表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/26

夜景なんか見てられない

 夜空に色鮮やかな光を放つ、巨大な観覧車。中央にあるデジタル時計は、19:30と表示されていた。

 成瀬が「そろそろか……」と呟いた次の瞬間、突然俺の手を引っ張り、観覧車へ向かって歩き出した。

「おい成瀬、急に引っ張んなよ」

「悪い悪い。代わりに最高の景色を見せてやるからよ」

 悪いだなんて一ミリも思ってなさそうな顔で、ただの手繋ぎから恋人繋ぎに変えてきた。

「おい……恥ずかしいからやめろ……」

「堂々としてりゃ良いんだよ」

 相変わらずの強引さ。でもそれも含めて好き……。


 ゴンドラに乗り込むと、スタッフがゆっくりと扉を閉めた。

 二人っきりの空間。さっきまで聞こえていた園内の賑やかさが、少しずつ遠ざかっていく。

 外の夜景は綺麗だった。けど、どうしても成瀬の方を見てしまう。

「陽希、今日一日楽しかったか?」

「うん、まぁ……ね」

「素直じゃねぇな〜」

「悪かったな」

 それから俺は少し間を空けてから、

「なぁ、いつからだ?」

「何が?」

「俺のこと、好きになったタイミング」

 初対面ではあんなに嫌悪されてたのに、気づいたらこうなってたし……。

「いつからなんだろうな。自覚一歩手前だったのは、バレーボールが陽希に当たっちゃった時」

 珍しく成瀬が怒ってた時か……。

 その後保健室で寝てたら、成瀬に顔近づけられて、めっちゃ心臓に悪かったやつ。

「それから色々考えてさ。毎日陽希の顔見てたら、恋愛対象として好きだって気づいた」

 一拍置いてから、成瀬は続けた。

「だって俺、陽希でぬ……いや、何でもない」

「恥ずかしいこと言うな……」

「何も言ってないぞ」

「お前なぁっ!」

「陽希はいつから? 俺にドキドキした瞬間くらいあんじゃねぇの?」

 成瀬はニヤニヤと笑いだした。

 ドキドキした瞬間なんて、心当たりしかない。

 相合傘とか、手が触れた時とか、優しくされた時とか。数え切れないほどたくさん。

 でも全部言うのは癪だから、外を向いて黙った。

 もうすぐ頂上に着くらしい。

 すると何故か、成瀬が隣に来て、恋人繋ぎをしてきた。思わず成瀬の顔を見た瞬間。

「陽希、好きだよ」

 顔が熱くなる。真剣で、真っ直ぐ見つめてきて。安直な言葉。でも、ハッキリと伝わる言葉で。

 恥ずかしさで顔を逸らすと、顎を掴まれ、目線が戻される。

「今ドキドキしてるだろ?」

「そんなこと」

「じゃあこれでも?」

 成瀬が顔を近づけて、軽く口付けてきた。

 心臓が跳ね上がる。

「バカッ、誰かに見られたらどうすんだ!」

「みんな夜景に夢中で気づかねぇよ」

「そういう問題じゃなくてだな……!」

 成瀬はクスリと笑うと、軽く俺の胸に手を当ててきた。

「何すんだよ」

「やっぱドキドキしてんじゃん。身体は正直だな」

「お前っ、その言い方やめろ!」

 でもそんなところを許してしまうくらい、この男が好きな俺は、相当毒されてるみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ