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33話


ビニール袋を片手に、夜道を歩いた。

行く場所は決まっていた。


街灯が光り、奥に家が見える。


門の前まで来た。

警察の黄色いテープが何重にも貼られ、中に入れないようにしている。


見上げた先に出窓が見えた。


そう。

僕が、弟を……殺したんだ。


母はいつも弟ばかり可愛がって、僕には見向きもしなかった。

だからあの日、弟と鬼子ごっこして、追いかけた。


ベランダに出た弟を、僕は必死で怖がらせた。


だから、弟は……。


僕は家の電話を使って119番にかけた。


「あはは、僕は嘘をついたんだ。弟がベランダから落ちたって」


そうじゃない。

そうじゃないんだ。


頬に冷たい雫が流れる。


因果は収束する。


この家の家族も、行方不明になった。

数日後、河川敷で見つかったとニュースで見た。

理由は知らない。


いや。

本当に、知らないのか?


僕は、知っている。


弟も、落ちた。

母も、落ちた。


そして、あの家族も。


通り魔だって、同じ線の上にあるのかもしれない。


振り返らずに、歩きだした。

途中、コンビニの乾電池回収ボックスに立ち寄り、手にしたビニール袋を放り込んだ。


もう見ることはない。


次に向かう先は決まっている。


僕は、再び歩き始めた。



その夜、大学の研究棟に明かりが灯っていた。


葛原の部屋だ。


窓の奥で、何かが動いた気がした。

一瞬、影が重なったように見えた。


因果は収束する。


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