029 ビンゴ!
索敵スキルがなくても、マップ情報がなくても前世で身につけたリア充を見分ける眼力があれば、十分だったな。何しろあの頃はリア充を見つけては近寄らないようにしていたっけ……。高校、大学での思い出がよみがえってくるが、苦いコーヒーと一緒に腹の中に流し込んだ。
距離を取りながら跡をつける。ターゲットを見つけたが、転移魔法を使用されると、探し出すことは不可能だ。
俺の対人スキルは、セバさんに仕様を変更してもらい使い勝手を良くなっている。
・(緑~赤)肉体奴隷化魔法
・(黄~赤)能力永久無効化…相手の能力を全て無効化する
・(赤)精神奴隷化魔法
・(赤)強制レベルダウン…相手を強制的にレベル1にしてしまう
とにかくHPバーを赤まで落とせば、すべての魔法をかけることが可能になる。
万能バットは触れるたびにHPバーが一段階ずつ緑、黄、赤の順で下がっていく。
逃げられる前に、HPバーを赤状態にして精神奴隷化魔法をかけてから、あとのことは考ええよう。
しばらくついて行くと、路地の方に入っていき、後で合流するらしく、店の前で別れたりしている。
最後には女性二人とトオルという日本人の冒険者だけになった。
少し開けた噴水の広場に出たところで冒険者たちは振り返った。
「やあ……僕たちに何の用だい?」
バレている!?
いや相手はチート持ちだ、何かの能力で俺のことを見破ったのだろう……。
「いや、特に用というわけじゃないのだが……」
両手を挙げて俺は降参のポーズを取った。
「ふーん、そう。それでも君は魔の眷属だよね。町に入ったときから気づいていたんだ。それで前を通ったら引っかかるかなって思ってね」
そうだよ、俺のリア充感知能力に引っかかったさ。
チート持ちにありがちな、黒髪黒目。典型的な日本人だが、逆にこの世界では目立つ。連れ添っている女性もそろって美しい。
くっそ!うらやましいじゃねーか!どこまでいってんですかねぇ?
冒険者の男は、手元で他人にはみえないウィンドウに何やらぽちぽちとタップしている。あれで俺のことを束縛するようなことがなければいいのだが……。
「この俺を誘い出してどうするつもりだったんだ?」
あちらはチート持ちだが、俺のことを単なる魔に属する者としかみえていないようだ。これまで何度か対戦を経験し勝利しているからこそのこの余裕なんだろうな。




