03話
膝がガクガクする。
先月だって?
僕は今日、今見たばかりだ。
「そ、そうだ。あれって昼間だったよな」
僕は一体、なにを見せられたんだ。
テレビは何事もなかったように笑い声を流していた。
明るい声が、ダイニングに響き渡る。
時間と共に、少し冷静になり、テーブルのスマホを手に取った。
確かめなくては。
検索。
マンション事故。
子供。
虐待。
ヒットした。
記事の内容の前に、マンションのベランダの映像があった。
同じ。
その記事を読むと、事故が起きた日は、二月十六日午後二時頃と書いてあった。
一ヶ月前、しかも昼間だった。
「やっぱり、過去の映像だったんだ」
だからと言って何も解決しない。
事故もワンルームマンションも、過去の映像。
どうなっている。
テレビを睨みつける。
先輩芸人に媚を売るような笑い。
全然面白くない。
チャンネルを変える。
どの番組の似たりよったりのだった。
あの映像はない。
「だとしたら……」
リビングのダンボール箱に目が行く。
最初と二回目も、あそこから取り出した乾電池だった。
今は違う。
自分で想像して、鼻で笑ってしまった。
「ないない。そんなこと……」
言葉は途切れ、断言できない。
そんなことがあり得るのか。
リビングの電気を入れて、ダンボール箱の中身を照らす。
二、三十本はある。
もし、僕の想像通りなら。
知らず手が震える。
二度、拾い直して手に取った。
廃棄処分される前に、会社から持ち帰った。
知らないうちに溜まっていた。
種類の違う乾電池に、なぜか手の震えが止まらなくなっていた。
確かめるには、交換するしかない。
震える手でなんとかリモコンの電池を入れ替えた。
テレビに向けて、チャンネルを押す。
どの番号を押したのか、覚えていない。
適当に押したはずなのに……。
空が見えた。
奥には、手すり。
どこかの屋上。
人影が柵に手をかけて、
「おい、やめろ!」
テレビに向かって、叫んでいた。
「そこから離れろ、落ちるぞ!」
人影は、画面からすっと消えていなくなっていた。
……数秒後。
ドスン。
耳にこびりつく鈍い音。
さっきと同じだった。
指先ひとつ、動かなかった。
どれくらいそうしていたのか、テレビからサイレンの音が届いた。




