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最弱職「便利屋」が攻略AIで挑む異世界冒険記 ―チート勇者とのAI対決を便利屋スキルで出し抜く―  作者: 便利屋 涼
― 第二次魔獣大戦 ―

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地下オークション①黒ひげ窃盗団

 地下オークションの開催は午前十時。それに伴い、警備担当者の集合時間は午前九時と設定されていた。


 俺たちは手早く朝食を済ませ、自室で決戦に向けた最終準備に入った。

 正規のスケジュールを律儀に守るような相手ではない。早期襲撃の可能性も考慮し、俺とリリアは念のため早々に戦闘用アーマーを装着し、万全の態勢を整えた。


 武器の点検を終えたところで、俺は本日の情報収集に取り掛かった。


「ノア、一回目を使う。黒ひげ海賊団の最新情報をくれ」


《了解しました。涼さん》


 ノアの分析結果は、俺の予想を上回る厄介な事実を告げていた。


《現在、黒ひげ海賊団は異常な速度で勢力を拡大し続けています。以前、涼さんたちが撃破した『一番隊隊長』や、前回七武神が討ち取った『五番隊隊長』のポジションには、既に新たな能力者が後釜として補充された模様です》


「……なんだと? 幹部クラスの能力者の替えが、そんなにポンポン見つかるものか?」


《はい。恐らく昨夜撃退した四番隊隊長アミバの穴も、時間の問題で補充されると推測されます》


 俺は舌打ちをした。

 やはり、黒ひげ海賊団の副船長イザーク・メルキュール――奴を始末しない限り、黒ひげ陣営の能力者は無限に増え続けるらしい。


《さらに別働隊として、今回のような地下社会の資金源を狙う『黒ひげ窃盗専用部門』まで新設されているようです。八番隊隊長ジャギは、その部門の要として動いています》


(海賊の枠に収まらず、手広く組織化してきているわけか)


《今日は特にスーパーレアな出品が多いので、新部門の窃盗団として隊長クラスが他に二名程、部下が五、六人来ると思われます》


(隊長クラスだけで計三名か。予想より厄介な事になってきたな)


《涼さん、ライアンからデータをパクってスカウターを少しバージョンアップしておいたので頑張って下さい》


「あっありがとうノア」


 ノアの情報により、巨悪の根源の厄介さを再認識しつつ、俺たちは午前九時、指定された地下集合場所へと向かった。


 配置前のミーティング。

 そこで俺の視線は、警備部長の真横に立つ一人の男で止まった。


――八番隊隊長ジャギ。先日のクソ審判だ。

 奴は現在の警備副隊長という立場を利用し、平然とした顔で警備の陣頭指揮を執る側に立っていた。


(心底、舐めた野郎だ)


 ミーティングの最中、俺とジャギの視線が軽く交差した。

 だが、奴の表情には昨夜の襲撃事件に対する焦りや、俺たちへの敵意といったそぶりは微塵も浮かんでいない。完璧なポーカーフェイスだった。


 俺としては、逆にそれが不気味だった。


(向こうは、俺たちがアミバを返り討ちにしたことを知っている。そして、俺たちが防衛大臣や警備部長といった「上層部」と意思疎通を図っていないことも把握しているはずだ)


 昨日あれだけ明確な殺意を向けてきた以上、俺たちが敵であると十分に熟知した上で、奴は今、俺たちの目の前に立っているのだ。


「それでは、各員配置につけ!」


 警備部長の号令と共に、警備隊が散開していく。

 俺たちは事前の希望通り、オークション会場の裏手にある地下搬出路への配置がすんなりと許された。


 暗くひんやりとした地下通路。


「リリア、カイン。作戦通り、お前たちは少し奥の物陰でスタンバイしててくれ。いいか、俺の合図を見逃すなよ」

「ああ、任せな」

「分かった」

 カインが力強く頷き、リリアが静かに応える。二人が気配を消して闇に溶け込んだのを確認し、俺は一人、通路の入り口付近に立った。


 ここからなら、遠目にオークション会場の熱気と進行を監視できる。

 十時まであと僅か。俺たちは、ジャギたちが仕掛けてくるであろう「開戦の合図」を待ち構えた。


―― 二時間後。

 

 俺たちは焦っていた。

 当初、オークションは順調に見えた。全二十品のうち、『草薙剣』や『イエローガムの鞭』など、俺たちが目を付けていた品も次々と競り落とされていった。

 だが、時刻は十一時四十分。終了予定の正午まであと二十分を切ったというのに、通路を黒ひげたちが一切通らない。


 ステージの横には、警備副隊長のジャギが相変わらず澄ました顔で立っている。


 たしかに俺たちの配置は奴も周知のはずだ。だが、この会場から大量の商品を奪って安全に通過できる道は、俺たちが固めているこの地下搬出路しかない……はずだった。


(……おかしい)


 俺はジャギの動きと、落札された商品の保管先である倉庫を遠目から確認し続けていた。だが、あまりにも静かすぎる。


 俺はオークションの邪魔にならない所まで行き、指笛でカインを呼んだ。 

「カイン、悪いが至急ステージの裏側を探ってくれ。不自然な動きがないか確認しろ」


「了解」

 闇に潜んでいたカインが素早く動いた。


 数分後、戻ってきたカインの声はひどく焦っていた。


「兄貴、やられた! ステージにいるジャギは魔力でできた精巧なダミーだ! 本物は裏の倉庫にいる!」


(全二十品のうち、すでに落札された十五品……まさか奴ら……ここで切り上げて途中でトンズラするつもりか!?)


「リリア、倉庫に来い!」


 俺たちがオークション品の保管倉庫に到着すると、ジャギと後ろに、荷物持ちの十数人の部下たちが控えていた。


「よく気付いたなー、便利屋! 終了まで間抜けに裏口番犬を続けてれば良かったのに」

 ジャギは小馬鹿にしたように鼻で笑った。


「お前らがメイン通路を張るのは見え透いてたんでね。事前に大臣に新廊下を作らせてあったのだが……見つかったのならしょうがない、プランBに移行だ」


 ジャギの背後から、尋常ではないプレッシャーが三つ、踏み出してくる。


 いきなり、赤い髪の巨漢が陽炎をまとって突っ込んできた。

 拳を振るうだけで、石造りの通路が一瞬にして灼熱のオーブンと化す。


「チッ!」

 リリアがドラゴンスレイヤーの腹で熱波を弾くが、防ぎきれない熱が頬を焦がす。


 「熱いね。加減しなさいよ」

 炎の後ろから、白衣を羽織った女が舌打ちしながら現れた。

 瓦礫で擦り傷を負った仲間の肩に触れると、一瞬で傷がシュウッと音を立てて塞がった。


 さらにその奥から、全身にパチパチと黄金の火花を散らす男が無言で歩み出る。

 男が軽く指先を振った瞬間、極太の雷光が俺の横を掠め、背後の石壁を跡形もなく消し飛ばした。


 規格外の能力者三人。

 俺は瞬時にアップデートが施された新スカウターを呼び出した。


「スカウター起動!」


 網膜に投影された透過ディスプレイに、目まぐるしく変化する数値と図形が重なり合う。眼前に立ち塞がる三人の能力者、そして背後の構成員たちに、赤いターゲットロックのマーカーが張り付いた。


《スキャン完了。データを表示します》


■八番隊隊長(男)影無しのジャギ■

▶脅威度:S(戦術指揮官)

▶属性:虚実変換(幻影生成・光波操作)》

▶魔力残量:測定不能(ダミーへの魔力分散により本体の波形が極めて希薄)

▶特性:分身ダミーを生成可能。光の常時屈折・吸収操作につき「影」は無し

▶弱点:本体の戦闘力・耐久力は低い。ダミーとの「魔力パス」を切断で分身は崩壊


■五番隊隊長(男)炎のシュレン■

▶脅威度:A

▶属性:極高熱伝導(炎)

▶推定出力:1,200,000cals/sec

▶弱点:炎の維持に周囲の酸素を強制消費するため、密閉空間での真空化、または絶対零度による熱量相殺に極めて脆弱》


■六番隊隊長(女)癒しのレイ■

▶脅威度:S(優先排除対象)

▶属性:細胞超活性(回復)

▶弱点:自身への攻撃に対する耐性は一般人並み(物理的耐久力が著しく低い)。即死級のダメージ、または一撃での脳の破壊


■七番隊隊長(男) 金色のファルコ■

▶脅威度:A+

▶属性:高電圧プラズマ(雷)瞬間電圧: 80,000,000V》

▶弱点:神経伝達の加速により超高速移動を可能とするが、直線的な軌道しか描けない。また、完全な絶縁体に対しては攻撃が無効化される


■【強盗団構成員】 約15名■

▶脅威度:E(荷物持ち)

▶平均戦闘力:120

▶弱点:通常の人間と同様。広範囲攻撃で一掃可能


(まずい!ヤツラの戦力がノアの当初予測をはるかに超えている)

 最後までお読みいただきありがとうございます!


 現在ストックは無く、可能な限り新規エピソード執筆に励んでおります。

その為、 誤字や矛盾点等チェック漏れが出てくる事があるとは思いますが、気付き次第、随時修正・加筆のブラッシュアップを行っていきますので温かい目でみて頂けると嬉しいです。


 皆様の評価やブックマークが、何よりの執筆の励みになります。

 今後とも応援よろしくお願致しますm(_ _)m


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