロテクション】!」


 エリスの祈りと共に、リリアの全身がまばゆい光に包まれる。


「ハァァァァァッ!! 【竜牙断滅斬ドラゴンファング・スラッシュ】ッ!!」


 リリアはドラゴンスレイヤーを大上段に構え、渾身の一撃で別の泥竜の首を深々と叩き斬った。


 ズドォォォォンッ!!


 地響きと共に崩れた群れのボス格であろう一際巨大な泥竜が、残る力を振り絞って俺へと牙を剥いた。


(……こいつ、まだ生きてやがる。だが丁度いい)

「みんな、よくやった! これで最後だー!!」


 俺が巨大な泥竜の首を目掛け、草薙の剣を振り下ろそうと踏み込んだ――その瞬間だった。


《EMERGENCY!》

《EMERGENCY!》


「何いー!?」


――ドゴォォォォォォォォォンッ!!!


 鼓膜を破るような爆音と共に、上空から『巨大な黒い塊』が落下してきた。


「なっ……!?」


 凄まじい衝撃波と爆風が吹き荒れ、俺たちはたまらず後方へと吹き飛ばされる。


 土煙と霧が晴れた後、そこに広がっていた光景に、俺は息を呑んだ。

 落下してきたのは、上空で待機させていたはずのサスケだった。


 サスケの巨大な翼は無惨にへし折られ、全身からおびただしい血を流している。だが、微かに胸が上下しているのが見えた。死んではいないが、致命的な重傷だ。


「兄貴ーー!!」

「サスケーー!!」


 変わり果てた姿に、レイナとエリスが悲痛な絶叫を上げる。


 直後、上空を覆い尽くすほどの巨大な影――『黒龍』が空を舞う。

 草薙の剣の光をあっさりと塗り潰すような、その顎から吐き出された絶対的な『漆黒の炎』が、俺が仕留めるはずだったボス泥竜を一瞬にして跡形もなく焼き尽くした。


 そして俺の視線は、血の海に沈むサスケの上に降り立った『怪物』に釘付けになった。


 漆黒の甲冑に身を包み、禍々しい双角を生やした男。

 黒龍から飛び降りたであろうその男は、虫の息であるサスケの巨体をまるでただの泥マットか踏み台のように両足で踏み躙り、悠然と立ち塞がっていたのだ。


 男から無意識に漏れ出る強烈な魔力圧だけで、偶然通りすがったマタンゴ達がバタバタと倒れ、タランチュラが固まりひっくり返る。下級の魔物たちは、その異様な覇気に当てられ、次々と絶命していった。


 強者のオーラを敏感に感じ取ったカインの奥歯がガチガチと音を鳴らし、リリアも鎧の下で全身から冷や汗が湧き出る。


 全身から立ち昇る世界を歪めるほどの魔力の奔流は、間違いなくベルゼブブと同等クラスの存在だ。


 男――魔王アスタロスが、退屈そうに首を鳴らし、足元のサスケごと俺たちを見下ろした。


『ゼウス様の水晶が、目障りな異分子の座標を教えてくれてな。余興がてら足を運んでみれば……生意気そうな下等生物が這いずり回っているというわけだ』


 俺はアスタロスを睨みつけ、負けずに言い放った。


「……サスケからその汚ねー脚をどけろよ、ドブカス野郎!」


『ほう?勇ましいな。我を前にして狂乱しないとは……だが、次はお前たちが死ぬ番だ、下等生物共』


(ヤバい! コイツ恐らく無茶苦茶強えーぞ)


「スカウター始動!!」

 最後までお読みいただきありがとうございます。


 現在ストックは無く、可能な限り新規エピソード執筆に励んでおります。

その為、 誤字や矛盾点等チェック漏れが稀に出てくるとは思いますが、気付き次第、随時修正・加筆のブラッシュアップを行っていきますので温かい目でみて頂けると嬉しいです。


 皆様の評価やブックマークが、何よりの執筆の励みになります。

 今後とも応援よろしくお願致しますm(_ _)m


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