4-2 プラモデルの鏡面(シラユキの分割)
4-2 プラモデルの鏡面(シラユキの分割)
クローディアとゆりの二人は、遥の足元に転がった純白の装甲パーツをいくつか拾い上げ、手元で本格的な観察を開始した。
「なによ、これ……?」ゆりは、手に取った胸部装甲の切断面を覗き込んだ瞬間、驚きに目を丸くした。すべてのパーツが、あまりにも歪みのない滑らかな曲線を描き、前後に美しく真っ二つに裂けていたのだ。
その構造は、まるでプラモデルを想起させた。ランナーから切り離した左右のパーツを、前後からパチンと噛み合わせて完成させる、あのプラスチックの外殻のようでもあった。
「うはは! これは面白い、実に面白いね!」当惑の声を漏らすゆりとは正反対に、クローディアは新しい玩具を与えられた子供のように瞳を輝かせた。
彼女は拾い上げた左右のパーツを空中で合わせ、カチリと元の形状に戻そうと試みる。
――しかし、パーツは何の手応えもなく、ずるりと滑って全く繋がらなかった。通常のプラモデルや工業製品であれば、パーツ同士を固定するための位置決め用の凹凸(ピンと受け穴)が必ず存在するはずだ。
だが、このシラユキの滑らかな切断面には、結合用のフックも、ネジ穴も、突起の一片すら一切存在しなかった。ただ鏡面のように、完全に滑らかな断面が冷たく光っているだけだった。
「うん、素晴らしい。さらに謎が深まったよ」クローディアは興奮を隠せない様子で、パーツを何度も押し付けたり、角度を変えたりして試行錯誤を繰り返す。
その様子を横目で見ていたゆりは、ふと不安を覚えてクローディアに尋ねた。
「ねえ、マリ。これ、一度バラバラにしちゃったけれど……本当に元に戻るのかしら?」
「さぁ、天才の私にすら今のところは全く分からないね」クローディアは両肩をすくめ、手の中の純白のパーツを机の上へとカランと置いた。
「だが、この超技術の答えを確実に持っている人物なら、すぐそこにいる。――直接、彼女に聞いてみようじゃないか」二人は同時に視線を動かし、衣服代わりの黒いカーボンスーツを纏ったまま、微動だにせず佇んでいる遥の姿をじっと見つめるのだった。




