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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: 便利屋 涼
― 第二次魔獣大戦 ―

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三人娘、水着コンテストにド派手参戦!

 割れんばかりの歓声と、遠くから響くコンサートの音楽が、夜の港町エルミナの広場を揺らしていた。

 篝火が赤々と燃える中、特設された巨大な木組みのステージでは、この町最大の祭典『海神祭』のイベントの一つである水着コンテストが絶賛開催中だ。


 俺はステージの熱狂から少し離れた暗がりの観客席で、腕を組みながらその光景を見下ろしていた。

 ステージ上では、地元の娘たちや小遣い稼ぎの女傭兵団、貴族の娘たちなど、他チームが次々と水着姿を披露している。

 露出の多い水着で愛嬌を振りまく彼女たちに、観客の男たちは大いに沸いていた。

 だが、俺からすればどれも決定打に欠けている。所詮は素人のお祭り騒ぎだ。


(フフフ、俺の趣味嗜好を完璧に取り入れた水着を舐めるんじゃないぞ)


「エントリーナンバー七番! 美しき冒険者パーティーの皆様です!」


 司会者の甲高い声と共に、うちの女性陣がステージの中央へ歩み出る。

 その瞬間、会場のボルテージが爆発したように跳ね上がり、男たちの雄叫びが空気を震わせた。

 いきなり先頭で登場したのはエリスだ。


「ひっ、ひゃああっ……! み、見ないでくださいっ……!」


 エリスは顔を真っ赤にして、必死に両腕で体を隠そうとしている。


 彼女が着ているのは純白のマイクロ・スリングショット。胸の中央と股間だけをかろうじて隠す極細のY字型の布だ。股間部分には俺の裁縫スキルで僧侶とわかるように『金の十字架』の刺繍が施されている。

 神への冒涜と言う奴がいようが、実際俺たちはその神と戦っているのだから気にしたものじゃない。

 清楚な眼鏡の彼女の暴力的なまでのGカップは細い紐に到底収まりきらず、隠そうと身をよじるたびに溢れそうになっている。


「うおおおおおおっ!!」

「聖女様だァァァ!!」

「エルミナ始まったな!!」


 対照的にノリノリで観客に手を振って次に登場したのはレイナだ。


「アハッ! あんたたち、レイナの超絶可愛い水着姿、しっかり目に焼き付けなよー!」


 彼女が纏うのは、ネオンピンクの極細紐で構成された限界サイズの三角ビキニとTバック。美しい褐色肌と蛍光色のコントラストに加え、ギャル特有のポージングが、観客の理性を容赦なく吹き飛ばしていく。両胸にはこれまた『金の雷マーク』の刺繍が施してある。


「あの褐色ギャルやべぇ!!」

「スタイル反則だろ!!」

「優勝確定ーー!!」


 レイナがウインクするたびに、観客席のあちこちで男達が崩れ落ちていく。


 そして最後に、顔を真っ赤にして俯いているのがリリアだ。


「くっ……何故この俺が、こんな恥知らずな格好を……!」


 彼女が着ているのは漆黒の超ハイレグ・サイドオープン競泳水着。鍛え抜かれた腹筋と、大きく開いた脇から覗く横乳が、長身の肉体美をこれでもかとアピールしている。

 胸元にはワンポイントで『銀のドラゴンスレイヤー』の刺繡が入っている。

 普段は勇ましい女戦士が羞恥に震える姿は、一部の観客層に致命傷を与えていた。


「踏まれたい!!」

「罵倒してくれぇぇぇ!!」


(……客層がおかしい。リリアの人気だけ妙に方向性が歪んでいる気がする)

 

 隣ではカインが真顔で呟いた。

「兄貴。これもう優勝でよくね?」

「ああ。これは流石に勝っただろ……」


 ステージの正面、審査員席の真ん中に座っている審査委員長のドルフが、鼻血を押さえながら最高得点の札を上げているのが見えた。



――事の発端は、その日の朝まで遡る。


 要塞都市ガルドレイアに滞在していた俺がスイートルームで海図を睨みながら、ポセイドン討伐へのルートを思案していた時のことだ。


「……なあノア。このまま海を突っ切れないのか?」


 俺が呼びかけると、ノアの音声が即座に返ってきた。


《現在の船では不可能です》

《ポセイドン勢力圏付近の海域には、超高圧海流・大型海魔獣・渦潮地帯が複数確認されています。通常航行での突破成功率、5%未満》


「5%ぉ?」


 隣にいたカインが素っ頓狂な声を上げた。


《生存率を上昇させるには、船体の潜水機能追加が必須です》


「潜水艦みたいにするって事か?」


《海賊『黒ひげ』が所持していた大型潜水艇に、同等の潜航機構が搭載されていました》

《あの一隻を建造した腕利きの船大工のガルクさんに船の潜水化を依頼することを推奨します》

《ポセイドン勢力圏へ向かう前に、ここの港から港町エルミナをめざしましょう》


「なるほど。ノアの言う通りだな。エルミナのガルク親方に頼むしかないか」


 ノアの助言でガルドレイアを発つ朝。俺たちは城壁前でルークと別れた。


 メフィストの遺言を果たす為、ミステリオンを見据え、彼は相棒を呼ぶ。


「行くぞ、ドラゴ!」


『了解だギャ』


 右肩の小竜ベビードラゴンが一瞬で巨大な炎龍フレイムドラゴンへと姿を変え、ルークを乗せて一直線に空へ飛び立った。

 彼を見送った俺たちも出立し、目的の港町エルミナへと到着した。



――港の外れ。


 巨大なクレーンと鉄材に囲まれた造船所では、筋骨隆々のドワーフ達が朝から怒号を飛ばしていた。

 その中心で指示を飛ばしていた白髭の老人が、こちらを見る。


「おう、便利屋の涼。また厄介事か?」


「ガルク親方。俺たちの船を潜れるようにして欲しいんだ。あんた、黒ひげの潜水艇を造っただろ。アレと同じような機構を組み込めないか」


 その瞬間、周囲のドワーフ達が一斉にこちらを振り返った。


「はぁ!?」

「正気か!?」

「ポセイドン海域にでも行く気かよ!」


 ガルクは煙草を吹かしながら、俺たちの船を眺める。


「……出来ねぇ事はねぇ。だが条件がある」


 親方は油まみれの指を五本立てた。


「蒼海石を五個持って来い」


「五個か……」


 黒ひげの大型艇の時は十個要求してきたと聞いた。うちの船の規模を考えれば、五個という要求は極めて妥当だ。親方は足元を見ているわけではない。

 だが、蒼海石一つでも高級船が買えるレベルの超希少鉱石だ。


「……どこかに手に入るアテはないか?」


 するとガルクはニヤリと笑った。


「ちょうど今日の夜から『海神祭』が始まる。露店が出て、音楽のコンサートなんかもやってる賑やかな祭りだが、目玉はエルミナ名物の水着コンテストだ。今年の優勝賞品が、蒼海石五個セットなのさ」


「……は?」


 ガルクはさらに言葉を継いだ。


「しかも今年の大会の大口スポンサー兼審査委員長は、俺の親戚の鍛冶屋のドルクだ」


「ドルクだって?」


 以前、俺たちの武器を大幅にパワーアップしてくれた腕のいい職人だ。だが同時に、彼は無類の女好きでもある。


「アイツの性癖にぶっ刺さる女を用意できれば一発だぜ」


 その言葉を聞いた瞬間、俺の脳内でピースが組み合わさった。

 審査委員長がドルクなら話は早い。

 確実に好みを突いて、賞品を手に入れる道筋が見えた。


 以前と同じ宿をとった俺たちは作戦会議を開いた。

 エリス、レイナ、リリアの三人を集め、事情を説明した上でテーブルに三着の特注水着を置いた。


「……というわけだ。すまないが、ポセイドンを倒すためにはどうしても蒼海石が必要になる。水着ショップで購入した水着を、俺の裁縫スキルでドルクの好みを想像して改造させてもらった。これで三人一組のチーム戦に出場して、優勝を勝ち取ってきてくれないか」


「断る! なんだこの破廉恥な布面積は!? 絶対に嫌だぞ!」

 水着を見たリリアは露骨に嫌悪感を示し、そっぽを向いた。


「事情が事情だけに仕方ありませんわ。恥ずかしいですがせっかく涼さんが作ってくれた水着なら着ます」


「たまにはレイナの大人の魅力をみせてやるか」


 エリスとレイナがあっさり承諾する中、孤立したリリアへ俺はノアのデータを提示した。


《潜水機能追加時、生存率は 5⇒81% に上昇します》

 客観的なデータを突きつけ、なんとかリリアにも納得してもらった。


 実際に水着に着替えた三人の姿が目の前に現れると、俺とカインは思わず息を呑んだ。


「……兄貴。これは、その……色々とヤベェな」


「ああ。俺の用意した水着とはいえ、実際に着せてみると破壊力が違うな……」


 俺とカインは完全に語彙力を失い、「おお……」「すげぇ……」とただただ拝むように三人の姿を凝視していた。


「どうどう? 涼、レイナのスタイル。なかなかイケてるでしょ?」


 ネオンピンクの紐ビキニを着たレイナは、ノリノリでポーズを決めてくる。


「くっ……何故この俺が、こんな破廉恥な格好を……! おいカイン、涼! そのいやらしい目線をやめろ、オロすぞ?」


 ハイレグ姿のリリアは本気で嫌がりながら、必死にあちこちを隠そうとしていた。


「りょ、涼さんっ、カインさんもっ……あんまりジロジロ見ないでくださいぃ……!」


 エリスは顔を真っ赤にして涙目になりながら、零れそうな胸を必死に手で覆った。


 正直、ドルフ対策というより、完全に俺の趣味全開のエロ水着になってしまったのは内緒だ。



――そして現在。


 ステージ上では、俺の思惑通り、ドルフが鼻息を荒くして身を乗り出していた。


「兄貴。サスケから報告だ。裏にネズミが入り込んだらしい」


 先程まで鼻の下を伸ばしていた隣のカインが、真面目なアサシンの顔に戻って囁いてきた。


「数は?」


「十人ほどだ。どうやら、例の蒼海石を提供した貴族が雇ったゴロツキらしい。自分のお抱えの愛人を優勝させるつもりだったのに、エリスたちの圧倒的な登場で焦ったんだろう。賞品を金庫ごと奪って有耶無耶にする気みたいだぜ」


 俺は小さく息を吐いた。


「自分たちの用意した景品を負けそうになったら強奪か。やれやれ、手回しが荒いな」


 俺は立ち上がり、首の骨をポキリと鳴らした。


「あいつらは今、慣れない水着で恥を忍んで俺たちのために体張ってくれてるんだ。その晴れ舞台を邪魔させるわけにはいかない」


「行くのか?」


「ああ。サスケと合流するぞ。観客がエリスたちに夢中になっている間に、俺たちで掃除を終わらせる」


 祭りの熱狂から切り離された、会場裏手の薄暗い保管庫。

 黒装束に身を包んだ武装集団が金庫室の扉をこじ開けようとしていたところを、俺たちは一切の光と音を殺して強襲した。


 俺がイエローガムのムチでリーダー格を縛り上げるのを合図に、サスケが頭上から襲いかかり、カインが目にも留まらぬ速さの打撃で次々と敵の意識を刈り取っていく。


 圧倒的だった。表舞台で華やかな光を浴びる彼女たちとは対照的に、俺たちはただ淡々と敵の無力化を進めていく。

 ものの三分で、ゴロツキたちは全員、手足を縛られた芋虫へと変わっていた。

 俺が手を払いながら観客席へと戻ると、ちょうどステージでは結果発表が行われているところだった。


「――今年の海神祭、栄えある優勝は! 圧倒的なポイントを獲得した、エントリーナンバー七番の冒険者パーティーです!!」


 審査委員長のドルフが満面の笑みでステージに上がり、以前下着姿で採寸した経験のあるリリアの右手をとり上げ、高々と掲げた。


 リリアは顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

 会場には割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こった。


 俺は小さく口角を上げた。


「よし! 流石うちのメンバーだぜ」


 目的の蒼海石は手に入れた。

 あとはこれを、ガルフ親方の待つ造船所へ持ち込むだけだ。


 最後までお読みいただきありがとうございます。


 現在ストックは無く、可能な限り新規エピソード執筆に励んでおります。

その為、 誤字や矛盾点等チェック漏れが稀に出てくるとは思いますが、気付き次第、随時修正・加筆のブラッシュアップを行っていきますので温かい目でみて頂けると嬉しいです。


 皆様の評価やブックマークが、何よりの執筆の励みになります。

 今後とも応援よろしくお願致しますm(_ _)m


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