027 賭け
精神奴隷化魔法は永続的に効き目がある魔法なので解けてはいない。マインドコントロールの「ラブ」モードをオンでいちゃいちゃしていると、闇主様がやってくるに違いないので「サイレント」モードをオンにした。
「バスタオルで俺の体を拭いてくれ」
「はい」
これは賭けだ、どこまで許されるのか……。
全裸で突っ立っている俺を恥ずかしげな表情をみせることなく体の隅々まで丁寧に拭いきはじめる。
せ、成功だ。闇主様からの干渉はなかった。これがぎりぎりで行くという意味になるのだろうか……。
服を着てヴィオラの宿を跡にし、外からヴィオラのマインドコントロールを「オリジナル」に戻す。これでまた通常の生活に戻れるだろう。やっていることは完全なる催眠デートだったが俺にとっては楽しい一晩の思い出ができた。
そして今回のことを通して、闇主様のご所望していることを推測することができた。
女子供を奴隷商に売ることは、闇主様にとってはどちらでもよさそうだ。とっとと売っぱらって大金を手に入れるか……。
□
宿に戻り、無表情で待っていた冒険者三人と唐揚げ弁当をともぐもぐと食べる。冷めてもうまいな唐揚げ……。
宿を後にして奴隷商の館に向かう。
彼女たちの知り合いにでも会うと面倒なので三人にはマントをかぶらせて港町レイトットの街を移動する。何人かの男に声をかけて奴隷商の館にたどり着いた。
中に入ると丸眼鏡をかけたちょび髭の男が出てきた。
「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「彼女たちを売りたい。マントを外せ」
「ほうほう、なかなかの見た目ですな……しかし買い取れませんな……」
あれ、なんで?
「彼女たちは異世界人。都合が悪くなるとすぐ消えてしまいます。あなたは違うようですが……」
「……どうして、それが分かる」
「顔つきでございます」
腑に落ちない。
「彼女たちは美しすぎるのです」
遠回しに俺の顔のこと整っていないってことを言ってない?
「……そうか、時間取らせたな」
ここで彼女たちはログアウトできないことを伝えても証明する術がない。騒ぎになる前におとなしく引き下がるか……。
彼女たちのことは綺麗さっぱり忘れよう。店を出て彼女たちを先に町の中心部の方へ歩かせる。それを俺は見送り。見えなくなりそうな所からマインドコントロールの「サイレント」モードから「オリジナル」モードへ戻し、ログアウト機能を復活させる。
さて、これからどうしようかな……。




