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天元戦記  作者: yakiniku1010
第4章
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幕間 推しの会

崖の上の砦《とりで》に上り、数人の男が肩を組んで歌いながら飲んでいる。

落ちはしないかと見上げる双蛾《そうが》の袖を、繭《まゆ》が引いた。

「あんなのほっといて、座って座って!」

崖が気になりつつも双蛾が座ると、たちまち女たちが群がる。

「ねぇ、コレ食べて」「コレも!」「こっちの肉も」

次々と皿が差し出され、双蛾の前に食べ物の山ができる。

「ありがとう」

双蛾は微笑み、一皿目を手にした。

「うん、おいしい」

にこやかに肉を頬張る。歓声が上がる。

二皿目、「わぁ、軟らかくて甘くておいしい」

三皿目、「魚もおいしい」

妙な盛り上がりを見せる中、焔《ほむら》と不知火《しらぬい》の間に、繭が無理矢理割り込んで座った。

「なんだよ、狭いな」

焔が文句を言うが、繭は気にせずその肩に手を置き、うっとりと目を輝かせる。

「見て…あたしが持ってった肉団子食べてる…尊い…!」

「食ってるだけじゃねぇか」

ため息をつく焔。

挿絵(By みてみん)

不知火が不思議そうに言った。

「なぁ、前から疑問だったんだが、その団扇《うちわ》は何なんだ?もう秋だぞ」

繭の手には、派手な柄の自作の団扇が握られている。表に不知火、裏に双蛾の文字が眩しい。

「よくぞ聞いてくれたわ。これはね…」

熱心に説明を始める繭に呆れ、焔は盃を持って席を移動する。

途中、なぜか老爺《ろうや》の行列が出来ているのに気付く。

銀狐《ぎんこ》の祖父が先頭にいた。

「…何、並んでんだ?」

「双蛾ちゃんに差し入れたくて、食事が終わるのを待っとる」

見れば、プルプルと震える手に、羊羹の皿が大事そうに乗っている。後ろに並ぶ老爺たちも、それぞれに饅頭や果物の皿を持つ。

「えぇい、早く手渡したい!甘味堂の新作なんじゃ…!」

焔は双蛾を見た。

まだまだ食事の皿が山積みだ。

女たちに囲まれ、うまそうに食べ続ける双蛾。

「…出直したほうが、いいんじゃねぇか?あれ、当分終わらねぇぞ」

途法に暮れ、焔は呟いた。


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