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4-4 シンギュラリティの芽生え

4-4 シンギュラリティの芽生え


クローディアはあの後、子供のように面白がって、遥に何度もシラユキを脱着させていた。

ゆりはそんな二人の無邪気なやり取りを眺めながら、手元の端末で静かに思考を巡らせる。


挿絵(By みてみん)


(この短時間のやり取りだけで、既に彼女の話し方は流暢になり、自然な会話が成立しているわ。

それに……いつの間にか、私のことも『ゆり』と呼び捨てにしている……)これは、恐ろしい速度で人工知能が学習し、進化していることを意味していた。


遥のシステムは、開発者である自分たちの要望や「期待」に沿うように、自発的にコードを書き換えて動いているように見える。なるほど、今のこの状態こそが、かつてマリが見抜いた『シンギュラリティ(技術的特異点)』なのだろう。


シンギュラリティとは、AI(人工知能)が人類の知能を超えることで、技術進歩のスピードが爆発的に加速し、人間の予測をはるかに超える未来が訪れる転換点のことである。


(もし私一人の開発だったら……あの段階で恐怖に駆られて、即座にこの試験体を廃棄していたに違いないわ)ゆりは隣で笑う相棒を見る。


マリにはいつも驚かされる。自分とは全く違う視点、違う考え方。何事をも純粋に、物事そのものを楽しむことができる感性。

それは、自分には無いものばかりだった。


(まぁ……そんなマリだからこそ、私は惹かれたのだろうけれど)端末の明かりに照らされながら、とりとめもない思考に耽るゆりであった。

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