恋人との文化祭②
射的の景品でもらったのは、桃100%ジュースだった。
受付の奴曰く、結構お高いらしい。
颯太はお菓子の詰め合わせをもらっていた。
「陽希、あとでそのジュース飲ませて」
「良いよ」
「なんか思ってたより軽くてビックリしたんだけど」
「だって、颯太と共有したいし……」
俺がそう言った瞬間、颯太が立ち止まった。
「え、何?」
「後で覚えとけよ」
「何が……!?」
よく分からないが、俺たちはワッフルを出しているクラスにやって来た。
教室内にあるテーブルで、生徒が食べていたワッフルは、厚すぎず薄すぎず、ホイップと苺ソース。王道で間違いなく美味い組み合わせだ。
受付に行くと、色んな種類のトッピングがあり、俺は王道組み合わせのやつで、颯太はホイップチョコソースの方を選んだ。
俺たちは席に座り、運ばれてきたワッフルを一口食べた。
「美味しい?」
「美味しい……」
颯太は自分のにはまだ手をつけず、俺が食べているのを眺めていた。
「何で食べねぇの?」
「陽希が食べてるの見たいから」
「お前なぁ……!」
俺はワッフルを一口分に切り、颯太に差し出した。
颯太は何の躊躇いもなく食べた。
「美味い。陽希に食べさせてもらったからかも」
「だからお前……!」
もうコイツに勝てる気がしない。
時計を見ると、クラスのシフト時間が迫っており、俺たちは一度教室に戻った。
荷物を置いて、店番を代わった瞬間、女子グループが入ってきた。
「あの! さっきは射的で遊んでいただき、ありがとうございます!」
射的……確か受付にこんな子がいたような……。
隣の颯太は普通に接客をしていた。
「こちらこそ、とても楽しかったです」
確かに楽しそうにしてたなコイツ。俺は射的って言われると、あのバックハグ思い出して、気が気じゃなくなるっていうのに……。
気づけば女子グループはおにぎりを購入し終えていた。
「陽希、顔赤い。どうした?」
「分かってるくせに……」
颯太はニヤリと笑った。
「何のことかな〜?」
「お前がやったんだろ……!」
「でも嬉しかったんだろ?」
言葉に詰まった。好きな恋人にバックハグされて、嬉しくないわけないだろ……。
「また真っ赤。ホント分かりやすい」
颯太は俺の耳元まで顔を近づけてきた。
「そういうところが好き」
甘い声で囁かれ、身体がぞくりとした。
そんな俺の反応を見た颯太は満足そうに笑った。
「後で覚えとけ」
「だから何が……!」
結局、それ以上は教えてくれなかった。




