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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: 便利屋 涼
【生存確率28%】からのサバイバル

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【情報収集】ギルドと僧侶の行方

 目覚めると、枕元のスマホが静かに光っていた。


 《月光充電完了》

 「満タンか。よし」


 ベッドから起き上がり、軽く伸びをしてから、ノアを呼ぶ。


 「ノア、次に何をすれば異世界攻略に近づく?」


 《まずは社会的身分を確立してください。この街の冒険者ギルドへ》


 「ギルド?」


 《この世界では、無所属は信用がありません。宿、依頼、取引――すべてに影響します》


 「つまり、身分証みたいなもんか」


 《はい。さらに依頼を通じて戦力と情報を得られます》


 「異世界攻略の第一歩ってわけだな」


 《涼さんが異世界から帰還を目指すなら、孤立は危険で非効率です》


 俺は小さく息を吐いた。


 「まずは“社会人”になるか」


 《それと、途中で調味料を調達しておく事もお薦めします》


 「有難う、了解だ」


 ノアの助言に従い、宿を出て街の散策から始める。

 途中の雑貨屋で小瓶をいくつか購入した。


 (流石、商業都市。武器屋から生活雑貨、怪しげな薬草屋まで何でもあるな)


 調味料屋では、塩、胡椒、カイエンペッパー。


 (カイエンペッパーまで……意外に充実してるな。異世界飯が少し楽しみになってきた)


 購入し、店を出て早速ギルドに向かう。 

 ホテルマネージャーに教えてもらった場所にちゃんとあった。


 巨大な木製扉を押し開ける。

 ずしりと重い扉を抜けると、中は独特の熱気に満ちていた。

 屈強な戦士、ローブ姿の魔術師、弓を背負った女。

 全員が一瞬こちらを見る。


 (視線、重っ)


 俺は努めて冷静を装い、受付へ向かう。

 そこには、透き通るような肌をした長耳のエルフの女性が立っていた。


 「登録料は金貨一枚になります」


 「お願いします」


 金貨を支払う。

 書類に職業を書く欄。

 ――便利屋。


 一瞬の沈黙。


 「え? お客様の職業は便利屋ですか?」


 クスクス。


 周囲から笑い声。

 受付エルフが困った顔をする。


 「……最低ランクからのスタートになります」


 「最低て?」


 「Fランク、ほぼ新人扱いです」


 横で誰かが言う。


 「便利屋って何するんだよ」


 「雑用係か?」


 クスクス。


 (まあ、想定内だ。実際この世界じゃ新人だしな。それに、この『便利屋』という職業がいかに最適解か、奴らはまだ知らない)


 掲示板を見る。

 高ランク依頼は金貨単位。

 低ランクは銅貨。


 (差、えぐいな)


 「やっぱり来たか」


 背後から声。


 振り向くと、昨日のシーフ、カインがいた。


 「便利屋で登録か。面白ぇ」


 「全然面白くない。それよりカイン、情報を買いたいんだ」


 俺は金貨を一枚見せる。


 カインがニヤリとして指摘する。

 「昨日衝突した僧侶の件だろ?」


 「話早っ! ていうか何でそれを知ってる? ひょっとしてお前、俺のストーカー?」


 「ばっ馬鹿言うなよ。なんで俺がわざわざ涼のストーカーをするんだよ?」


 (全外れでは無さそうな過剰な反応が逆に怖いんだが。……まあ、情報の速さだけは本物らしい)


 「隣町の宗教都市リュグレイン。大神官の娘だ」


 (やっぱり高身分だったか)


 「俺はそこに向けて今日中に出発するから、隣町迄案内してくれ」


 「同行は別料金だぜ」


 「金貨1枚で頼む」

 

 カインは受け取らない。


 「無理」

 

 「隣街まで一緒に行くだけだろ?」


 「理由迄は解らねえが恐らく彼女、訳有りでな。今外は魔物が異常に多いのと、それと同じ位、彼女の周囲に『護衛』が増えている」


 (思ってたより面倒な事になってきたな)


 「じゃあ、二枚」


 「……まあいい。そこまで言うなら隣町までエスコートしてやる。それと出発前の飯も涼の驕りだからな。昨日、とびきり美味そうな飯屋を見つけたんだ」


 「抜け目ねえーな、わかったよ」


 「涼はよっぽど僧侶女の事が気になってるんだな」


 「……」


 「俺と同じ二十二歳で若いしな」


 「何? 俺は三十だ。お前、かなり年下のくせになんて生意気な口調を……」


 「ハハハ、まあまあ。それより早く金貨二枚よこせ。……行くぞ、三十路の便利屋さん」


 (生意気盛りか!……だが、あの僧侶は異世界攻略において貴重な回復要員になり得る。それに、純粋に癒し系のイメージだったしな)


 たしかに腹が減ったのでカインお薦めの飯屋へ行く事にした。

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