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6-10 戦術AIの覚醒と自律判断

「ほう、すごいじゃないか! 『シラユキ』の神懸かった万能機能――ナノマシン展開をオミットしているというのに、あれだけの機動ができるとはね」一連の遙の鮮やかな身のこなしを目の当たりにし、クローディアは感心したように感嘆の声を漏らした。


「それだけじゃないわ、マリ。遙の戦術AI自体が、恐ろしい速度で進化している様よ。弾丸はすべて叩き落とし、槍は受け流し、自身の耐久限界を超えるハンマーは確実に回避した。……今までの、ただ命令を待つだけだった試験体たちでは考えられなかった、高度な自律判断(PDCA)だわ」ゆりの冷静かつ驚愕を孕んだ分析を聞きながら、クローディアはさらにその瞳を少年のように輝かせる。


「遙、悪いがその廉価版のデータをもっと精密に取りたい。同様の試験を、何セットか連続で続行するよ!」


「はい、マリ。わかりました」遙の完璧な協力のもと、廉価版プロテクターの過酷なデータ採取が何度も繰り返された。


試験がすべて終了した後、二人は遙の身体から稼働後のプロテクターをパージさせ、各所の劣化や損耗状態の入念な確認作業へと移った。


当然ながら、随所にボロは出ていた。遙が人間以上の超人的な負荷と速度で動いた結果、関節部や装甲の結合部など、構造的に負荷が集中しやすい部分がいくつか破損していたのだ。


挿絵(By みてみん)


だが、それは遙の過失では決してない。試作機(プロトタイプ)というのは本来、こういうものなのだ。


「理論上は動くはず」という前提で作られているからこそ、実際に限界まで負荷をかけて動かして初めて、机上では見えなかった設計の脆い部分(バグ)が露呈するのである。


「なるほど、ここに力が集中して壊れるのか。なら、いっそこの部位の装甲を削って可動域を広げた方がいいな。逆に、衝撃に弱い部分は構造を肉厚にして補強しよう」クローディアはブツブツと呟きながら、指先でホログラムの設計図を滑らかに修正していく。


修正したデータを再びプリンターで出力し、遙に着せて試験を行い、新たなデータを取り直す。あとは、この地道で果てのないプロセスの繰り返しであった。


世界を救う超兵器のプロトタイプは、こうして二人の天才と一人の人造人間の手によって、着実に完成度を高めていくのだった。

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