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天元戦記  作者: yakiniku1010
第2章
22/25

幕間 双蛾の強さ?

界門かいもんとりでは、組み上げては崩れ、また組み上げて――を繰り返し、徐々に大きくなる。

双蛾そうがのたっての希望で、書庫は早めに整備された。紅蓮ぐれんがどこかで買い漁ってくる書物や、嶺洲れいしゅうから寄贈された古書が、手製の棚に収められていく。

ある日双蛾が書庫へ向かうと、いつになく中が騒がしかった。

文机の周りに人だかりが出来ている。

「書庫では静かに」

言いながら通り過ぎようとすると、ほむらに腕を掴まれた。

「双蛾、いいところに来た。助けてくれ!」

「…何?」

「腕相撲だ!」

――腕相撲?

見れば、文机の前に弁慶べんけいがドカリと座り、不敵な顔でこちらを見ている。足元に数人の男たちが転がっていた。

銀狐ぎんこ黒鉄くろがねが駆け寄ってきた。

「このままじゃ俺達全敗だ」

「こんな時に限って、不知火しらぬいもいねぇしよぉ〜」

「頼む!お前なら勝てる!」

双蛾が眉をしかめる。

「やだ。腕力でかなうわけないでしょ。そもそも、ここで腕相撲大会なんかやらないでよ」

立ち去ろうとするが、強引に押し戻され、弁慶の対面に座らされてしまう。

「フハハハ!双蛾よ!近頃手合わせでは負け続きだが、雪辱を果たす時が来たな!」

弁慶が目をギラギラさせ、右腕を突きだした。

仕方なく双蛾も腕を出す。

(…さっさと負けて終わらせよう)

手を組み交わす。弁慶と比べると、双蛾の手はまるで子供だ。

挿絵(By みてみん)

「用意…」

焔の声に、一同が静まる。

「始め!」

「ふんぬ!!」

弁慶が本気で腕を振り下ろした。

双蛾は体ごと吹き飛んだ。

書棚に激突。手製の棚は物凄い音を立てて崩れ、双蛾は書物の山に埋もれた。

「うわぁぁ!」「双蛾、大丈夫か!」

一同が駆け寄り、助け起こす。

「…もう、だからいやだったのに」

双蛾はため息をつき、体のほこりを払った。

「…大丈夫なのか」「…頑丈だな…」

唖然とする面々。

散らばった本の中に、双蛾は目当ての一冊を見つけ、拾い上げた。

「棚、直しておいてよね」

ピシャリと言い、書庫を後にする。

「双蛾!また勝負しようなぁ!」

背後から弁慶の声が響いた。

(…絶対やらない)

双蛾は再びため息をつき、立ち去った。

――城の完成の、少し前のお話。



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