3-2 シラユキ:白き戦乙女と開発者の名
3-2 シラユキ:白き戦乙女と開発者の名
「そうするとだなぁ。あの『白いやつ』にも、個別の名称を付けたいのだよ」クローディアはそう言って、大型モニターに映し出されている白い装甲を指差した。
流線型の美しいフォルムを持つその機体を見上げ、ゆりも隣で視線をシンクロさせる。
「それで? どんな名前を考えているの?」ゆりはモニターから視線を外し、隣のクローディアの顔を覗き込むようにして問いかけた。クローディアは待ってましたと言わんばかりに、得意げな笑みを浮かべてモニターを見据える。
「『シラユキ』だ。これを見た瞬間、これしかないと閃いた」「シラユキ?」ゆりは思わず、クスリと苦笑を漏らしてしまった。
「それって……ただ白いから? 白い雪のイメージ、とかかしら」
「まあ、そのイメージを否定するつもりはないし、確かに最初はそう思ったさ」クローディアは一度言葉を区切ると、モニターからゆりへとまっすぐ視線を移した。
「だが、それだけじゃない。白川ゆり――これを作ったのは君だ。君の最高傑作じゃないか。白川ゆりの『しらゆり』、そして『シラユキ』。ほら、響きがどこか似ているのも素晴らしいと思わないか?」
「え……っ」不意を突かれ、ゆりは言葉を失った。
どうリアクションを返していいのか分からず、ただ呆然とクローディアを見つめることしかできない。普段は自信家で、滅多にこういうウェットな言葉を口にしない人間が、大真面目な顔をして放つ熱量。
それがいわゆる「破壊力が凄すぎる」というやつなのだと、ゆりは身をもって知ることになった。赤くなる顔をごまかすように、ゆりは小さく溜め息をつく。
――こうして、この美しい白い装甲は、以降『シラユキ』と呼ばれることになる




