22話
画角は次々に切り替わり、どれも固定されていなかった。
今まで見てきた映像とは、まるで印象が違う。
監視カメラの映像を切り替えて見ているようだった。
そのうち、一人が気づいた。
「あれ? うちの会社じゃない?」
「え、あ、本当だ。工場だよね」
ときどき砂嵐になったり、映像が傾いたりしている。
「テレビって、監視カメラの映像と繋がってるの?」
「さあ、知らない。こんなのはじめてだし」
「ねえ、桐島さん。このテレビって」
目が離せなかった。
もし、この映像の中に重大な何かが映っていれば。
そう思うと、体に力が入り、見逃すまいと目を凝らした。
「ねえ、桐島さん。聞こえてます?」
「えっ、なに?」
ほんの一瞬だった。
呼ばれたことに気づいて目を逸らしたとき、画面の左下に人影が映った。
作業員の服ではない。
誰だ?
次の瞬間、映像は消えていた。
「あれ、戻ってる?」
「ホントだ。ねえ、チャンネル変えて」
リモコンをテレビに向けていた女の子が声を上げた。
再び、皆の視線がテレビに向けられた。
事務所のドアが開いて、堂島課長が昼休憩から戻ってきた。
「あー、お腹いっぱい。昼からまた、頑張るぞ、って、どうした桐島くん」
立ち竦む僕を見て、近づいてきた。
「い、いえ。別に」
僕の視線を追って、課長の顔がテレビに向いた。
「なんだ、君も甲子園が好きなのか?」
僕はうんともすんとも言わず、席についた。
あれは偶然じゃない。
また、見せられたんだ。
これが過去の映像だったとして、一体何が起きた?
工場で事故なんてなかった。
事故じゃないなら、何だ。
まだ起きていないのか。
それとも、これから起きるのか。
終業のベルが鳴るまで、僕は延々と考え続けた。




