癒やし系眼鏡僧侶現る
「キャーー!!」
ぼふんっ
曲がり角から飛び出してきた女の子とぶつかった。
ドタタッ!
むにっ
ぶつかった2人が転び、その拍子で俺の顔面が巨大マシュマロのような女の子の胸に挟まれていた。
「痛っ、、くない?」
顔を上げると、目の前に超可愛い女の子のアップがあった。
(おお〜まさか異世界で、出会い頭の衝突 + ラッキーハプニング のS級コンボが来るとは)
「ああっ、ごめんなさい、私急いでて……」
深々と頭を下げた彼女から、豊満な胸の谷間が覗いた。
「あれ?眼鏡、眼鏡」
縁が折れた眼鏡が足元に落ちていた。
「ああ、これ、落ちてたけど何か壊れたみたいね、良かったら……」
ビニールテープで応急処置をしてあげようとしたら、付き人らしきが間に入ってきた。
「コラコラ、この方を誰だと思っておる。さあさ、お嬢様もう行きましょう」
眼鏡と俺のテープを勝手に奪い、雑な応急処置で立ち去ろうとする。
「本当にごめんなさい。出発がせまってるので」
「いっいやこちらこそ……」
「ほら、邪魔、どいたどいた」
女の子の手を引き、足早に行ってしまった。
頬にさっきの胸の感触が残っている。
(……好き……)
スマホを取り出す。
「ノア、読み取り忘れた。さっきの娘の素性を教えてくれ」
《……涼さん、2つ目の貴重なアドバイスをそんな事に使っていいのですか?》
(あれ?おかしいな。いつもと違うぞ?)
「ああ、頼む」
《……22歳。僧侶。もうすぐこの街を離れます。今からではもう間に合わないでしょう。詳しい事は先程のシーフに聞くとわかると思います。それではまた》
(何その雑なアドバイス……やっぱり何かおかしい)
(しかし、今は宿を探さなくては、ノアの言うとおりアドバイスをここで使えば良かったか)
宿を見つけた。
入り口に1泊金貨1枚と書いてある。
フロントのマネージャーらしき男に声をかけた。
「ロビーの柱時計が壊れてるようですね。少しずつ遅れるでしょ。直すのでなんとか半額で泊めてくれないですか?」
「お兄さん、若い割には交渉上手だねー。どうしようか困ってた所だから、直せたら銀貨5枚で泊めてあげるよ」
「ありがとう!早速修理作業入りまーす」
フロントの脇で作業中、マネージャーがこっそり教えてくれた。
「ここだけの話、最近の商業バザー観光ブームでインバウンド需要が爆上がりしてて、ぼったくり宿が増えてるから気をつけるんだよ」
(この世界にも優しい人はいるんだな)
「直りました!」
「問題ないようだね。ありがとね。これ鍵で2階の奥の部屋ね」
「こちらこそ有難うございます」
部屋は想像とおり普通だった。
テレビが無いのが残念だ。
1階の食堂でお腹を満たし、部屋のベットで横になる。
(そういやさっきのシチューは何の肉だったんだろう。なんだか怖いな。肉の研究も必要か)
ベッドは柔らかかった。
安心して横になれた。
「明日はノアにアドバイスを貰って、冒険の準備だな」
(昼間のあの子……また会えないかな)
そのまま眠りについた。




