恋人との文化祭①
文化祭。文化祭=メイド喫茶みたいなイメージがあるが、意外とそうでもない。
颯太がやけにメイド喫茶を推していたが、出し物決める話し合いで発言させないようにした。嫌な予感しかしなかったし。
結果的におにぎり屋になった。のだが……。
颯太が当日に持ってきたのは、メイド服だった。
「陽希に似合うと思って」
「似合うわけないだろ!」
そう思っていたのに、いざ着てみたら、クラスメイトの反応は良好。
「別に良いんじゃない?」
「メイクもしちゃう?」
「しなくても可愛いと思う」
俺がクラスメイトに囲まれ始めた時、突然颯太に腕を引っ張られて、気づけば腕の中へ。
「見んな」
「成瀬が着せたんだろー」
「お客さん結構来てくれそうなのに」
「ダメだ。陽希、脱げ。着替えろ」
そのまま教室の端っこに追いやられた。
すると颯太が、俺の耳元に口を近付けて来た。
「俺の家来た時に、もう一回着て」
そして俺を全身で隠すように立った。
俺はメイド服から制服に着替え終わり、颯太と二人で学校内を回ることにした。
颯太は文化祭パンフレットを開きながら、
「飲食とかフォトスポット多いな」
「お、射的あんじゃん」
「陽希得意?」
「まぁまぁかな」
「俺もそこまでだな。相当運が良い時くらい」
そんなことを話していたら、射的をやっている教室に辿り着いた。
すると教室から男子生徒が飛び出してきた。
「いらっしゃい! 三百円で六発だよ!」
俺たちはそれぞれ三百円支払って、おもちゃの銃が置かれた机の前に立った。
的は全て数字が書かれており、得点によって貰える景品が違うらしい。
「なぁ陽希、勝負しないか? どっちが多く点取れるか」
「良いけど」
「じゃあ、負けた方が勝った方の言う事を聞く」
パァンッ!
颯太が一発目から的に当てて、点を稼いで行った。
「嘘だろっ!?」
その後も颯太は順調に撃って行き、最終得点は350点。
「陽希? 撃たねぇの?」
今の俺にとっては煽りにしか聞こえない……。
つい、颯太のテクにボーッとしてた俺が悪いんだが、高得点のやつが、ほとんど颯太に倒されてしまっていた。
勝つためには、500点の的に当てるしかない。六発もあるんだから当たるだろうと思っていたが、五発外した。
それを見ていた颯太が俺の後ろに立ち、俺の手ごと銃を掴み、位置を調整された。
「ここら辺かな……。撃ってみて、陽希」
言われるがまま撃つと、パタリと的が倒れた。
勝負には勝ったけど、なんだか負けた気がする……。あれ実質バックハグだし……。
景品を貰って教室を出ても、心臓がバクバクして収まらなかった。
久々の執筆。




