6-7 廉価版プロテクターの完成
6-7 廉価版プロテクターの完成
ラボに設置された高性能3Dプリンターへデータが転送され、分子再構成の緻密なプロセスを経て、「シラユキ廉価版プロテクター」の実物が静かに編み上がっていく。
完成した純白のプロテクターを手に取り、各部の強度を入念に確認するクローディア。
「まぁ、私の美学的な不満はともかくとして、工業製品としてはこんなものかな。関節の脱着もスムーズだし、何の問題もなさそうだ」そう言って、まずはテスト用のマネキン人形に白い装甲を着せて固定し、全体のクリアランスを確かめる。
遙もまたクローディアのすぐ横にぴったりと寄り添い、手慣れた仕草でマネキンへの装甲装着を手伝っていた。その作業の最中、遙はふと手を止め、どこか申し訳なさそうに視線を落とした。
「マリ……私の、この『シラユキ』の仕様では、提出物としてはダメなのでしょうか?」自分の存在や能力が否定されたのではないか――。そんなかすかな不安を滲ませて尋ねる遙に、クローディアは豪快に笑って答えた。
「ははは! 逆だよ、遙。君の『シラユキ』はあまりにも凄すぎて、普通の人間には手に余るというか、脳が焼き切れてまともに扱えないのさ。それに、あんな超兵器を装備した君という最高の存在を、上の欲深な連中に教えてやる義理なんてないからね。そういうわけで、わざわざ機能を削った『劣化版』を作ったのさ。これなら、凡庸な人間にだって安全に扱えるだろう?」そう言って、クローディアはマネキンが纏う白い胸部装甲を、コンコンと指の背で軽快に叩いてみせた。
「えーと、近接用のテスト武器は……あれだね」クローディアは床のラックから、新しく出力されたばかりの片手剣を拾い上げる。
それは、以前の試験体が手にして戦っていた既存の剣とは、形状が根本から異なっていた。人間が死線において、武器を手放したり落としたりする致命的なミスを防ぐための設計。
手の甲から前腕のハードポイントへ直接「ボルトオンでカチリと固定する」専用の形状として、最初からプロテクターとの一体運用を前提に形成されていたのだ。
これこそが、後に量産されることとなる『アオサギ』の主兵装――固定式ソードの、記念すべき最初のプロトタイプ(原型)であった。




