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お揃いのぬいストラップ

 ゲーセンに着いた俺たちは、入口付近の景品から順番に見て回った。

「陽希、なんか良いもんあった?」

「いや……こういうとこ滅多に来ないし、来ても取れないし」

「最初から諦めてどうすんだよ」

 それもそうだけど、正直苦手なんだよな。沼って小遣い飛ぶってのはなるべく避けたいし……。

 そんなことを考えていたら、颯太がとある台で止まった。

「この景品どう?」

 颯太が指さす方向を見ると、そこには白猫と黒猫のストラップぬいぐるみがあった。

「これ、二匹揃えたら磁石でくっつき合えるんだって。どう見てもカップル向き景品だよな」

「そうだな……。まさかこれ取るつもりか?」

「ああ。アームが丁度良い感じならな。弱すぎんのは論外だし」

 そう言いながら颯太は百円を入れた。


 それから、白猫は一発で取れたが、黒猫は中々取れなかった。

「マジかぁ。でも一匹目で確率引けたのはデカいな」

「クレーンゲームに確率?」

「一定の金額を入れるとアームが強くなるの。それを一発目で引けたんだから、俺ら運が良いぞ」

 と言いつつ、颯太は二匹目を取るためにお金をどんどん使っていた。


 十分後。

「うーん、いい加減止めなきゃかもな。せっかく陽希とお揃いにできるかもって思ってたのに」

 残り回数はあと一回と表示されていた。

「陽希、やってみる?」

「いやいいよ。俺下手だろうし」

「やってみなって」

 結局折れた俺は、残り一回をやってみることになってしまった。

 無難に真ん中を狙ってボタンを押した。するとアームはしっかりと景品を持ち、景品口に落とした。

「マジか。すげぇじゃん陽希」

 颯太に撫でられて照れくさくなりながら、景品口から景品を取った。

 二匹の猫ぬいぐるみをくっつけさせてみると、なんだか恥ずかしくなってきた。

「耳真っ赤じゃん」

 と言われて咄嗟に隠そうとする前に、颯太の手が俺の耳に触れた。

「やめろここ店だぞ……!」

「いーじゃん、みんなゲームに夢中だろうし」

「そうじゃなくて監視カメラっ……!」

「そこまで気にしなくて良いだろ。俺傷ついちゃう」

「そんなつもりじゃ……」

 俺が落ち込むと、颯太はクスクスと笑った。

「分かってるよ、陽希が恥ずかしがり屋ってこと」

 そう言いながら、俺に猫のぬいぐるみを手渡してきた。颯太が一発で取った白猫だった。

「それぞれ取ったやつ交換な。その方が良いだろ?」

 確かにそうだ。自分が取ったやつを颯太が持っててくれると嬉しいし、颯太が取ってくれたやつを持ってるのも嬉しい。なんだかプレゼントみたいで。

「どこにつけようかな……」

「俺のオススメは筆箱。カバンだと失くした時ショックだし」

 颯太は財布をしまってから、筆箱に黒猫をつけた。

「陽希はどうすんの?」

「俺も、筆箱にする」

「お揃いだな。結構前からお揃いってやってるけど、今回のは特別」

 確かに、今までの『お揃い』とは全然違う。

 てか筆箱ってことは、勉強会とかで隣に置いたら、勝手にくっつくかもしれない。

 そう考えたらまた恥ずかしくなってきた。

「陽希また顔赤いじゃん」

「気のせいだろ」

「はいはい気のせい気のせい」

 颯太は俺の手を握って、歩き出した。

「次どこ行く?」

「どこって言われたって……」

「じゃあ散歩みたいな感じでまた回ろ」

 こうして俺たちは、ゲーセンを後にした。

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