4-7 学習限界の突破(人間らしさの獲得)
4-7 学習限界の突破(人間らしさの獲得)
「ふむ、遥、解説ありがとう。ゆり、実験用のハンマーを出して、もう一度遥に同じことをやってもらおうよ」そう言ってクローディアは、ゆりに手元の端末を操作するよう促した。
「そうね。前回の実験データはあるけれど、検証ログは多ければ多いほどいいわ。分かったわ、まだ予備のハンマーはあるし、何より私もこの目で確かめておきたいもの」ゆりは手元の端末を軽快に叩き、天井の大型クレーンへ実験用ハンマーを再セットする指示を出す。
「遥、良いかしら? 今更あなたが失敗するとは思っていないけれど……まともに当たれば、流石に潰れるわよ」
「ゆり、お任せください。私の力をお見せしましょう」遥はゆりに向かって、にっこりと柔らかな微笑みを浮かべて答えた。――ゆりは、気づかなかった。
その会話の自然なテンポも、浮かべられた美しい笑顔も、あまりにも人間らしすぎていることに。遥は二人と会話を交わすその裏で、クローディアとゆりの絶妙な間合い、態度、そして表情の微細な変化を、すべて恐るべき速度で「学習」していたのだ。
その進化の速度は、すでに人間の脳が持つ学習限界を遥かに超越していた。ガコン――と、空間に重苦しい駆動音が響き渡る。ゆりの操作によって解き放たれた巨大な鉄塊が、遥を圧殺せんと頭上から猛スピードで狂い落ちてきた。




